おかしな2人の青春
三題噺:「春」「橋の下」「おかしな山田くん」
「ねぇ、そこのおかしな山田くん」
「おかしなって何!? おかしなって!」
「え、だってこれやる時点でまともじゃないでしょ?」
わたしの眼下。
橋の下にいる山田くんと目が合う。
申し訳ない程度に流れる川は、今日も細い。
「春ちゃん直球で酷いよね」
「失礼ね、自分のおかしさを棚に上げるのやめてよね」
山田くんは変だ。おかしい。
「いや、春ちゃんもなかなかだと思うけど?」
山田くんはそう言って、笑った。
その場で右手を大きく上げて、跪く。
「姫、私めがお側で勝手に姫を守ることをお許しください」
芝居ががった、歯の浮く台詞。
ううんこれは芝居。わたしが台本を書いた芝居。
「仕方ないわね」
そこにいるのは、私だけを守る騎士ヤーマ・ダー。
私は陰謀渦巻く王家から出奔しようとするハル王女。
「許します、最期の時まで守るように」
「はっ、有り難き幸せ!」
あぁ、わたしたちはおかしいんだ。
二人だけの世界が、現実に重なって見えてるんだから。
ここはバルコニーで。
わたしたちはこれから一緒に逃げるんだ。そして、最期の時まで……。
END
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます