第2話未定

 それから一週間が経った。最終的にはその法則改編で高性能のワールドシミュレーターを創り、それの維持費としてエネルギーを相応量徴収する形に成った。……まあ所有欲以外ならこれで何とかなるだろ。SFの培養液の中に脳が浮かび、夢を見ている的な事にも取れるが、……まあ征服欲とか、性欲とか現実世界でやったら犯罪的な事を要求して来る奴を想定するとやって良いがその代わりに仮想現実の中だけにしろ、と成る訳で、仮想現実の精度を上げて現実的な物と扱えるレベルにした上での物だけども。……性欲満たしたいならなら例えばサキュバスが居るだろって?……それな。でもまあそれでやる内容は事前に検閲を入れないと不味いのだけども。なんだ?他人に見られている夢みたいな物なんか嫌だ?現実でその内容をやると更に沢山の人に見られる訳で、他人に見られるくらいで気に成るならそもそもそんな願望を持つなと。ログの残るフルダイブゲームで性行為なんて盗撮されている前提でそれをやるような物だとしても、それをやりたいなら良いのでは無いだろうか。高性能シミュレーターはあくまでも此方持ちなのだし、ログを取られても仕方ないだろ。……いやまあ、只の夢じゃなくて現実の機器の中でやる以上、夢の中で見るようなやりたい放題を他に見られても問題無い奴でも無いととてもじゃないがやれないよなぁ……。

 結局は仮想現実じゃ無いか。俺は現実でやりたいのだよ、現実で。と言う意見が出たが、……いや高性能シミュレーターは本来捕まるレベルの事を合法でやる為の捌け口扱いの物に成るのだからやるなら捕まる覚悟でしろ。検案にも成りかねない訳で……。ああ、それからの流れとして、ある程度の奴がシミュレーターを出た後にシミュレーターの中に居る気分のままでの言動と犯罪をしてしまい、逮捕された奴が出た。……いやまあ、これはアレだな。結果として、限定的とは言え理性を壊せる場所と言うのは危険だと言う話に成り、だいぶ制限が加えられた。主に、そうだな、そのシミュレーターの空間をだいぶ狭くし、どこかの一部屋にされた。要はカラオケボックスとか風俗とかのその場所限定の娯楽と言う認識を使用者側に持たせるためだ。それにより辺りを見ればシミュレーターの中に居るかどうかが認識上分かりやすく成ると言う訳だ。……いやまあこれだと高性能シミュレーターの醍醐味がだいぶ消えているのだが、犯罪行為の促進機能を果たすのじゃねぇ……。結果としてブーイングもそれなりに出たため、それを使いそれで犯罪行為に手を出した奴は刑罰を通常よりも上乗せすると言う話で落ち着いた。まあ、自分はそれをしないから使わせろと言うならそれをした時の刑罰が重く成っても問題は無いはずだし。

 ひと段落付いたし流石に今日は戦闘訓練でもするか。周りの奴らが強過ぎだしな。いや、パラドクスクリーナーとか基本的には本来其処に居るはずの無い相手に対しての特効攻撃なのだから、チートに頼らないこの世界元来の奴にはそこまでは効かないのだし。ゴーレムクリエイトで空中戦も出来ればな。ゴーレムを自分から出せば棒高跳び的に大ジャンプは出来るとしても、その後が……。あくまでも只の大ジャンプと着地のやり方が増えただけ。空中戦をやるには相手からすればゴーレムを壊す事で機動力を潰せる。つまり、空中戦をやるなら極力低空でやるのが無難……だがそれだとあまり意味は無いし、空中戦をやると言うか地上での緊急回避補助くらいに使えはするか。ちょっと練習しておこう。ゴーレムクリエイトで、エネルギードレイン、土砂槍、限定高速機動補助、義体作成等……。ゴーレムクリエイトを土砂以外の鉱石類でもやれる様にしようかな。そうしたら相手の装備品を壊すのにも使えるだろうし。後は、高速機動に慣れておこう。高速で動けても動体視力が追い付いて居なかったらアレだしな……これは流石に平衡感覚がキッツいな……。慣れておかないと……。それにゴーレムクリエイトが砂塵からも出来るようになれば相手を風化させる系を受けても即座に作り直せるか?ああ、試したい事はまだまだ沢山だな。そして暫くの間鍛錬をし続けたのだった。

「シュラ……ゴーレムクリエイトだけでそんなにやれるのは色々と普通じゃないですよ」

「別にこれらは新しい概念を運用上で付け足している訳じゃ無いし、要するに物は使いようと言うだけだろ?個別に専用の能力を用意すれば何でも出来るとか、そんなのは当たり前でしか無いのだから」

「……いやまあ確かにそれはそうですけど、……それが問題視される局面と言うのはいわゆるドッペルゲンガー等の此方と同じ能力を使って来るような奴が居る様な場面だけですよ。扱う上での条件や難易度が難しい能力で無いとドッペルゲンガー側にも簡単に使われますし」

「ならやる意義が有る場面は有ると言う事だろ?問題無いね」

「自分に繋げるゴーレムクリエイトはそんなに多用するものではないのですが」

「確かに。そのゴーレムが自分に繋がっていないといけないパターンでも無ければ核に成る物を持ち歩いとけばいいだけでは有るが」

「なら、植物の種辺りにしてくださいね。皮膚片や人工では無い髪の毛の束を持ち運ぶとか錬金術師と言うよりも呪術師に成って居ますので」

「それは此方のカテゴリーが変わるし、保存性的にもそれの方がマシでは有るか。自分に繋がる奴でなければ自分のエネルギーには関係無いし、髪の毛を必要に応じて少し切って使うのでも問題は無いけど、それはまあ、捕まってから逃げる時のためにでも残して置こう。例えばゴーレムクリエイトを道具依存の力ですとか喧伝しておいたらそれで捕まった時はその道具を取り上げられるなり、壊され拘束されるだけで済むとかの展開もあり得る訳だけど、まあ調べれば気付けるだろうからな。要するにそれについての形で縛りプレイする事で得られるのは縛りプレイの状況だと負ける相手に対して一度限りの伏兵的な不意打ちが出来ると言うだけ。その一度をどう見るかが問題だな。……水霧浄土が他の神格個体の奴らとやったみたいに提示して有る奴に対しての確殺の戦力をぶつけられても一度だけは凌げる物を提示出来る余地が有ると考えるとかなり大きくは有るが、そうしたいならかなりの縛りプレイが必要では有る。それを有意義にしたいなら少なくともその縛りプレイ時の自分の戦力を確殺出来る戦力を凌げるレベルじゃないとやる意味が無いのだし、そもそも鑑定系的に正確な戦闘力を見る力だって有るだろうしね……」

「……つまり、縛りプレイで提示する戦力を確殺出来る戦力を最低でも凌げる程度の実力隠しが必要ですか……それは、要するに相手がこいつならこの程度の兵力をぶつければ倒せるだろう。と言う手抜きをする事を期待する内容ですよね。……それをやる奴が手抜きの状態でも最強でも無ければ、ですが」

「確かに最強ならそれをやれば最強を必ず殺すつもりで戦力を他が揃えて来ても返り討ちに出来るし、その時点での敵対勢力の最強格が足りない戦力で攻めて来て貰える。それならそいつらさえ全滅させれば後はかなりの間は安泰では有るが、あくまでもそれは情報獲得系のチート無しの環境でならばの話だ。それに、それをするなら縛りプレイの戦力で当たる色々な検案全てで常に手抜きをして当たる事に成る。関わる検案全部で完勝でも出来てない限り、結果的には手抜きをしたから損害が出たとかに成るのは勘弁願いたいね。……いやまあ創作だと完勝させればその手法も出来るし、そう言う作品も見た事有るけど、現実問題として関わる問題全てを手抜きで完勝が前提とか一発勝負で出来る自信なんて俺には無いし、……一発勝負じゃ無い奴を潰す能力も持っている訳なのだし、そう言うのに手を出すと自滅してしまうから」

「……仮にそれが最強キャラならそれが出来るといって実際にやってのける物ですけどね」

「……要は致命的な一回を潰すために常時の難易度を上げた上で、毎回の完勝が前提。いや、一応前提では無いけど手抜きしたから損害が出たとかアレ過ぎるし……少なくとも誰でも簡単に出来るとは言い難い物だと思う。創作の中でならともかく、只の現実では、ね。シミュレーターでの犯罪促進とかも、例えば危険なアトラクションをやる前にそれで死んでも責任追及をアトラクション施設の運営側に要求しませんと言う契約書を書かされるアトラクション施設も実際に有るし」

「……それをやりたい人なんて居るのですか?事故死に見せかけた殺人をされても事件に成らない可能性が有る訳ですが」

「バンジージャンプとか、スカイダイビングとか、普通だと死ぬような事をセーフティー有りでやる娯楽の類いがそれなりに存在している以上はそういうのは無くなる事は無いのじゃ無いかな。……犯罪行為をシミュレーターでやるとか、シミュレーターの中でリアルな形で刑罰受けるかもしれない訳で、先に検閲受けてそうならないように調整して貰った方がその可能性を排除も出来る……らしい。要するに駄目な物と良い物を先にルール上で決めておいてそれで許可された範囲内の事だけやっていたら、高性能シミュレーターは最高の体験が出来る物なのだとか。まあアレだ。セーフティーの発動条件を先に教えて貰えてそれに触れない限りは無法地帯の空間な訳ださて、これくらいで良いかな」

「お父様、なら一つお願いを聞いて欲しいな。聞いてくれるって言って居たよね」

「ジーヴル。出来る範囲の物であれば、だからな」

「お父様にはとても簡単だよ。要は私をアップデートして欲しいだけだから」

「それなら催促されずともやるけど、わざわざそれをお願いにする必要が有る?」

「有るよ。要は原材料の追加補充とそれを加えた事での調整だもん」

「ゴホッ。いや待て、それはつまり、俺の精液を寄越せ、と。それも材料の一部だからな」

「シュラ?素材はそれだけでは無いはずですよ?それだけに拘る必要性は無いはずです」

「……そうだな。なら、それ以外の原材料の追加と、調整を行おう」

「……お父様、私が今の状態なのは、それも含めて材料として有ったからだよ。それでもそれを無しなの?」

「…………機械なら材料として使った物を修理で使うなんてド定番な訳だが、そう来るか……これもそう言う意味の物だ。……精液を原材料に使った時点でこういう問題が発生するのは、……高性能な奴が産まれなければこうは成って無かったはずなのだがね。これをそう言う行為だと定義しないなら、性行為で相手にそれを入れる行為全般の否定になって…………本当にそれが必要かどうか一度だけ試そう。それの結果次第で対応を決めるのが無難かな。と言うか、それくらいは勘弁願いたい」

「……」

「やった。じゃあお願いね。お父様」

「……あくまでも検証だからな、これは……」

 ……何かな、俺だけ童貞卒業出来てないのに俺はそう言う行為を形式的にはやった扱いに成るのか、これは……。

「シュラ、解りますよね?」

「……あくまでも、検証での物だよ。これは。だから、それ以上の意味は無い。……解っては居るさ」

「……なら私も一つ検証が有ります。大丈夫です。死なないですから」

「ちょっと待て、何をやる気、」

 そして俺は土砂に飲み込まれ、意識が途切れた。



「シュラ、起きてください」

「……テラ、何をした?」

「貴方を人造いえ、神造天使を模したゴーレムにしました。ですが、見た目は今までと変わりません。ただ単に身体を構成する物が私と同じ物に成っただけです」

「……なるほど。水霧浄土の件が有るからな。水神の作り手が水の身体とか、そう言う意味が有るのも十分に有り得るか……いやまあ、これだと身体の取り変え的な意味での強制転生させられた様な物だが、そんなに嫌だったのか?あくまでも一回限りの話の内はまだやらなくとも良かったのではないかと思うのだが」

「それが貴方に分かるならそもそもこんな事なんてしようとしないでしょう?」

「……悪かった。本当に」

「反省してくださいね」

 ……この状況でやるそれって、どういう判定に成るのかね……。いやまあ、検証する事が増えたけども……。

「ぶっちゃけた話、ゴーレムが豪華になったから何だよ。と成る場面だし、他にイキルにも微妙なのだが」

「……シュラや私が死ぬのは星其の物が死んだ時です……と言いたい所ですが、マントルよりも内側は別の神格個体の領分ですからね。それだけだとそれより外側全ての消失が条件ですかね。それだけでは有りませんが」

「……それさ、マグマオーシャンの中で生存出来る奴とか常時空を飛べる奴でも無いと通常生物とか実質生存不可じゃ無いかな……」

「要するに空中に永続的に居座れれば良いだけですしその限りでは無いですが、シュラの感覚系がかなり拡張されているはずですよ」

「……ふむ。少し試してみるか……これは酷い。物質変換も出来る様に成った結果、何らかの形でエネルギーが有りさえすれば其処にゴーレムを作れるかこれは。要はエネルギーをゴーレム素材に物質変換してからゴーレムクリエイトをすれば良いだけだから、これなら対空攻撃も現実的な範疇かね。……いやまあ、二撃分で一撃出来ると考えると、もう最早、物質変換を攻撃に使う方が早いし、先ずは物質変換の方で試行錯誤してみますかね」

 そして試行錯誤を行う。……いやまあ、殺す目的でも無いと過剰火力だろ、これは……。要は相手を物質変換すれば良いのだし、エネルギー的な意味での防壁群もこれで削れるし。要するに石化能力の変換先を石に限らないだけと考えると解るだろうか。殺す目的でも無いと過剰火力としか言えないな……。要は相手を物質変換すれば良いのだし、エネルギー的な意味での防壁群もこれで削れるし。要するに石化能力の変換先を石に限らないだけと考えると解るだろうか。殺す目的でも無いと過剰火力としか言えないな……はぁ。何処でもゴーレムクリエイトを可能にする理屈が、むしろそれをするための力を単体で使う方が攻撃手段としては手っ取り早いのはなんだかな……。アレだ、色々な力を使って初めて使える力よりも、その部品を単品で使う方が良いのが出来そうな状況だろ、これは……。ゴーレムクリエイトをやるためと言うか、遠隔操作攻撃の起点に使うくらいだろうか?素材生成時に弾丸を創る様にすればそれを操作なり、敵に向けて落下させるなりは出来るだろうし……。ん?これなら巨大隕石辺りとか出来るかな?試してみよう。……でかいのを用意したければ空間上にエネルギーが相応量必要。まあそれは妥当では有るが、つまり、長く戦う事で準備が整う系の大技か。これは採用だな。それに領域系の奴出す奴とか相手にするならエネルギーが空間上に満ちているし、戦う上で領域を広く展開するタイプの奴相手には即座に撃てそう。これは酷いな……。

「定義を広くすればそれら全てが消失しない限りは死にません、が、例えば範囲が全部の化身が居るとしましょうか。そうすると概念的にはその範囲内で起きる現象全てが体内で起きていることに成ります。只のロボットに乗り込むだけの場合ではなく、全て、其の物なら、ですけど」

「なら、例えば銀河と言うロボットに乗り込むパイロットって言うのも有りなのか?……いやまあ、それが出来るシステムを組めば良いと言う話では無くて、全てを精密制御出来ると言う事は全ての場所がそのパイロットと直接繋がると言う事でもあるはず。その範囲内なら何処でも本体に攻撃を叩き込めると言うデメリットが此方には有るが、変わりにそれら全てが無く成らない限り死なない。パイロット形式なら全てなり宇宙なりを遠隔操作出来ます。そしてそれは私の身体では有りません……と言うなら此方とは別種だろ?対象その物か、それを制御しているだけか的な意味で。そして制御しているだけなら居場所さえ割って逃がさなければ後は単純に辺りの空間全てが敵の制御下と言う条件の戦闘をするのとほぼ同じだ。規模が違うだけで、それなら既存の奴にもそれなりに居るだろうよ」

「全てが制御下と言うのはやばくないのですか?」

「要約でのパイロットはあくまでもそれら全ての全破壊は討伐には必ずとも必要は無いし、だいぶ討伐する上で必要な事の難度は下がるよね。何よりも、銀河とか、宇宙とかを丸ごと破壊するレベルの御業なんか倒すだけなら必要無く成るのだし、他に盛らないならだが。いや、まあ性能盛るだけ盛るとそもそもそいつの戦争理由が物資とか土地とかそういうものでは戦争する意味が無くなる訳で、なら何だ?後は戦争やるなら宗教戦争とか、メンツとか、私怨とかか?」

「……これは酷いですね」

「……なら私のもの何か考えてくれないかしら?」

「ああ、ガルアか。自動切断能力を更に魔改造したいのか?」

「全部を常時包んでおくのは無理なのよ。足場を壊す的な意味で足の裏とか」

「空中に居座るとか、必要に応じてジャンプして、その時にそれを足の裏にも展開すれば良いだけだろそれ」

「それが出来るなら苦労はしないわよ。主に不意打ちとか」

「それで文句とか要は戦闘中、盾でガードする暇もない状況が常だとでも言うのか?」

「そういう訳じゃ無いけど……全身をカバーは出来ない時間が有るのは確かで」

「……あのさ、それが常時無いと勝てません、戦えませんと言う奴じゃないのだから、それくらいは技量でカバーしようよ……」

「小さくジャンプするだけじゃ継続的な攻撃をされたら駄目よね?」

「ふむ。着地のタイミングを狙われたらアレか。なら、厚底ブーツ的なのを履いて、それにでも盾の素材と同じのでも仕込むか?足が攻撃されるのは解り切って居るのだし」

「着地タイミングを狙われるのが問題なら空中機動の為の道具も欲しいのだけど」

「……今それが此処に有るなら此方も使うのだが、それは着地のタイミングを狙われたらと言う問題の解決と言うよりもそれが問われる回数を減らす物で、零にしたいなら、常時空中戦が可能に成るしかない。消費エネルギーよりも使用エネルギーが少ない形で飛べて、永続的に空を飛ぶとか出来ても、戦闘にもエネルギーを使うのだから、戦闘中確実にループを継続できるかは別の話だし」

「戦闘中に地面に面する足の裏を攻撃されるのが問題なのですよね?シュラや私のゴーレムで床や地面を掌握して居る場所でのみ戦うのを徹底すれば良いだけじゃ無いですか?そしたら十分盾に成る物は有りますから」

「そうね。それが良いかもね」

「なんか試しに水神の開催している大会にでも行って見るか?場外負けルールが有る以上、能力的な意味での大きさ的な意味で即座に場外判定受けそうだし、俺とテラは出られないのだけども、水神に話は通せるし」

「……なら行って見るわ。手配をお願い」

「おう。それで戦い方でも得て来れば良い。……まあ全身刃物的な能力な以上、切りつけても切れないような一定以上の硬度の奴が鬼門だろうけど」

「場外負け判定が有るなら場外に飛ばせば良いわ」

「……それを敵にやられるフラグだからな、それは。掘り方の調整をやれるように成れば、ある程度は何とかなるが良いはず。調べるとヤベー奴が出ているみたいだしな」

「ヤベー奴、とは?」

「ネタばれはしないから行って来なよ。……まあ、俺としては俺が戦いたいけども、ルール的に無理だし」

「シュラ、意地悪しない方が良いですよ。私から言えば、無機構流動全身鎧を使う奴が出ているそうです。これの意味は無機構なのに流動して居る全身鎧を使う奴、と言う意味です。恐らく能力でそう出来る様にして居る結果、他人からすれば無機構な只の全身鎧にしか見えない、と言う奴ですね。確か、氷雲神の造り手らしいですよ。だからシュラが戦いたいと言う話に成るのですが」

「氷雲神の造り手、ね……神格個体の造り手とか何でそんな大物が出ているのかしら?」

「……氷雲神は後発的な神格個体で、まあつまり、支配下の領域が少ないからだ。神格個体としての能力の理屈が此方と同じならそれは自分の生存力と戦闘力に関わるからな……領域拡張の足掛かりでも欲しいのだろう。……まあ、それを利用してどうこうしようと考えた事は有るし、それを侮蔑出来る立場には此方は無いがね。さて、ルールについてだが、何らかの物を賭ける、賭け試合形式の場合既定のものを互いに賭けた上で、賭ける物の量を増減出来る。賭け試合で沢山の事がしたければ相応に多くの物を賭ける必要が有る訳だ。逆に、最初よりも賭ける物を減らすと、試合で自分がやれる事が減る代わりにローリスクで試合が出来る。つまり、賭け金の量で手札量を変えられるカードゲームみたいな物かな。だから、手札を膨大に持つ奴じゃ無くとも、手札が膨大に有る奴と戦うのもある程度の利点が有る。それで勝てたらそうするために賭けた奴が貰えるのだからな。だから、手札数が膨大に違えば、多い方はリターンよりもリスクの方が高い試合に成る訳だ」

「……よくまあそんなの考え付くわね、水神の所は……」

「手札の数の暴力をしても良いよ。その代わり、そうすればするだけ相応のリスクが発生する仕組みですが、と言う奴だけど、リスクが幾ら高かろうが、要は勝てば良いだけだしね」

「でもどうやってそれを換算するのかしら?不正し放題だと思うけど」

「何も殺し合いする訳じゃ無いから、試合には壊されたら負けの装備品を付けている必要が有って、それで至近で審査するのだってさ。それに事前に入力した奴で説明が付かない奴を使った時点で反則負け扱いに成るのだそうだ」

「……それって問答無用で即座にその装備品を壊す系の能力出たら不味くないかしら?」

「その装備品を能力で保護するのは有りだから、それはまあ防御をぶち抜かれた訳だし、仕方ないと思う。異空間とかの別空間にその装備品を隠しておくのは前提ルール的に無しらしいけど」

「能力での保護は有り、ね。解ったわ」

「じゃあ水神の所に連絡を取るか」

「それ、私も出たらダメかな?」

「駄目だな。ジーヴルの戦闘力は殆どまだ何も解らないし、な。まあ、今回は見ていてよ」

「解った。今回はそうするね」

そしてガルアは準備に行ったのを見て、テラは言う。

「彼女に渡した情報は、そいつの鎧が流動する事で、それは何らかの能力で行われている事……つまり、金属の硬度を保ったままの液体化能力の可能性が有るのですが、それは教えないでおきましょう。一応相手が手札を隠していた時の即応力育成には成りますよね」

「今回必ず勝たせる為にだけなら万全に情報が事前に有った方が良いが、手札を伏せられていて、それに対応出来ませんなんて成ったら、流石に不味いし、殺し合いで無い場面でそう言う経験を得られるのは大きいはず。そもそも氷雲神の造り手のくせに氷でも無く雲でも無く金属使いか液体使いなんて何か伏せ札か裏が有りそう過ぎるからな。むしろ先入観を与えたらやばい気もする」

「今の話のそれが大会用の見せ札手抜き能力なら良いのですけど……」

「まあ今回の場合、ガルアの立場的に此方のメンツを潰せる機会と解釈してそいつが全力で来る可能性も有るけどね」

「……それは良いの?」

「どうせガルアは能力を一つで行くのだろうし、体に重りを装備して戦闘する奴や能力未使用で行く奴迄は行かなくとも、負けても大した損害なんて無いし。あくまでも相手が通常金属で戦う限りは壊せるだろうし。まあ何とかなるはず……問題が有るとすれば、試合会場の範囲だな。地面の下側が試合会場外扱いに成るのなら鉱山でガルアがやっていた戦い方は即座に場外判定扱いに成るだろうし。一応それは事前に確認すれば良いだけだが」

「……不安要素しかないですね…………止めさせますか?もしくは参加する大会を変えるとか。別に一つしか大会が有る訳では無いので」

「確実に倒すために手札を事前に大量に登録して来たなら、逆に不正をして来る可能性は低い。其処で不正したら勝負に勝てても試合には負けて賭けた奴全取りされるしね。それに、違反行為してまで殺しに来たら此方が介入すれば良い。地面が此方の支配下に出来るのだし、違反行為した時点で試合は終わっているのだから問題は無い。……まあ、例外として、登録手札を増やさず新しいのを出してくる可能性は有るし、神格個体の造り手と言うならそれくらいはして貰わないとだけど、それなら只の試合の範疇だから問題無いよ」

「大量に手札を登録してきたらどうするつもりですか?」

「事前に登録して来る手札が大量増加したら不正は無しなので無いと勝てても割に合わないから、不正は無い。だから相手が、賭けた物を見て、やばいくらいに膨大に賭けられていた場合は勝負を降りれば良いし、試合がキャンセル不可ならば即座に降参でもすれば良いとして、問題は不正では無く単に登録手札で可能なまだ未開示の使い方を出して来る事だ。試合として本気でガルアを倒す気なら出して来るはず。どうせなら俺が戦いたいけどな。まあ、ガルアがあの能力で戦う上でのアイディアが有るからそれを少し伝えておくよ」

 そしてアイディアと共にカーボン繊維強化プラスチック製の扇子を渡す。まあ金属系の素材渡すと溶かされそうだし……。そして大会がある場所に移動し事前申請を行う。簡易的な大会なら毎日行われて居るらしいが、此処は週一で行われて居る大会の方にする。今日直ぐに行くのはアイディアを実戦運用する上での鍛錬時間が欲しい的な意味で却下な為だ。そしてガルアの鍛錬でその日は終わった。



私はガルア・スプライト。元土竜、つまり、モグラだった人間よ。今回は大会に参加する事に成った訳だけど、彼が言って居たアイディアは要するに身動きにも刃化が出来るのだから、体以外の物も刃化出来るのでは無いか?と言う事。ざっくり言えば扇子で起こした風にエネルギーを乗せて風を刃扱いに出来るのでは?と言う事。現状なら中距離迄なら何とか成りそうね。まあ練習はしておきましょう。風を刃にする。それは簡易的な壁には出来そうだから、足場には出来るかも知れないけど、エネルギーを消されなければ、の話よね。能力の力だけで、岩盤掘削をやって居た訳じゃ無いとは言え。……うーん。そう言う能力持ちが只のビックマウスなら良いけど、そう言う物無しでのエネルギー打消しとかエネルギー抹消とかの能力は完全にそれを出来ないなら、そもそも名称からして変わる物なのよね。それを正しく表したいならば、例えばダメージ軽減能力とか、ダメージカット能力とか、一定以下のダメージ無効化能力とか、そう言う別物として扱うべき。もしそうでなければ、只の過大広告なのだし。一定以下ダメージ無効なら理屈は簡単で、要は一定以下のダメージを与えるような攻撃を受けても一切破壊されない強度が有れば良い。ゲームで例えるなら、ダメージ計算時に特定量のダメージを計算する上で計算式中のダメージ量から引けば良いだけよ。それでダメージ計算の前提ダメージ数が零に成れば、ダメージ無効化成功と言う訳。ダメージ計算式介入とか本当チートよね。能力が無くても単に凄く硬ければ限定的には成立する能力では有るけど……と、違う、違う。今は流動鎧の攻略法を考えないと。あんな力を持つ人がわざわざ明言したのが只の凄い鎧を持つと言うだけなんて流石におかしいわよね。例えば鎧の流動出来る範疇はどの程度まで?例えばスライムみたいに成れるなら直接攻撃したら掴まれるかもしれないし……大げさかもしれないけどそれは有りそう。わざわざ中距離攻撃手段の習得を進めてきたし、必要に成りそうと言う判断なら無ければアレよね……。そして更に鍛錬をして参加する会場に到着し、時間を待つついでに参加者を見回す。……本当にこれは只の大会なのかしら?かなり険悪な空気に満ちているのだけど……其処で大会運営の人に受付して貰う。

「ガルアさんですね。大会参加を受け付けました。新規参加者様な様ですが、この大会は誰かに招待されましたのでしょうか?」

「いえ、別に戦いたい相手とかは別に居ないわ。招待も受けてないし」

「なら忠告させてもらいますね。大会には深入りしない方が無難ですよ。大会のルールは、基本的には守られては居ますけど」

「何故ですか?」

「簡単に言えばルールは守られて居るのは問題を起こしたら、極論水神と事を構える事に成るからです。ですが、大会で普通に戦うくらいなら口出しはされません。……まあつまり、ストレス発散の為に合法で暴力を出来る場所と解釈して居る方もそれなりにいらっしゃいますので……」

「ははは……なるほど……流石にヤバそうね。でも、ルールは守られているなら良いじゃない。別にルールが破られては居ないなら試合としてはちゃんと成立しているのでしょうし、あくまでもルールを守っては居るなら、相手の心構えにまで口出しする気は無いわよ。エンジョイ勢とガチ勢の認識上の乖離とか話してもしょうがないし」

「ありがとうございます。それでは、これが壊されたら負けのターゲットです。ガルアさんの試合は十五分後に成りますので、それを付けて待合室でお待ちください」

 そして待合室で時間を潰すことにしたのだった。手数重視か、一撃の重さ重視か、人次第で意見が分かれる所だけど、当たらなければどうと言う事は無いが相手なら手数重視が良いし、攻撃が幾ら当たろうが知ったことか、な、耐久性持ち相手には威力重視じゃ無いとアレだし、戦う相手と条件次第のケースバイケースとしか言えない話でしか無いわね。……と、時間ね、行きましょう。

 最初に戦う相手は只の人間ね。どうやら刃が潰してある小刀を大量に投げつけてきたけど、問題なく扇子で風を起こして壁を創り、間を詰め、能力で殴る事はやりすぎだと思い、能力で小刀を防ぎつつ、只単にぶん殴って場外にまで殴り飛ばした。……小刀を相手に大量にぶん投げるのはルール的にセーフなのかしら?目とかに当たると、刃が潰してあってもやばくない?まあルールを守らないと神格個体と事を構える事に成りかねないならこれも問題無い様に出来るセーフティーでも有るのでしょうね。例えば回復設備が凄いとか。確認しておきましょう。そして試合の後に確認すると、ダメージをターゲットが肩代わりしてくれる仕様な様だけど……これが肩代わり出来ないレベルのダメージやターゲットが肩代わりする攻撃外の攻撃とか連撃使うと出てきそうなのだけど……。ああ、一定以上のダメージを受けた時点で壊れた事に成るだけで実際には壊れてないのね、これ。次に行きましょうか。これくらいなら楽勝ね。

ある程度の数の相手と戦って行くと、戦う相手に近接物理型が多いのが解るわ。いや、先の話の前提的に合法で暴力をしたい奴からすればそのスタイルの方が良いのと、賭ける物を減らそうとしたら自然とそうなるだけで、遠隔攻撃型の奴が居ない訳では無いわ。とは言え近接物理メタ性能が有ればある程度簡単に勝ち抜けられそうな環境ね。……勝つ事では無く、合法で暴力を振るう事が目的な人達なら別にそれでも良いのかも知れないけど、空中機動もマスターしていかないとね。足場が出せても数秒後には消えるし、常時空中戦をやろうとするならかなり体力使う訳だけど、地面を操れる奴相手にはそれが常時出来ないと不味いし。要するに大会に参加する目的が大会優勝では無い奴がそれなりに居る結果の状態なのよね。まあ、そういう人たちが集まって、暴力をしあう事でストレス発散?サンドバッグを殴るのでは足りないと言う事かしら?まあ、こういう状況に成っても大会運営が存続するのは、ここで発散されるそう言うのが大会運営を停止したら他に向きかねないし、此処で大会運営停止なんてしたらむしろヤバイでしょう。だから事前警告だけされた訳ね、と、次ね。一対一の試合なのに相手だけ大人数とかふざけてない?……なんだ、ユニット生成なのね……。物量押し、と言うか、質量押し?回避型泣かせよね。これ。創るユニットで試合の範囲全てを物量で埋めて、相手を押し出し相手の場外負け狙いをして来て居る訳よ。相手の壊せない硬度の物を大量に即座に生成出来るなら確かにやばいけど、こっちはダイアモンドも壊せるから、流石にそれほどの硬度は無いのか、相手の硬度不足なせいで普通に壊せるし、他にも能力次第では普通に対処されそうでは有るわね。高速で壊すなり何なりと出来ないとアレなのだけど、要はそれが出来れば良いのだし、後は場外に無理矢理押し出して勝利したわ。これは、要するに攻撃の火力が互いに足りない状況でしか通用しないと思うのだけど……相手の防御力を攻撃で突破出来るならやる必要は無いし……。

そして氷雲神の造り手と戦う事に成ったわ。巨大な鎧を着る大男な様だけど?

「お前、ガルアって言ったか?此処で出せる範疇で、と、前置きするが、全力で行かせてもらう。精々頑張る事だな」

反論しようとした所で試合が始まってしまった。初手で風を起こして刃をぶつけに行く。それをそいつは敢えてそれに当たりに行き、絶妙なタイミングで後ろに移動させた……。そんな無茶苦茶な、とは思うけど、要はバフを掛ける対象の風に敢えて必要以上に飛ばされて居るだけね。なら、バフを掛ける範囲を広げれば、……そうした瞬間に退避されたわね。そしてそいつの鎧が蠢く。来る。その鎧はでかい拳を生成し大男は姿を小さくしていた。……いや、敢えて自分のサイズよりもだいぶ大きいサイズの鎧を着こんで置き、その余剰分を武器に転用しているのでしょう。でも、それは普通に私のエネルギーを貫通するには至らなかったわ。でもそれでは終わらなかった。切れたそれらが再び鎧に戻り、元通りに成り、もう一度、何度でも。それはつまり、此方のエネルギー切れ狙いのひたすら続ける攻撃。こちらもそれを切れていると言うか、押しのけているだけなのに無駄にエネルギーを消費させられていく構図に成ったわ。これでは防御しているだけではじり貧ね。……近接物理なんて拘束されそうだけど……やらないとね……。そして一気に接近しに行く。鎧の一部を足元に配置しそいつはそれに乗りそのまま高速で移動し始めた。制御可能重量以下の物を操り、それに乗り、それでも制御可能重量を超えていなければ確かにやれるし……近接されたらこいつの鎧じゃ此方の物は防げないなら、そうするしかないのは解るけど、現状の此方の遠隔攻撃は往なされるだけなのよ。……なら、こうしましょう。私は地面を浅く掘り、土や小石を散弾のように投げる事にする。これなら現物が残る以上バフの可能時間も長いのよ。相手が此方の攻撃力を防げない前提だとは言え、これで逃げ道を塞がないとね。

「……まだ対処方法なら出来るのが有るが、今回は登録してねーな。まあ降参で良いや。コングラチュレーション、ガルア・スプライト」

「……確かにそちらは手抜きの上での話なのは分かるけど、もっと悔しそうにしなさいよ」

「縛りプレイでの大会参加とか負けても失う物は殆どねーからな……それに此処でブチギレしての全力で再戦なんてしたら水神側に此方の全力の戦闘力データが筒抜けに成るわ。だから負けで良いよ。そんじゃ帰るわ」

「チッ。なら場所を変えてやるわよ。それなら文句は無いわよね?」

「ガルア、止めとけ。アレで手抜きなら、多分金属を液体として制御する能力じゃ無い」

「……シュライク・バースディさんじゃ無いですか。お解りの様ですね。この大会は決闘罪を考慮せずともやれますが、それをやるなら犯罪に当てはまりかねないですからね」

「こいつに私は勝ててないじゃない。これじゃ単に勝ちを譲られただけじゃ無い」

「つまり、セーフティー無しで私と戦いたいと?」

「……それだと只の殺し合いね。確かに話が変わるわ。良いわよ、私の勝ちで」

「ご理解いただけて何よりです。シュライク・バースディの秘蔵っ子さん」

「……シュライク。私達も帰りましょう。今の奴で終わりなのだし」

「解ったなら帰るとするか」



 其処に水霧浄土が来る。

「少し待て。シュライク・バースディ。少し話が有る。主に体についてな」

「口調変わっているぞ、水霧浄土。それで体が何だ?」

「そんな事はどうでも良い。テレパスで話す『お前人外の身体を得たな?』」

『……なぜ解った?見た目は変わらないのに』

『此方は既に持っているからと言うだけだ。そして話したいのはそれの身体の外的要因なデメリットについてだ』

『……話を続けろ』

『人類対召喚システムが産んだ存在と言う全面戦争展開に成った場合、俺達は何方の立場にでも成れる。故に何方の立場に成っても戦後の立場は厳しい。負けた方の立場にも居られた奴なのだからな』

『……つまり俺達は全面戦争展開に成ったら何方が勝とうが損しかしない立場だと?』

『その可能性は高い。例外が有るとしたら同様な待遇の奴を集めて第三勢力的な立場に成る事。……まあエウミア連合国がそもそも人間と召喚システムが産み出した人達の住み分けの為に造られた国なのに更にそこから住み分けようなんてアレだから、そう言う展開に成った場合に限る話だが』

『……つまり、展開次第で共通の苦難が来る可能性が有るから、その時に協力出来る様に先に話を通して置く、と』

「『そう言う事だ。まあ、どうするかは考えておけ』話は以上だ。それじゃあまた。まあ、神格個体同士の顔を突き合わせる協力検案がそんなに頻繫に起きてもアレでは有るが」

「……ではまた」

……さて、どうしたものか。もしも全面戦争に成った時全てが一律に陣営分けされるかは疑問だが、此処はそうではなく召喚システム関連を潰す流れに成った場合の事を考えよう。召喚システムに存在が依存している奴らは当然止めに入る。そしてそいつの仲間もそれで召喚システムの破壊に成功してしまった流れに成ったとして……俺は消えるか?いや、そもそも召喚システム依存で無い生命のエネルギーを持つはずだ。そうでなければどちらの立場にも成れるとは成らない。何方か片方のみの環境に成っても生きていけるのでなければそうでなければおかしい。……うーん。アレだな。過程は考慮されず結果のみが考慮される。必要なのは結果で過程は二の次だ……なんて言う奴も居るけど、結果を出した後、過程にも拘って居なければ口出しされて面倒だな。そもそもそれを現時点では妄言だと切り捨てる事は出来るが、仮に確たる証拠を提示されても尚認めないのはアレな話だろう。それを捏造だのなんだの言い出すと、アレな事に成る。だから、もしも全面戦争に成ったなら、と言う前置き込みでその提案を受けるのは有りだと思う。あくまでもそうなったならと言う前置き込みでの話だが。あくまでもこれはそうなったら、で、これからそうなりますと言う断定の話では無い。条件上考察するとそのパターンもあり得ると言うだけの段階だし。……ん?この理屈が通るなら召喚システムの存在を召喚システムに頼らずに生存させる事は可能では無いだろうか?それなら召喚システムを全て壊す展開に成っても、関係無い状況に成る奴が出る。……これ、単に召喚システム関連の事を解決する為に召喚システムを全破壊するなんてしたら、召喚システム産の奴に、召喚システム産で無い奴で挑む必要が出る展開に成ると言う事か?……ダメだな、これ。召喚システム産の奴が召喚システムを壊せば全て消えるとしても例外が一定数居たら最悪な事に成る。召喚システムを国単位で壊す流れは簡単には成らないと言うか、そうなったらルート分岐次第で目も当てられないことに成る……。

「取り敢えず帰るぞ、今の話の話し合いがしたい。此処で話す話じゃ無いし」

「解ったわ。今度こそ帰りましょう」

 そして拠点に戻り、皆と話し合いをする事にする。

「召喚システムで産まれた奴とそうでない奴との間で全面戦争が起きた場合、今の俺とか、ジーヴルの立場は色々と不味い。主に戦争でどちらにも立てる的な意味で。シンプルに何方かに属すと負けた側からの恨みは大量に買うだろうし」

「なら成るなら中立か、戦争に関係無いと主張する為の第三勢力に成るか、って事?」

「エウミア連合国はまだ出来てから一年も経って無い新興国では有るけど、その国の成立させる上での大義名分上、召喚システムから産まれた存在や何かしらの能力者を一番抱えている国では有るのよね。……まあ、住み分けの為と言う割にはある程度普通の人間も居る訳だけど」

「それはまあ色々と事情は有る結果の話では有るが、エウミア連合国の国民人口は確か三千万人を超えるくらいだったか。いや、これのデータは古いがね」

「三千万人を多いと見るか少ないと見るかだけど、……成り立ちの都合上その中身の人達はかなりの割合で何かしらの能力者だと言う事を考慮するとヤバイ人数では有るわね」

「まあ、全員が全員ある程度以上強い訳じゃ無いだろうけども……確か、代表は水霧浄土じゃ無くて、ケールハイト・スプリングスだったか」

「え?水霧浄土がトップじゃ無いの?」

「らしいな。そうでも無いと先の協力検案時に自分を国のトップだとして言うはずだし……まあ、水霧浄土がトップ扱いを嫌がるのは今回の話の関連が原因かも知れないが……場合に依るとは言え傍観者の立ち位置に成る気がそれなりに有るからこんな話を持ち掛けてくる訳だろうしね……」

「まあそうされようが何とかなるでしょう。最悪の場合地底に逃げれば辺りの物は全て防壁として機能しますから」

「テラは大地其の物で、特定の場所が身体のどの機能を果たすかは、決まっては居ない。だったか。これだけなら星の丸ごとの制御も視野に入るかも知れなかったのだが、先客がマントル関連を掌握して居るし、それでも地表全般の掌握はして居るが」

「そもそも無駄に衝突が起きるのを防止する的な意味で、他に土を制御されても基本的には放置ですけどね。そうでないと既存の土を使う系の奴全員と敵対関係扱いに成るので、ですが」

「実際、実質自分の身体を好き勝手されるのを放置するのはどうかと思うが」

「……膨大に有る物の化身系の存在はそれを気にする権利なんて無いですよ。それを対価に生存力が上がって居るのですし」

「別に必ずな対価と言う事は無いだろう」

「仮に、と前置きした話をします。全の化身と言う存在が仮に居るとして、そいつの身体はその全に含まれる全てに、起こり得る全ての事をされています。まあ規模が大きく成り過ぎた上でされるなら、そうですね、同じスケールの奴にやられる事を相手のサイズを極端に小さくした上でもう一度考えてみてください。私の場合、土に対してやられることはそれと基本的に同じに成ります」

「……テラ、それはつまり、アレか。スケールが違い過ぎるせいで触られてもほぼ意味が無く成る的な感じか……」

「早い話そうなります。私側がそれを意図的に意味が有る様にしない限りは、ですが、それは不感症と言うよりも触られてもスケール的に意味が無く成って居る状況と言う奴ですね」

「その理屈だと中途半端に支配範囲が広い奴がアレだが……」

「ある程度未満のそれなら、独占の為の行為をしても別に問題ないと思いますけど」

「……ぶっちゃけると後続の神格個体が一定以上強くなる方法は有るが……それが意図的に出来るならその方法に拘る必要がそもそも無いし、かなり他の神格個体からヘイトを買う事に成る。……要は他の神格個体を倒した上でそいつが復活する前にそいつの支配領域を支配する設定の奴を創り、それを既存の強くしたいのと融合なり合成なりすれば良い。只、これに問題が有るなら、残る他の神格個体の広範囲の奴に喧嘩売るような物な上、そもそも意図的に即座に神格個体を創れるなら、新規の神格個体を創る方がそう言う問題も無くて穏便に済む。単に強くなりたいだけなら他人の設定に乗らないと神格個体創れない奴でも無いとやるに足る利点がデメリットを下回る形な訳だな」

「……それをやると、恐らく発覚した時点で他の神格個体からの袋叩きを受けませんか?リターンが大きくても途中工程上のリスクがとてもじゃないが現実的では有りませんね」

「メタ視点的に言うと、何で戦う所に氷雲神の造り手が居る事が先に解っていたの?氷雲神の造り手は其処に居ると喧伝でもしていたの?なら、何故なの?それに神格個体は一部の能力持ち以外は結構倒されていると言う話も有った気がするよ……」

「……つまり奴は何かしら企んでいる、と?」

「じゃ無いと不自然かなって、負けたのが悔しくないのはそれ以上に強くなる算段が有ったからだとしたら納得出来るけど」

「……やばくないか?それは……だが、まさか普通にそれをやっている訳も無い……でも流石にそんなに派手にそう言う事に成って居るなら問題に成らないはずも無いが……?」

「……なら一定以下の神格個体同士の結託をやって居ると言うだけでは無いですか?で、その過程で融合なり何なりする場合に、死んだり負けたりした事にしているとか」

「……そうでも無ければ手持ちの神格個体倒された奴らが新しく神格個体創って、再戦を挑む……とかしていても確かにおかしくない……なのに大きな問題に成って居ない。居なかった……何故ならそれらは只の殺し合いとしての欠員では無かったからか。そして、自作の神格個体を殺された奴がそれなりに居て、なのにその犯人をそいつらが大事にして倒そうとしない?倒せないからなら大事にして上位の神格個体を巻き込めば良いはずなのに?……うわぁ……これ、速く気付くべきレベルの検案じゃ無いか……動くとするか。結局水霧浄土側に交渉した方が早いのだし……」

そして話を通すと、

「そう言う事が仮に行われて居るとして、それに対する対抗策は簡単で、此方もそう言う事を行えば良い……が、それはそもそも一定以下の神格個体達が一定以上の神格個体に敵わないからそうしよう。と言う話のはずだ。つまり、此処で此方がその範囲外の奴らやそいつら以上の奴らで同盟をおおっぴらに組むのは、小国連合に大国が恐れをなして大国同士が同盟を組みましたと言う話に成る……流石に此方のメンツが潰れるぞ、それは……だから、現段階ではそれが出来るとするなら水面下でのみだろう。この例えで言うならそいつらが大国に手を出して来たり、小国側が此方に救援を持ち込んで来たりしない限りは、だが」

「解り切った火種を放置するのか?」

「じゃあ介入するとして、どういう大義名分で介入する?単純にそれが原因で此方が神格個体を創れた奴らからヘイトを受ける事に成ったらアレ過ぎるし、更にそれは当人同士の間では問題では無い。此方も同盟を組むか内政干渉レベルの事をやりまくる必要が有るぞ」

「内政干渉は流石にアレだと成るなら範囲外の奴らと同盟を組む形が無難か……」

「まあ話は解った。此方も他と話を通して置こう。同盟を組むと言うか、その大義名分的に一定以上の奴は範囲外と見て良いだろうし」

「流石に舐め過ぎである気がするが」

「……ん?なんかおかしくないか?」

 辺りを見回す……。見渡す限り何もおかしくないはずなのに何か歯抜け感を感じる。まるで其処に有った物がない事に成ったかのように……。と思うと何処か別の場所に跳ばされていた。……。何処だ、此処……。水霧浄土は、居ない様だが……。何か一部の神格個体が此処にはそれなりに居る。それも先の違和感が埋まるような形の奴らが。

そしてその内の一人が叫ぶ。

「くそ、誰かの能力で世界を追い出されたんと違うか、これは」

世界から沢山の奴をその世界の力で追い出す?……現実問題として可能なのだろうか?それをやるのが独自な世界観設定の世界でなら尚更だ。今居る世界独自な物が他の世界でも問題使えるのだろうか?その力の前提が他の世界には存在しない的な意味で。それが成立するとしたら世界の端辺りまで強制的に移動させる事くらいだろう。それをする力が世界の外まで力を及ばせられない的な意味で。

「どうするこれ、異世界に大量に神格個体が跳ばされた?概念系全般とか、大量に膨大に有る物の化身系なんかも居るだろう?でもそれが成立すると言うなら世界からそう言う物が全部消え去ると言う事だろう?我々はパイロットじゃ無いのだからそれを実現しようとしたら該当の物を全部世界から出す事でしか、無理なはずなのに……仮にそうされたのなら元の世界は地獄じゃ無いか?世界に有るはずの膨大な数の物が一斉に消えたのだから」

「……それだと結構な奴が死にませんかね。生存に必要な物も大抵無くなっているのだし」

「いや、追い出した直後に即座に全部作り直せば……或いは……」

「……それがもしも出来ると言うなら要は自力で創世が出来ると言う事で、……それならあの世界に拘らずとも勝手に何処かの世界の創造主にでも成れば良いレベルの所業だが」

「一先ず元の世界に帰りますか。場合によっては呼び戻して来るかもしれないですが」

「一先ず帰る方法を探すか。全部の神格個体が此処に来ている訳じゃ無い様だし」

 そして帰る方法を探すことにしたのだった。



 ……おいおいマジかよ。シュライク・バースディがいきなり消えて世界の物もだいぶ消えた。アレか?世界からの追放能力か?で、それをした結果それに付随する物も消えた、と。俺と同じ前提の神格個体なら、あくまでも俺らはパイロットでは無い。その何かの化身で、その対象物その物だ。つまり、パイロットを狙うピンポイントキルと言う手法は成立しない。……何故ならスライムで言えば全身が中心核みたいな物だからだ。つまり、概念的に一律で神格個体の消去でもしようとして、余計な物迄大量に消えた訳だ。此処で犯人の取るべき行動は神格個体を元の状態に元に戻すのではなく残る神格個体無しで元の状態に戻す事だが、

『それが有るか無いかは俺が決める』

‼声が辺りに響く。……。この現象の原因はそれが其処に有るか無いかを決められる能力だとでも言うのか。そして辺りに膨大な量の化物が満ちる。神格個体を大量に消した上で、化物を大量に召喚したのだ。化物が大量に其処に居ると決めでもしたのか。攻撃を行うが。

『ダメージが有るか無いかは俺が決める』

 ……くそが。システム干渉発動。あくまでもそれはシステム産の物だ。なら、システム干渉でシステムホールを強制的に作れば良い。近場の奴は倒せたが……何とかしないと。

 仮説を交え前提を整理しよう。原因の能力は何かが其処に在るか無いかを制御する能力だと仮定する。つまり、どんなスペックの奴を出されようが、そんな物は無い、と切り捨てた結果で、化物の召喚は化物が其処に在るとして無理矢理存在させた物。つまり、召喚主の力さえ潰してしまえば全て消える物だ。基本的には自衛するのに必要な範囲以外は無視で良い。能力で無理矢理存在させただけだから、それを潰せば存在基盤が消えるのだからな。そしてダメージの無効化はダメージが無いとした結果。……なんかアレだな。例えるならば、システム作成者側のゲームバランス調整上の権限をフル活用したような能力だな。システム干渉能力ならこれに対抗を出来るのは、単純にそれと同系統の能力だからだろう。……つまり、これはシステム権限その物を悪用した様な能力。システム干渉能力を持つ奴以外の立場なら論外では有るが、別に対抗策が無い訳では無いし、システム干渉能力を極めれば俺もやれるはず。まあゲームで例えるならシステム作成上の調整に使われた物に関わるシステム上の機構は有るはずで、メンテナンスとかの為のそれを使ったと言う奴。別にこれらは、無根拠な最強無敵チートなんて物じゃ、決して無い物でしか無い。それに干渉出来れば活路は有る。

「水霧浄土。シュラを殺したのですか?」

 其処にシュライク・バースディの創った地母神が介入して来る。……この状況、俺がやったと思われているのか、これは……不味いな……。

「いや、地母神それは違う、違うから」

「問答無用」

そして即座に地面が蠢き出しそこから土砂製の大量な物がこちらを追尾してくる。それに大量な水を浴びせ、泥扱いにして、何とか制御に割り込み凌いで行くが。流石に厳しいな、これは。

「だから、誤解だってば。敵は別に居るって」

「なら何故貴方は無事なのですかっ。貴方は無事で、シュラが無事じゃない根拠は何だと言うのですかっ」

「そんなの分かるなら苦労するかっ。そっちの仕様の把握なんて此方はしてないのだから」

「……。では心当たりも無いのですか?」

「……もし仮に有っても此処で喋れるかよ。システム干渉能力関連かも知れないけど」

 地母神は落ち着いたのか、

「システム干渉能力、ですか……。システム干渉能力ならシュラも持って居ました。それが根拠ならシュラも無事で無ければおかしいですよ。……それとも此方の上位互換のシステム干渉権限でも持って居ると言うのですか?」

「そちらの仕様がどんなのか知らないから解らない的な意味で、答えかねるな、それは」

「では特殊なのは持つ様ですね。それが今回の原因で無いと断言出来ますか?」

「そちらの仕組みを知らない限り正確な答弁は不可能だ。別の理由なら話すだけ損だしな」

「……私は大地其の物です。それはシュラにも及びます。ですが、私は無事で、シュラは何処かに居なくなりました」

「……ん?おかしいな。それが正しいなら、シュライク・バースディの命の基盤はまだこの世界に有るはずだろ?何で居なくなった事に成っている?死んだと言うには生存基盤は残りっぱなしな訳だが?」

「……」

「なんかさ、一先ず生存基盤は残りっぱなしならさ、それを介してシュライク・バースディの方に干渉出来たりしないか?」

「!……やるので少し待ちなさい」

「……はいはい。此方も水神に連絡付けますかね……」

なんか全部消したにしては杜撰だが……まあ星が消えるレベルの事をしないとそもそもHPゲージを削り切れない奴なんて居るとして、全部消したら星も消えるだろうし、宇宙環境で生きられるとか、宇宙船有るだとかでも無いとそんなの消すのは自殺行為的な意味で、無理だよな。だから一部の奴は無事で、……そしてその結果、連絡手段が残って居る事に成るのだが……まあ、それを消せる奴ならこうは成らないか。あくまでもHPゲージがそのレベルの事をやらないと削り切れない事の反論に星を消せるレベルの攻撃を持ち出せば良いのだな?とか言われても、それで無抵抗でそいつが攻撃を受けるのが前提にされて話されてもアレなのだけども。さて、連絡を取りますか。



 いきなり何処かに飛ばされた奴らで話し合いをしている時に俺の身体に異変が起き。掌が熱くなったので、掌を見ると、文字が浮かび上がって居た。

『シュラ、貴方の生存基盤を介して貴方にメッセージを送って居ます。それを介して返事をください。テラより』

「キタコレ」

「どうした?」

「此処に来てない奴から連絡が来た」

「……。それは本当に本人からの物か?犯人側が罠を仕掛けている可能性は無いか?」

「……本人確認取れないなら信じるな、と?」

「こういう時は本人で無いと解らない質問を本人確認の為にぶつけると言うのが定番だ。相手の使った回路をそっくりそのまま逆流させて使い返信しろ。罠にしてもそれなら使う部分は既にばれていて、無駄に情報は渡さないで済む」

「解りました」

 そして行われた介入に対して返信を行う。……よし。本人確認は取れた。……テラが既に敵に捕らわれていて、聞き出されたパターンとかなら不味いが、……それは考えても仕方ない。そうだとしても情報はある程度は貰えるはずだし。

さて、向こうは世界に有るはずだった物が色々なのが消えている、ね。……何か大量に有る物の化身系の奴達を世界の外に締め出そうとしたらそうしないと無理が有るか……テラが巻き込まれて無かったのは大地其の物の化身なら、大地其の物を全消しが必要で……それをしたら神格個体を追い出しての占拠の意味が無いから、か。つまり、その行為がやれるかやれないかはそれには関係無く、それをやったら元も子も無いから効果対象外でテラは無事と言う訳だ。……神格個体を全部の締め出しをしたくても、それをやったら元も子もないタイプの奴はそのまま……化身系の奴はある程度効果範囲以外としてそいつの実力は関係無しに向こうに残ってそうだな、これは……。



『他の奴の行動の権利が有るかは俺が決める』

『攻撃の意味が有るか無いかは俺が決める』

……。システム干渉で無視。システム干渉出来る相手にシステム上の制限付与なんて根本的に意味無いだろ。それをやるシステムに干渉すれば潰せるのだし。まあ、システム干渉が出来無いその他大勢はこれで潰せるだろうけども。……なんか苦しみ出した人が出始めたな。何だ?と言うか動きにくいな……あ。空気の化身とかも、もしかしたら居るのか?で、空気の化身が動けない→全体の空気が停滞して→皆が呼吸不可に、と。まあ呼吸が必要かは俺が決めるとかで対処されそうだが……。俺はそもそも呼吸必要無いから問題無いが、呼吸不可で死ぬ奴出る奴だろこれ。……暗くも成ったな。光の奴も動けなく成ったか?さて、何処に居るかな。これで殺せたと思われて居たら楽なのだが、ね。

「シュラは何処に居ると思います?」

「……この世界と能力的な繋がりが消えない範囲な以外ノーヒントでそれを当てろと言われても、だが、直ぐに戻って来られない場所じゃ無いと意味が無いから少なくともこの星上の何処かでは無い。でも能力は及ぶ場所と言う事は行き来する方法が皆無な訳では無い。無難なのは単に異空間を創って其処に全員閉じ込められたと言う奴だが……流石にそれだと被害者の神格個体全員が格落ちしすぎるから別のパターンだろう。能力が及ぶ以上は大枠的には同じ世界では有るはずだし。地獄とか、冥界とかに飛ばされているとするには彼方に切迫感が無さすぎる。ゲーム的に考えれば有るや無しの状態を如何にかする能力と言う割には生きている様だしなんかな、強制アカウントバン?いや、アカウント凍結されているならそもそも答弁できる状況なはず無いし……ゲーム的に別空間にプレイヤーを移す行為でアカウント凍結でもアカウントバンでも無い……うーん?あ、パソコンで考えれば良いのか。対象ファイル扱いの対象者をゴミ箱空間に捨てる能力?……あー、でもそれなら簡単に戻って来れそうだし……」

「なら、そのゴミ箱が異常に遠い場所に有るとか、ですかね」

「あくまでもシステム上の能力なのにそのシステム外には……ああ、ならシステムの範囲の最外周部の特殊空間辺りか?だがそれだと転移とか転送で戻って来れそうなのだが」

「システム上的にその空間から出られなく成って居るとか」

「……システム的に場所との紐づけ、神格個体を留めるとなると何らかのシステム干渉が出来ないと、そもそもそれは正規な方法以外では脱出は無理なのでは?そうでも無いと格落ちしすぎるし。でもどうせ閉じ込められない奴が居るのだから少しの差は許容して、そう言うのが出来ないだろう奴だけを閉じ込める、と」

「それが出来ない奴だけ対象にしたとか?」

「……さっきと言っている事が違うが、……それだと最上部の奴らは全員野放しなままだろ。そう言う奴ら全員真正面から戦って勝てるならそもそも……いや、それをすれば無制限な数の暴力だけは防げるか。……まあ分身とか戦力増やす能力使えば済むのだが……」

「仮に紐づけにその場に留めよう、収めようと言う強制力が有るなら私は何故、それの支配下に私が無いか?と言う話に成ります……つまり、空間からあふれるくらいに巨大化すれば脱出は可能なはずです。要は紐づけの部分さえその空間内に在れば良いだけのはず、その空間のキャパシティオーバー的な意味で、ですが」

「……えげつないな……しかしまあ、アレだな。規模とかスケール的な意味で相手には無理なレベルの奴を出している場合、相手のそれでも勝てるし、とか言うのは、どう受け取れば良いのやら」

「……只の設定勝負なら後出しじゃんけん的な意味で後出しの方が強くないとそれをやる意味がそもそも有りませんよ。それが負けに行って居るなら話は別ですが」

「何だろう。こちらを殺せるし、とか仮に思って居るとして……おっと、聞かれてはアレか。『そもそもの話、相手の設定なんか知るか的な能力が最強なら設定勝負と言う名目自体やっているのじゃ無いよ過ぎるが』」

『……最強無敵的な設定出されても、どんな相手でも殺せる的な設定を出されても相手の設定を度外視出来る能力は弱くは無いはずですが』

『……それを成立させる場合、理屈無しのそれを有りにしたら、なんていうかな、そうだ、適当に自分で生成したこれを壊す。相手は死ぬ。的な能力も有りに成る。無根拠のそれが有りと言うのなら、そもそも自分の最終的な生存を勘定に入れるのを放棄でもして無いとこの世界では論外過ぎる。誰もがそう出来るのだから。その仕組みを始める奴が、それこそ初手で他の全員を即死させるつもりでも無ければ、だが』

『逆に言えばそれをすれば良い、と?』

『……全部一人で何事も全部やる気か?もうそれなら誰かをわざわざ殺すまでも無く無人島にでも行けば済む話だろ、そんなの』

『銃が有るからと全員が即殺し合いなんてしないですよ』

『……市民に向けての銃乱射事件の犯人の撃つ対象を全人類対象にするのも可能に成ると考えたら解るよ。一人でもそう言う思考の奴が居たら全員死ぬ。そう言うのが有りなら、な』

『……無茶苦茶ですね』

『理屈も合理性も何もない能力が有りならそうなると言うだけ。それを運用する上で自分の最終的な生存を度外視しているなら話は別なのだろうけど、それを有りにすれば他に同じ理屈で殺されるだろうがね。強いから死なないなんてありえなくなるのだから。自分だけが例外?対抗策でどんな理屈を持ち出そうが不成立だ。他を殺す事が理屈も合理性も何も無くても成立出来るなら、他にもそうされるだけだから』

『じゃあちゃんと理屈が有ればそう言う能力も良いのですか?』

「『それならまだ対抗の余地は有るだろ。例えばそれをする為のエネルギーを壊すとか、ね』さて、彼方に連絡を、」

 其処に奴の声が響く。

『ドレインミスト』

 辺りに膨大な数の何かが蠢く……耐久性がどの様な物でも関係無しにそれに触れた物は崩れていく。……だが、此方に触れても何も無い。……良く解らないが恐らくは相手が想定していた此方の仕様と此方の仕様の違い故の能力の対象外化と言う奴だろうか?ゲームだと。そうだな、ドレインとか言っているし、仮にHPゲージを一定量奪う能力だとしたら、生存基盤の違う奴にはそりゃあ効かないわと。仮想敵像がそもそも間違って居る状況での専門的な最適解なんて相手に通じるとは思えないし……。まあ、通常の奴には効くだろうからあれなのだが……。

「あーもう。単にメンテナンスシステム乗っ取りならシステム作成者が介入して来る検案なのだろうけど……攻撃がそもそも対象外の奴で殺そうとしてくるとか、流石にシステム作成者や、システム全把握している奴の所業じゃ無い。もしそうなら全部に効くように作るはずだからこんな事に成らないよな。……あー幾つも手札見せて来ている相手にその内の弱い奴だけ攻略したから、お前を完全撃破したぞとか、言われてもあれなのだけども……最初は違ってそれだけだった?……成長する度外視してマウントとか、強くなる前のそいつの最弱状態時の奴に勝てれば今なんてどうでも良いとか言っちゃう奴?なら作中強くなる奴は弱い状況の奴を攻略すれば、そいつが後にどれだけ強かろうが倒せたって?産まれた時から即座に最強の奴以外は大抵死ぬ理屈なのだけどな、それは。まあ、一先ず全て壊れろ」

 そして辺りのエネルギーは等しく壊れた。

「……水霧浄土。貴方持つのは水の力だけでしょう?」

「水で攻撃するのに水に威力を持たせるのは基本中の基本だろ。それで全部壊しただけだ」

「……水蒸気に威力を持たせて攻撃になるように操った。と言う事かしら」

「それだけでは無いが認識としてはそれで充分。まあ……だよね」

『空間内に水が有るかは俺が決める』

「じゃあ、ちょっと各地巡りするから彼方に連絡よろしく」

 そしてそのまま水を消され、押し出され、俺はその範囲外の方に意識を移動し、再び、攻撃を再開する。そんな事をしたら、全部の水を消されるだろって?……仮に全部殺す気ならそもそもこんなまどろっこしい真似などしなくても、生死関連の奴に言及すれば良いはずだし、もしそうしたならそもそも生物の全殺し検案だろう。それとも支配下に置きたい奴全てを水が無い状況で永続的に生存出来る状況にでも……スペック次第では出来るかもしれないが、それがやれるなら此処迄の手法がまどろっこし過ぎる。今回の場合なら例えば根本的なルールを変えればそれで済むはずなのだ。だがそんな力は奴には無い。そもそもシステム干渉能力が此方にも有る以上は全消しはされない算段くらいは有る。此処は何回も行使させてシステム解析をする事でもしようかね。



 ……この状況では流石の水霧浄土も冷静じゃ無い、ですか。私達にはシステム改編の方法がちゃんと共同の手札として既に有るのに。……私が取りに行くとしましょうか。本格的な勝負はそれから、ですね。今回の場合は遠慮無く使わせて貰いましょう。そして移動します。問題のそれがある場所に行くと水神が先に居ました。

「……地母神。貴女は水霧に頼まれて無いでしょうが。私がやらせてもらうわ」

「今其処で意地を張る必要有りますか?水霧浄土は貴女の物で良いから速くやりましょう」

……なんだ。水霧浄土が水神に連絡するとか言っていたのに水神が合流して来なかったのは向こうに捕われているからじゃ無くて、別件で動いていただけと言う事ね。……まあ、あそこでそれを話したら聞かれている可能性は高いですけど、なんか釈然とし無いですね。私にテレパスで説明しても良かったはずですし。……まあ時間稼ぎとしては有用な行動を取って居る訳ですから、其処から推察出来ても良かったかも知れませんが、水霧浄土とはそこまで仲良くは無いので仕方無いですね。……まあ浮気するのじゃ無い的な理屈でシュラをああしたのに私が浮気と呼べるレベルで他と仲良く成ったら元も子も有りませんし。……敵を騙すには味方からとか言うにしてもなんか釈然とし無いですが、考えている暇は無いですね。始めましょう。

 そして私達はシステムロールバックを行って変更を元に戻して行きました。まあ、データ編集とかよく一手順前の状態に戻す機能も有りますからね。それを連打して介入前まで戻せば良い訳です。別にこれは時間の巻き戻しでは無いですから、システム制御で起きた事以外に関してはそのままですが。……これで後はシステム介入量の水掛け論に成ります。……相手側がある程度先に行動した後から開始なので最初は不利ですが無理を通して神格個体を隔離した所まで戻せば後は無制限な水掛け論が可能になりますから、要するに相手は早く行動出来た代わりに勝利条件が厳しく成って居る訳です。それの±を考慮すれば、隔離された神格個体をある程度解放するまで行けたら後はパワーバランスが崩れる訳で、そこまでは無理してでも行けば後は只の質の伴う物量押しが可能になります。……まあ、相手としては短期決戦的な力の配分なんて自分からやれるはずが有りません。それは相手からすれば少なくとも全体の形勢が決するまでは続けて居なければ成らないので、短期決戦的に力を全振りするなんてとてもとても。いや、全力を使い果たすレベルの事をしてくれたらそれはそれで良いのですが。まあ、それ故に後は初動全力でぶちかませば一気にバランスは此方に都合の良い形で崩れます。相手からすれば後の事を考えない対応なんてしたら負けなのですから、これはまあ、しょうがないでしょうね。これは相手が手抜きでも、此方の全力を問題なく上回って居るのでも無ければ成立する理屈な訳で、でももしそれが成立するならこの状況にそもそも成って無い訳で、で、それに加えて追加兵力が続々と追加迄される、と。現状基本的に只の戦力比率で言えば此方に優勢にだいぶ傾きましたが、問題はそれで復帰するのは相手のさじ加減で追放が簡単に出来る奴らです。ですが、その神格個体達がもし戦力として役に立たないとしても、相手に対処が必要な物が増えたので相手のリソース不足の状況を強制する事には十分役に立つ状況なのですけどね。ですから、程なくして全員の解放が完了しました。……まあ、問題はこれからですけど。メンテナンスシステム介入でどんなシステムも改編出来るとして、此方の戦力が正常に機能しないようにシステム介入するのは目に見えている訳です。つまり、結果として、例えばフレンドリーファイアが相手の妨害で大量に意図的に起こされます。相手がシステム上の物理演算にも介入して居る結果、まともに攻撃が飛ばず、変な方向に飛び、誤爆する結果、でしょうが……。其処で領域系の奴が展開を始めました。恐らく継続ダメージを受ける領域と、味方だけを継続回復する効果の領域の重ね掛けでしょうか?システム上の綱引きを延々と繰り返す展開に成るなら、少量の追加の継続ダメージも結果的に馬鹿に出来ないくらいの物に成りえます。まともに攻撃が動かないならもう全域を攻撃で埋めてしまえ、と言う奴ですね。回復技を使われようが関係ありません。ただでさえ手数が足りない時に追加の手数減が増える訳ですし、対処されるのは良い、だから同時に可能な手数全てを使っても対処不可能な手数を同時に延々とぶつけ続ければ良い。数千数万の能力のどれかが通ればそれで良い。後はそれを繰り返すだけ。キャパシティオーバーでの対処漏れを意図的に発生させ続ける。……これが数の暴力です。数の程度は幾ら盛っても良いですが。……まあそれは相手が出している物を全部攻略出来ている奴が出す奴に相応量含まれていることが前提ですけどね。……簡単な強力な一撃を撃てば終わるだろう?ですか?それは相手が格下なのが前提のロジックですね。この話はある程度は相手が同格以上でも現状は成立しますけど。隔絶した実力差なんて話の展開的に無いですから。この手法は隔絶した実力差の相手には通じないとしても、この話の展開的になら何も問題はないですから。まあ相手の目玉の奴が此方も持っていて。同じ程度に使えますからね。後は水掛け論的な展開に成るのは仕方無い訳では無いのでしょうが、此方だけ手数が増える形ですからね。……これについては元々有った手数が元に戻るだけですけど。……って、此処に来てシステムへの過大な負荷に依るシステムの処理落ち、ですか……。まあひたすら大人数で大技連打とか、それはそうなりますが……え?其処でシステムに依存し無いシンプルな投擲が敵を穿ち相手は沈黙しました。……何と言うか、アレですね。敵のキャパシティオーバーを狙って居たら、システム側のキャパシティオーバーが敵よりも先に来て、システム側の能力が潰れて能力が関係無い只の武器投擲で終わる、と。……何と言うか、外部の力に頼るとか、突き詰めるとアレな事に成るのですね。外部に依存していて、そちらの方の限界が先に来た結果、システム側よりも強かったのに、システム側に依存していた能力が総崩れ、と。……何と言うか、他の何かに依存した能力だと、こういう事が有るのは覚えておきましょう。其処に声が響く。

『大変な事をしてくれたね。私は其処のじゃ無いけれど、でもまあ時は満ちたと言う事で良いか。まあ端的に言えばシステムのメンテナンスシステムの処理落ちが何を意味するか、と言うのを考えれば分かると思うけど、ある条件を満たす一部の奴はいい加減に隠し札を出せば良い。そうすればまだ今は何とか成る状況だから、ね。じゃあせいぜい頑張り給え。ファイヤーウォールは消え失せたのだから』

そして声はそのまま消えた。……ファイヤーウォールは消え失せた?そしてそれが大変な事?……つまり、それが必要に成る様な相手が居て、今回の処理落ちでそれを防ぐ物が壊れた?この世界は箱庭とか方舟的な感じの世界だったと言う事?でもそれを何とか出来る奴が何人か居る、と?捨て台詞と言うにはシステムの処理落ちが起きた直後なのだから笑い飛ばすのも難しいですね……。それを鵜吞みにしないにしても、システムの処理落ちらしき事が起きたのは事実では有る訳ですから、それで何か他の事が連鎖して起きたと言う事は十分考えられる話では有ります。本当か確かめる為に調査が必要ですね。……此処でそれを確かめないで、放置した上でそれが事実だったなら、特大のやらかしよね。……既に今もそうだけど、挽回しようはまだ有るはず。……一先ず先の話的に、水霧浄土がそれを持つ内の一人じゃ無いかしら?そして移動し話しかける。

「……何と言うか、一先ず調査でもするか」

『……水霧浄土はこの状況を如何にか出来る手札を持って居るのでは有りませんか?』

『……何と言うか、あのさ、多分そのファイヤーウォールを如何にか作り直せ、と言う意味なら、既存の今回の使った奴でも出来るはずだが』

『……それを試しますか』

「……何と言うか、あのさ、何で先にそっちに行くのかね?」

『ああ、シュラ戻って来られましたか。今はそれよりも、です』

『……正直さ、今回の事を大事が起きないように如何にか出来ないと今回参加した神格個体全員が糾弾される流れに成りかねない訳だが、対抗策は無いのか?水霧浄土自身には』

『だから、今回の原因のシステムをまた使えば良いだろ』

『処理落ちの状況に更に上乗せする気か?』

『なら、だ。システムの役目を果たす役割を持つ個体でもシステムで創るか?メンテナンスシステムが壊れている今ならそれも通るかも知れ無い。何より、この件にのみ使える物ならシステム側がお目こぼしをしてきても可笑しくは有るまい』

『……つまり、今回の能力の機構を組み込んだシステムとしての個体を用意すれば良い、か』

『……解って居る。それはいわゆる人柱だ。システムと同意義の個体を用意する事でシステム自体のメンテナンスをする上での判断基準を増やしたいからだが』

『間接的に召喚システムに意思を持たせる、か。それが出来れば確かにメンテナンスはやり易いが、そんな存在が居たら今後の全員の召喚システムの使用内容がそいつに筒抜けだ』

『構築に理屈が必要な以上、何処かの誰かがいきなりそれを創る展開は無いだろうが、……俺達ならそれの前提情報を持つのだから出来る訳だろ?先に創って置いて、その個体にシステムの意思の全掌握でもして貰っておこう。そうすりゃ他にそうされても先に掌握済み的な意味で大丈夫だと思う。……何と言うか、不可能な事を可能にするために必要な物を提示出来る奴を創る。まあこれは基本的な話では有るが……今回の場合は作業に必要なツールは有っても、直すのに必要な作業手順が解らない的な状況だからな。最悪それを知れれば良いだけだろう。創るぞ。システムの詳細設定を知る他の神格個体にも話を通してからさ』

 そして話を通してから、その個体を創る事にしました。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る