第2話 二人の時間が始まる
悪友Hが私にこう言った。
「Y子へ際どい衣装が好きですとか言えねーの?」
自分の気持ちに気付いてからというもの、Hの言動に苛立ちを覚えることが多くなった私。
そう!!!S子ちゃんとHは事実上のカップルで、毎晩のようにデートを重ねているからだ!
ある日、四人でカラオケに行ったんだけど、S子ちゃんが何を歌うのか興味津々。
そして彼女は高橋真梨子の「for you…」って曲を歌ったんだ。
「あなたが欲しーい あなたが欲しーい」
「愛が すべてーがー 欲しーーーい♪」
熱唱している彼女を人目も憚らずガン見していた私。
まるで「あなた」って歌詞が「TETSUO」って幻聴が聞こえてきた(笑)
「おいおいTETSUO!お前は口が全開だぞ!」
悪友Hに注意されるまで気付かないほどのめり込んでいた!
彼女の瞳には私だけが映っているって妄想の世界だったよ(爆)
そして四人でファミレスに入り食事を楽しんでいると、Y子ちゃんと悪友Hが偶然二人ともトイレへ行った。
するとS子ちゃんが私にこう言った。
「相談事があるので聞いて貰えますか?」
もちろん断る理由もないし、むしろS子ちゃんのことを知る機会だと思う訳です!
私は彼女とアドレス交換をして、S子ちゃんの「知り合い」から「相談相手」にランクアップした(笑)
悪友Hのお誘いを断り切れないS子ちゃん。
ドライブやディナーに毎日誘われて、強引なHの誘いを断りたい相談話しだった。
そして今日もS子ちゃんとデートをして来たと、悪友Hの自慢話しを二人の観点から同じ話しを二回聞かされるように、いつしか私の立場はなっていた。
それぞれの思いが交差する中で、TETSUOもある決意をするんだ!
そもそも何でS子ちゃんに好意を抱いたかと言うと、いつも朗らかで話し相手を優しく包み込むような包容力を持っているのS子ちゃん。
それはまるで「太陽」のような存在で、周りの男性を虜にするタイプであった。
その人物をあるアニメキャラで例えると。
「恋はいつでもハリケーンなのじゃ!!!」
まさにワンピースの「ボア・ハンコック」のような存在感に気付いたんだよ!
「H君ったら運転が粗くって、強引だし人の意見なんて聞かないし…」
いつものようにS子ちゃんが、私に愚痴をこぼしていた。
そんな彼女の話しの腰を折るように私はこう言った。
私「あのさー」
S「なーに♪(笑)」
私「あのさー 俺はさー」
S「なーに♪なーに♪(笑)」
いざとなると何も言えないチキンハートだけど、玉砕覚悟で自分の思いを彼女へ伝えたんだ!
私「ずっとずっと前からS子ちゃんのことが・・・好きだった」
暫く無言の時間が経過したが、S子ちゃんからその返事がきた。
S「私はTETSUO君と出会った日から・・・ずっとずっと好きだったよ♪」
本当にこんなことがるのだろうか?
初めて出会った日から彼女の瞳には、私しか映って無かったと、その時に初めて聞かされた。
私が彼女の存在に気付く以前から、彼女は私しか見ていなかったのだと。
そんな自分はいったいどんな態度で彼女と接していたんだろうか?
何故かそんな当時の自分の言動に、恥ずかしくも感じた瞬間だった。
その日から約二年間。
彼女と一緒に歩む二人の時間(とき)が始まった♫
でも、それは終わりへのカウントダウンの始まりでもあったんだ!
「君が教えてくれた花の名前は街に埋もれそうな小さな勿忘草♪」
彼女が教えてくれた大好きな歌詞が今でも脳裏に焼き付いてる・・・
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