イージス護衛艦 なち
@yoshidera17224553
第1話 試作
「方位032、距離56000に不明船舶15隻確認。・・・・・・ロックオンされましたっ!!」
艦内はビィーンビィーンと警報音が鳴り響く。
「緊急水上戦闘配備」
「緊急水上戦闘配備」
ファーンファーンファーン・・・・・
副長が復唱する。海上戦闘はいつぶりだろうか。合戦用意と言ってからふと、考えてしまった。そうだ、8ヶ月ぶりだ、とその時
「敵全艦ミサイル発射!30秒で到達!!」
「なにっ」
30秒は早い。そりゃあ冷静な乗組員でも驚くだろう。焦りがじわじわと伝わってくる。
相変わらず、目の前の無機質なレーダーは敵が先程の第1射で120発発射したという事実だけを示していた。
「対空戦闘よーい」
「対空戦闘よーい」
そう指示すると前方と後方にある17inch連装電磁砲(俗にいうレールガン)1番から5番がミサイルの方向に素早く向く。
「主砲発射準備終わりました」
よくもまあ優秀な人材がここに揃ったものだ、と感心してしまう。人手不足というのは嘘だったのだろうか。じゃあなぜ俺ここに飛ばされたんだ?
「主砲発射及びECM用意」
「ECM準備」
「主砲発射よーい、てーっ」
「てぇーっ」
焦ってはいるが、手際はいい。発射した対空戦闘用の砲弾は目標の200m手前で子弾を展開、ミサイルをECMと共にどんどん落としていく。しかし
「ミサイル23基、近づいてきます!」
「しっ、SHERAMは使用可能か!?」
「可能です!」「発射あ!!」
「発射!!」
23基はやばい。あまりの数に俺も焦ってしまった。この艦に装備されているSHERAM MK,Ⅱは外さない(自分が設計、改良したことによる過信かわいか)のでとりあえず安心できる、とフラグを立てたところで
「2基ぬけましたあっ!!」
「・・・・・・総員衝撃に備え!」
あっさりとフラグ回収。俺のきいが、俺が創ったきいが・・・、と考えていた内に副長が指示を出す。すっかり指示するのを忘れていた。この人周りがよく見えてる。頼り甲斐があるなあ。・・・それにしても時間がゆっくりに感じるぞ。うーん、遅いな。まだかy
「左舷に被弾しました!しかし被害微小!」
ん、揺れたか?そんな揺れてない気がする。「ダメージコントロール、損害報告。」
「はい、先程SHERAMで撃ち逃した敵ミサイル2基が本艦に命中。左舷装甲に傷が付きました!」
なんでそんな笑顔なの?ていうかミサイルをほぼ無効化する位装甲厚くした記憶ないよ俺。えっ、なんで?
「艦長、報復行動に移ります」
「おっ、おっけー」
「主砲砲弾を対空用から対艦徹甲弾に変更」
「・・・変更終了しました」
「トライデントミサイル発射用意」
「・・・用意よし」
「主砲、及びトライデントによる報復奇襲作戦を実行する」
淡々と進んでいく。俺なんか居なくてもいいんじゃないと思えてきた。何だか研究所が恋しい今日この頃。
「艦長、奇襲攻撃に入ります」
「了解」
「各自発射よーい」
「てぇーっ」
ドォンと艦が揺れた。トライデントってVLSだったよね?大丈夫かな?まー俺が創った艦だから問題ないかーと謎の自信が湧いてきた。
「トライデントミサイル30基の内6基命中。敵駆逐艦3隻、戦艦1隻撃沈確認。レーダーから消えます。」
「見張り員より報告、トライデントの破片を受けた駆逐艦1隻が黒煙を上げ速度低下。伍落します。」
トライデントを24も落とすか。これは侮れないな。
「続けて主砲だんちゃーく、今!」
目の前がライトを間近で見たかのように光る。眩しい。そして目が痛い。光が消えかけた時突然、ドォン、ブァァァァァンという衝撃が伝わってきた。そして艦がさっきより大きく揺れる。
「報告します!!敵戦艦4隻、巡洋艦3隻、駆逐艦4隻全て中央部から折れて撃沈しました!!」
おおっ!という声が所々から聞こえる。うーん、なんかなぁ、みんな喜んでるから言えないんだけど、俺はなんとも言えないんだよね。ほんとさー、船創ったのは俺だけど弾創ったのあのクソ野郎なんだよ。絶対「俺の創った弾が良かったから敵を潰せたんだよ。わかってんのか?おい」とか言って来るよ。
イージス護衛艦 なち @yoshidera17224553
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