第10話 あふたーすとーりー リリア・ルルリアという女
リリアは今、とっても悲しいんです。
大好きだったルークス様がお城に呼ばれて一週間近く経ちました。
あのダンスパーティーのとき、リリアをずっとイジメていたステラ様が頭を下げて謝ることを信じていたのに。
なのに、リリアは頰っぺたを叩かれてしまいました。
ステラ様はルークス様を誑かしたとか何とか言ってたけど、そんなのは嘘なんです。
だって、ルークス様はずっとステラ様のことを怖がっていたんです。いつもリリアにステラ様がどんなに怖いかを話してくれていました。
ステラ様のせいで自分に自信がなくなったり、怒らせたりすれば国を乗っ取られちゃうなんて言ってたの。
可哀想なルークス様。こんなにもカッコよくて王子様でワンコみたいに甘えてくるの。
昔からリリアはワンコが好きだった。だって、ワンコは自分を甘やかしてくれる人にはすぐに懐いてくるの。それに、賢いから反復練習をすれば何がよくて何が悪いかを分かってくれる。
躾けのやりがいがあるの………ふふっ。
だから、リリアはルークス様を躾けた。他のクラスの男の子たちみたいに。
みんな、リリアが困った顔をして助けを求めれば助けてくれた。だって、リリアはとってもかわいい女の子なんだもの。
リリアにはみんなを幸せにする才能があるの。
リリアが声をかければみんなが笑ってくれる。
リリアが手を触れれば、みんなは嬉しい気持ちになる。
リリアが好きって言えば、みんなは何でもしてくれる。
リリアが欲しいって言えば、何でも買ってきてくれる。
リリアはお姫様なの。ルークス様と結婚すれば、正真正銘のお姫様に。その先は女王様に。
なのに。
それなのに。
なのになのになのになのになのになのになのになのになのになのになのになのになのになのになのになのになのになのになのになのになのになのになのになのになのになのになのになのになのになのになのになのになのになのになのになのになのになのになのになのになのになのになのになのになのになのになのになのになのになのにそれなのに‼︎‼︎
あの方は。あの人は。あの女は。あのウザい奴は。
リリアからみんな奪おうとした。
あの会場でリリアはとても恥ずかしい思いをした。みんなに笑われた。周囲にいた奴らがなんて言ったか覚えてる。
『自業自得よね。いい気味だわ』
リリア意味わかんない。
好きな人がいて、その人に好きになってもらうためにどんな事でもするのは間違ってるの?
好きになってはいけない人ってなに?
身分の違い? 育ちの違い?
リリアには関係ない。リリアは欲しいと思ったものは全部手に入れる。
だって、リリアはかわいくて、賢くて、みんなが守ってあげたいって思うお姫様なんだから。
そういえば………あの場でステラ様の横にいた男の子。あの子もカッコよかったなぁ。ルークス様と同じ銀髪で、王族の隠し子って言われてた。
きっと今まで辛い思いをしてきたんだってリリアにはわかる。本当の家族がどういうものなのかもきっと知らなかったのよ。王族の関係者ってだけで、あの怖い眼鏡のおじさんや学園の女王のステラ様にいいように利用されてしまうのよ。
なら、それなら。
リリアが慰めてあげるのが一番いいのよね?大丈夫。ルークス様もあの銀髪の男の子も、みんなリリアのモノにしてあ・げ・る。
だからね、ステラ様。……………楽しみに待っててね★
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