ゴーレムで地下に色々と創る為の資金集めのつもり……だったのだが?(仮題)

@azeru1000

第1話未定

「フハハハハハ。神に貰ったこの無限の力さえ有ればどんな力が来ようとも倒せるのさ」

 ……事実としてのそいつの周りには無尽蔵とも言える滅茶苦茶な効果と威力の満ちた、エネルギーが満ちていた。だが、勘違いが一つ。

「どれだけイキっても、只の人なのならば所詮世界の一部品。ならまあ、世界をぶつければ倒せるよね」

 そして俺は無尽蔵と見まがう様な力に対して力を行使しそいつを消し去った。それはタイムパラドクスの世界の修正力を狙った対象に強制的に発生させる能力。差し詰めパラドクスクリーナーか。まあ、パラドクスを正すと言う性質上、異世界人や時間を超越する手段全般等の本来ならばそこには居るはずのない存在に対して効果が一番発揮される。その存在がどれだけ大層な存在で有ろうとも、そいつが只の人間だと言うのならば。……。どうやってやったかって?単に世界の力を誘導してぶつけただけだが、世界其の物と存在としてぶつかり合えるレベルで無いなら簡単に消せるのだよな。ゴホン。自己紹介が遅れた。俺はシュライク=バースディ。召喚システムによって歪んだこの世界で、神格個体を創り上げた奴の内の一人だ。……。と言っても、他の神格個体を創り上げた奴達に比べて、俺はかなり出遅れているのだが。水神は海底国家、天空神は空中都市、火焔神はマグマの中に同族達と勢力を揃え、……。俺が創り上げた地母神はまだ然程デカイことは出来ていない。今挙げたこの三つが出来て神格個体を創り上げたにも拘らず何故自分が出来ないのか。その理由は簡単。彼ら彼女らは誰も利権を所有する事の無かった部分の利権を獲得した為だ。それに比べ此方の地母神。テラ・マーテルはざっくり言うと、大地制御能力を持つその結果の領分は要するに土地な訳で、所有者が居る様な場所の奴の物の所有権を主張するのは強盗なのだから、ね。だからこその出遅れだ。少なくとも能力的に地底都市くらいならやれる余地は有るはずなのだが、問題は土地の所有権だ。創るなら相当地下深くに創らなくてはならず、インフラ整備はそう言うのが揃う場所から当然遠くなければならず、端的に言えば地底都市を創る上での資金が足りないのだ。地底都市とか水責めでもされたらアレだしね。なので、水神が主催する大会に参加者側として参加することにした。それでコネでも創るとしよう。

「シュラ……資金難の解決の為に大会に参加すると言うのは良いのですよ?問題は其処ではなくて、ですね、その、つまり、水神との伝手は既に有りますが、神格個体を、つまり、私を創れていて、なのに他の神格個体を頼り、その神格個体にレールを用意されて介護されて躍進したなんて成るのは外聞が悪いと思います。と言うか止めてください」

「……とは言え、それなりに資金難を如何にかしないといけないのも確かだが」

「人手不足なら何とか成る手段は有りますから……それで何とかしてください」

「確かに土人形と言う意味でゴーレムの量産が出来て、それで人手は何とか出来る。同族を大量に創り上げ、勢力を創るか、国家や都市を創るか。……同族を大量に作るのは簡単で、問題は場所な訳だが、マントルよりも内側は既に火焔神に取られている訳で」

「龍脈や地脈の化身もいますから、風水的に良い場所や、宝石や鉱物系を避けるために鉱山系の場所も避けるべきです」

「とは言え、全部避けたら此方の取り分が無い。鉱石の生成する能力なんか無いのか?」

「有る事は有りますけど、魔法製の物質は魔法が切れれば消えますよ。食べ物に火を通す形での魔法の結果。つまり、魔法でその形態が維持されていない物なら問題は無いので土砂を大量に用意すれば本物も作れて、それは魔法が消えても残ります」

「……ならば道路の補強工事とかで山を削りコンクリートとかで補強工事をする奴が有ったよな。それの工事で出た土砂の廃却分の処分を受け持つ形で貰うとか?」

「材料の質に拘らないのならばやりようは幾らでもありますが、神格個体を得てする事がそれかと言われると……」

「高貴なる者の努めとか知るかよ。こちとら召喚システムが出来る半年少し前迄は只の一般人だったのだから」

「とは言え、小説で出る様な最強無敵的能力を持つ奴が沢山居て、そいつら全員が好き勝手やりますなんて事態を有りだとするのはどうかと思いますね。忖度抜きの創作主人公達の対決に巻き込まれるのは幾ら強くても勘弁ですから」

「……相手が強ければ強い程威力が上がるとか実際可能なのか?実力を超えるそれなんて制御が失敗して終わるだけだろ」

「ゲームなら簡単ですね。ダメージ計算時にダメージ計算式に項目を追加すれば良いだけですよ。そしたら此方の操る力は自分の実力の範疇で、でも威力は絶大です。何故なら相手がそれの威力が絶大だと受け取っただけですけどね」

「うわぁ……計算式介入はずる過ぎるな……」

「特定の相手にダメージ何倍とかは倍率の高さを考慮しないならざらに有る部類の能力ですが?」

「でも此処は現実だから。そんなのは通用しないから」

「逆に言えばゲーム的な理屈の能力構築の相手に対しては効きますけどね」

「南無三。あー、でもダメージがそもそも零なら意味無いな」

「計算式介入が倍率調整だけにしか無いならそうですね。それならダメージ倍率調整とか言う所では?とは思いますが」

「要は最低ダメージ保証とか言う奴か?あれの保証値弄りは酷いだろ、流石に……ああ、当たらなければ」

「回避率の計算式介入をすれば当たります」

「酷過ぎるぞ、それは。まあ要はゲーム的な理屈の能力を使わなければ良いだけなのだが」

「そもそも要は今の話の内容はデバブの掛け方を変えただけの物なのですから、デバブが有りの世界観なら余裕で成立しますけど」

「……勘弁な」

「そもそも先のあれだって要は特定の条件を満たす強個体には効かない雑魚狩り技なのですから、多用はしない様にしないと駄目です。主にシュラの戦闘技量的な意味で」

「つまり、簡単に倒せる手段を使わず舐めプをしろと?」

「そうではなくそれは倒せる奴の上限が決まって居る物なのですから、それを多用しても、それが効かない相手とはガチ戦闘の必要が有るのに、戦闘技量が足りないとかに成りやすく、簡単にやられるパターンに成ると思うので」

「うわぁ……成程。多用していて効かない状況に成ると軽く詰むわな。……。他には舐めプと思われるかも知れないが……。やらないと不味いか……。ならゴーレムの創り方を教えてくれ。制御力を鍛えたい」

「解りました。それなら、そうですね。戦闘に直ぐに使えそうなのは、土塊から手を創り、操る物から行きましょうか」

 そして授業を行って貰う。ゴーレム生成は土塊に命を宿す魔法と言い換える事が出来る。ゴーレムの生成には髪の毛や皮膚等の生きた細胞が核として必要で、ここで言うゴーレムの身体はその命の増幅器の役割を果たす機械の様な物だ。つまり、ゴーレムの駆動期間はその生きた細胞が死ぬまでの間でしかなく、長期間の運用は核と成る物を定期的に補給しなければ成らない。……核の有る存在とかそれを破壊されて終わる創作は良くあるが、これは命の創造では無く、命の増幅を前提としたゴーレムなので、そこまで高性能とは言えない。……もっとも、創るゴーレム達に命の材料と言う意味で精子でもぶち込めば話は変わるのかも知れないけれども、やりたくは無い。それが核とか、仮に戦闘中に補充する事を考えるとね……。

「今回扱うゴーレム生成のその本質は生命のエネルギーの増幅。と言うのは良いのだがさ、生命エネルギーの増幅か。ゲームならHPゲージを自分に追加する能力なんてざらに有るけど」

「手下召喚と言うのはゲームのボスキャラなら使う奴がそれなりに居るのは確かですが、逆に言えば多用されるだけそれなりに価値が保証されている能力と言う事でもあります」

「……。レア能力は雑魚だとかみたいに言われてもさ」

「そう言う話では無く、そう言う能力は多用されるだけの理由が有る。という意味です」

「その能力を大量な奴に使えると判断された奴と言う事か?種がぜんぶ割れている能力とか普通に対策されていても可笑しくなくて、それを前提でやらなければならなくなる気がするが」

「それを許容し無いと言うならば、何処にも能力を提示しないか、適宜能力を必要に成る度に幾らでも追加で創り上げ続ける必要が有りますが……」

「……種が割れている前提で勝てなければ要求高過ぎね?種を割らせない様に戦えば良いだろう?」

「一先ず一人の相手に勝ちたいだけならとことん突き詰めた専門メタ系の能力を有りにすれば良いだけですけどね」

「……能力持てる枠とかに制限有るならそれが出来た後がきついのは目に見えて居るが、そんなのやる奴居るか?横槍されて失敗でもしたら目も当てられないが」

「専用の存在を創れば良いだけです」

「使い捨て兵器と生物を同じにする思想は流石に不味いが……戦争とかだと前例有るか」

「神格個体はその対策のために実力が変動する者が多いですけどね。いや、能力バフと言う意味では無く、大真面目に。……まあそうでも無いと専門メタ系存在に狩られている結果、そう言う奴らばかりが残っているだけかも知れませんが」

「幾らでも後出しじゃんけんに対抗出来る奴でも無いと負ける奴に殺しに来られるケースが起きやすいならばそりゃそうか。神殺しの称号は欲しいよな。拍が付くのだし。だからと神ならばどれを倒しても同じなら要は赤子のドラゴンを倒したからドラゴンスレイヤーだと名乗るのと同じな訳だが」

「……流石に実力以上の名乗りをするのは、本来の自分の実力では対処出来ない状況を任される可能性も有りますし、長期的には自分の首を締めていますけど、要はそう言う状況に成らなければそう主張しても問題は有りません。まあこの世界では後出しじゃんけん的に新しい存在が生まれてくる的な意味でそうなるのは厳しいと思いますが」

「なら自分は未来の○○だとか言うのは要するに自分の未来目標を掲げて居るだけだからセーフと言う事で」

「……流石にそれは発言の主旨が違いますよ。さて、話を戻します。増幅型ゴーレムに付いては核に成る物が有るのが前提です。ですからそれに直接的な攻撃成り何なりを出来る奴に対する対策も必要です。ゴーレムが如何に凄い物が出来ていたとしても、髪の毛皮膚等の只の生きた細胞が前提なのですし」

「……流石に元は只の土塊にそう言うのを要求しても難しく無いか?」

「ですが出来ないとそう言う奴に対しては只の案山子と変わらないですから。さて、では、先ず強奪系に対しては……」

そして追加で講義を受ける。とは言え、要は創作で多用される様な只のゴリ押し以外の核が有る強個体を倒す定番の方法論を成立しにくくし、潰す物が主だ。只、こう言う物はいたちごっこの部類に当てはまる物なので伏せさせて貰う。……まあ、これは途方もなく強い奴だが、普通の生物よりも簡単に倒す方法が有る存在とか攻略するならそれを狙うのは当然だし、それを説明するなら弱点の説明に成りかね無いし。……さて、生命エネルギーの増幅。元々は髪の毛や皮膚に使う物だが、ちゃんとした生物に使うとどうなるのだろうか?……生命のエネルギーが有限なら身体に無理をさせることに成るはずだし、髪の毛や皮膚でも無限なら、そもそも永続でも良いはずだ。生命のエネルギーは有限で、故にゴーレムは永続では無い。でも、もしブーストをしてから途中からはコストを後払いする形に出来たなら?初期コストと増幅する生命のエネルギーの結果の量がある程度減るだけで、生産コストを自分で生産しつつその成果物でループさせる。……永久機構は流石に無理か?増幅器の増幅効率がループ上の損失補償を行えれば良い訳だが。実験してみるか。

 実験を行う。その結果、核側が増幅器に高頻度で高いレベルで掛けられ続ける形に成るので、それをやろうとしたら核が損耗し尽すのが早まる様だ。……永久機構は流石に無理でも要するに、核と成る物の耐久性の問題のせいだ。とは言え核と成るのは生きた細胞か……。あ、ならば、別に強個体を用意して、強靭な生きた細胞を用意出来れば、創れるゴーレムの性能が上がると言う事か。よし。そう言う事なら。

「討伐要請が全体にされている様な強個体を倒すか服従させて、強靭な生きた細胞を手に入れれば、強いゴーレムが創れるから、そう言う個体を倒しに行こう。水神も海獣討伐とかやっているし、対抗の為にもやるのは有りだろう」

「解りました。それなら問題は有りませんね。では、倒す個体の選別に移りましょうか」

「地下帝国的なのを創るならば実益を兼ねて地底生物で討伐依頼が出されている様な奴を倒したいな」

「討伐を望まれる様な強個体で、その条件だと化石燃料や鉱石類や宝石類等の地下資源を食い荒らすタイプの奴を倒すのが早そうですね。もっとも、話題に上がるそう言う奴はそうする事で己を強化する個体のパターンが多いようですね。問題はそれの条件で食べる物がそう言う物だったと言う事です。……もっとも、人食い熊的な物では無く人為的に造られた個体でも無ければ只単に食事をしていたら文句を言われたという形の認識な可能性も有ります。捕獲する場合ならそのパターンが望ましいですね。鉱石類なら簡単に創れますから、食料方面の交渉がしやすいので」

「なら鉱石類系の奴に狙いを定めるとして、……そう言う個体が居る場所の詳しい情報を貰うくらいなら別に水神を頼っても良いよな?」

「そもそも生息域が全然違うから詳しくなくとも可笑しくないはずですけど。それに私は能力の都合上大体わかりますよ。そう言う奴の生息地とかは」

「そうだな。すまない。だが、討伐依頼を出している所とは事前に話を付けておかないと。そうでないとやる意味無いし。主にマーテルの身体の細胞を貰えば良い的な意味で」

「それはそうですね。仮に捕獲出来て配下に出来ても大っぴらにしたいのならば、そいつは討伐依頼が出ていた場合に、討伐されるような事を此方がやらせていたと取られるとアレですから」

「……流石に捕獲時期くらいなら話してくれれば通じるのでは?」

「神格個体が居る相手に対しての一般人の真偽判定系能力の審査結果の信頼性は実力差的な意味でどれくらいでしょうか?それに信じられたとしても被害者からすれば該当個体を殺処分してくれと要求して来ても可笑しくは無いですよね?」

「補填をしてやれば……」

「結果として人的被害の補償をしろとされる可能性も十分に有りますから、それはしない方が良いです。殺処分と言う判断をさせるために到底払えない物を要求されるでしょうね」

「だが、先のパターンの場合はそいつ視点からすれば食事と自衛をした事の責任を取れと言われている訳だろ?流石に訳分らんな、それは」

「……だからと無視すると面倒なのも確かですね」

「そのパターンならば前提的に認識のずれさえ是正すれば十分協力出来そうでは有るな。意思疎通が出来ればだけど。さて、それはさておき色々と情報を確保しようか」

 そしてある程度の情報を各地で仕入れる。ある鉱山の土竜、つまりモグラの変異種が鉱山で悪さをして、岩盤崩落が起きたので閉鎖された鉱山が有るらしい。……流石にこれは仲間には加えられないので、実験に使うとしよう。

 そして場所は変わり、ある廃棄された鉱山に来た。……侵入するとそこかしこが穴だらけである。どうやら討伐しようとする奴と戦った結果、如何やら地中に引きながらのヒットアンドウェイ戦法が戦い方らしく、……これ、何処かの馬鹿が土竜を倒そうとした結果の岩盤崩落じゃ無いか?レベルで穴が空いている。土竜的にも岩盤崩落なんて避けたいだろうし。ゴーレムを出して……、な……、ゴーレムは即座に土竜に破壊された。……考えてみれば当然である。岩盤崩落が起きると言う事は岩盤掘削を出来ても可笑しくは無く、なら低レベルの土人形等、岩盤を掘る要領で壊せて当然だろう。だが、核と成る物は壊されなかったので、その残りを使い土塊の弾を作り、突起状のゴーレムをその残骸から撃ち出す。ゴーレムは壊されても構わない。その残骸が次の一手の布石に成る。ゴーレムをさらに追加する。物量で押す。反撃が只の物理なら大した問題には成らない。炎や雷等の方法も只のモグラに期待は出来るはずもない。まあ、勿体ぶった割にはアレだが、このゴーレムは増幅器なのだから、それを耐性に対しても作用させれば良いだけの話だ。素材がレベル低い奴だから性能を盛れなかった結果、土を岩盤並みにするのはまだ出来なかった様だが、それは素材を良くすれば出力を上げられるので、何とか出来る範疇の物ではある。……はず。まあ水掛け論的な回答だし、初期の段階ならこんなものだろう。そして腕と足が動けないように拘束し、話を聞いてみることにする。……はぁ……何というかね、素材の厳選もまだの物を核にした、厳選も何もされてない只の土塊を動かしているだけ的な物に何を期待しているのか過ぎるが、厳選した素材で無いと弱いとか、無尽蔵にゴーレムを追加しての物量作戦には厳しい。まあ、それは要研究だ。ゲームで例えるなら単にこれはレベリング前なだけで有る訳だがね。理論上は素材厳選すれば何処までもスペックを上乗せできるとは言え。……流石にこれを可笑しい。今は弱いな。とか言える奴はゲームで言うなら最弱装備で全ての敵に勝てる奴だけだと思う。創作にはある程度は居そうだけども。

 さて、土竜の話を纏めると、要は空間設置の継続ダメージを与える奴が襲って来たので、そのダメージの無い空間を用意するために岩盤掘削を行って逃れようとしたが、空いた空間にも追加で効果が及んできて逃げるためには岩盤の掘削を継続的に行わなければ成らなかった。と言う事らしい。えげつない効果の奴が倒しに来ていた様だが、それが仇と成った訳ね。殺意が高過ぎる能力だ。ハイスピードの地形破壊が考慮されていなかった様だが、碌に情報も無く、短い時間で土竜が岩盤崩落の起きるレベルで岩盤の掘削を出来るのを予想しろと言われても、あれか。さて、此処でその原因の力を使った奴を責めるのも違う、……と言うか、それを言うなら土竜が想定以上に強かった故の手違いによる事故で有る。もう誰が悪いとか言い出すと両方悪いに成りそうな気がする。土竜的には自衛しただけだし、術者的には高速継続地形破壊が無ければ継続ダメージで始末出来ていたろうし。でもそれで土竜に責任を取れとかと言うのは違うし、これは……。倒そうとしたのが依頼なら違約金払えで終わりそう。と言うかこれはそう言う話にしよう。この土竜は良さそうだし、恩でも売って置くか。話を進めることにする。先ず土竜が討伐依頼された理由は鉱物を掘って大量に屑鉄為と成る……それについてはまあ誤魔化しが入るとしても、これは人里に猪が降りて来たパターンとは話が異なる。まあ先住民に対して此処は俺の土地で其処に有るのは俺の物だとか言う形に成る訳だ。採掘済みの物を壊してどうこうならまだしも、採掘予定の物が先に食われただけの様で、取り決めなんて有るはずもない。いや、解っている。畑に動物が勝手に食べに来たから害獣駆除しようと言う流れの理解は出来る。此処での問題はまだ誰の物でも無い物を取ったからその結果として害獣駆除をしようと言う話に成って居る事だ。まあ、畑を創る時にそれの野菜を勝手に食べそうな害獣を先に駆除しておこうと言う流れは普通に有るが、その結果が鉱山の岩盤崩落と成るとね。もう下手したら廃坑化レベルな訳だし。仮に土竜討伐が出来たとして、大損害としか言えない結果ともう既に成っている訳だ。それなりに産出量がまだあるだろう鉱山の強制的な廃坑化の戦犯……。幾ら払わされるだろうね、そいつ。だから土竜が岩盤崩落を勝手にやったと言う話にそいつにされて討伐依頼が大々的に成った、と。……いや、間違いでは無いのだろう。そうしないと逃げられない技を撃ったのが前提に有るとしても、そこを伏せるだけでそれなりな状況には出来るはずだ。さて、どうしたものかね。ちなみに、土竜の岩盤掘削は元から有る掘削能力をエネルギー的な意味で強化したものだとしたら、話を聞く限りなら件の原因の能力モデルはバ○サンだろう。つまり該当生物に取っての毒ガスを該当空間に巻き散らかして満たす能力で、広い所でならともかく密閉空間でそれとか、脱出の為に道なりに進むと相当量の毒を浴びる事に成るだろうしね……。と言うか密閉空間での、該当生物専用に効く毒ガスを生成し、辺りにまき散らす能力だと考えると普通に強能力では有る。密閉空間と言う前提を崩せる奴には普通に逃げられて関係無い様だが、まあ高速継続岩盤掘削を出来る奴が異能有りとは言え、只の物理で出来る奴がそんなに簡単に居て堪るかだし。解っては居ても度外視可能な範囲であったはずなのだがね……。いやまあ、だからこの計算違いはしょうがないのだけども、相手方も相手方で今回がもし上手く行ったとしても、それが出来る奴相手には同様な事をされかねないし、能力仕様のアップデートでもしないとまた似たような検案起きるのでは無いかね、これは……。どうせ密閉空間に対して使う運用が主だろうし……。

「多分高速継続岩盤掘削能力なんて要は岩盤掘削をする重機並み扱いの扱いは出来ますからね。岩盤掘削のスピードと運用に掛かるコスト的な意味ではだいぶ上回る性能な気がしますよ。この土竜は。思わぬ拾い物だと思いますがどうしましょうか」

「こいつの問題を何とか出来たらと言う前置きが付くが、その問題を此方が何とかしようとするから、それが何とか出来たら仲間に成らないか?」

「……。それで合意しなければこのまま殺される可能性も有るからそう言う事なら好きにしなさいよ。なってやるわよ」

「解った。では、一先ず一時的に此方と別所に移動しよう。少なくとも話の内容を検分して、彼方の話も聞かないとだしな。一時的に此方に捕獲されてくれ。そうでもないと、他が君を殺そうとするだろうし」

「……。解ったわ。……。もっとも、すでに拘束はされているし、それを今は解かないである程度居ると言うだけだもの」

「じゃあそのように」

 ……。此処でこの土竜が素直に従うのは何か違う気もするが、そもそも場合によっては既に殺されている場面では有る。そうならないなら試してみる価値は有るか。

そして別所に土竜を隔離し、話を聞きに行く事にする。聞く限りの流れの裏付けは取れた。要は討伐任務に出たら討伐対象に逃げられた挙句散々暴れられた構図なため、それなりに既にペナルティーは受けては居る様だ。……まあ、それで本来与えられるはずの罰よりも、かなり少ない範囲の物な為、本来の出した損害に比べればかなり軽い処罰と言えるだろう。とは言え既にある程度の処罰が行われた後か……。裁判で言うなら再審に足る証拠を出せ無いと駄目な奴だな、これは。とは言え、これは裁判で言うなら片方だけの発言と要求だけが通っている、いわゆる魔女裁判と同じでも有る。まあ、害獣と人間で対等な裁判を、なんて言うのはアレだけど、これは要するに相手方が伏せた情報を公に提示出来れば話は変わるはず。相手が害獣だからでは無く、責任逃れをしている事の証拠を、だが。それならまだやりようは有ると思う。問題はその根拠だ。土竜を表に今の段階で出すと面倒な事に成る気がするのだが、要するに岩盤掘削が、相手の対処としてやらなければ成らなかった事の提示を出来なければ成らない。使用した魔法を公に開示させられれば簡単なのだが、それはまあ、詳細は当然隠すよな。商売道具だし。でも見た奴くらいそれなりに居るはず。完全に隠すのは目撃者を全員殺すのは無理だから隠し通すのは無理だとして、流石に依頼先に手順説明くらいはしているよな?其処に当たって見るか。

 交渉の上でのポイントは、責任を害獣に持たせる事で賠償金支払いを避けている事。その性質上その依頼主側はそいつとグルなはずは無い。大損害の補填をしなくても良いのなら責任を問う話自体が発生しないでも良いし、内々で済ませて終わりで良いはず。そう言う話にした方が早いからな。つまり、土竜討伐依頼を出した依頼主と鉱山の持ち主に対して話を通させられたら味方とまでは行かなくとも、不正を暴く働きかけをさせるようには出来る。……。此処はコネを使おうか。水神の方に連絡を入れて、そちらの人達に話を通して貰う。鉱山の持ち主からすれば良い話なはずだ。何せ大金を要求出来る相手が居るのだからな。話をあしらわれたとしても、調べるくらいはする。要するに天災と諦めていたら天災では無く人災だと言う可能性が解った様な物なのだからな。要点は毒ガス能力を駆除に使った結果、それから逃げるために獣共が辺りを破壊した可能性が有るか無いか。詳しい内容にまでは突っ込まなくても良い。結果として毒ガス能力が獣共に周辺の破壊を促す働き掛けをしたのでは無いか?と言う点が伝われば良い訳だ。まあ、後は鉱山の持ち主側の仕事ですよね。害獣、と言うか、それで土竜の処遇の方の話も上手く行くはず。討伐依頼を出された理由が鉱山の害獣駆除や岩盤崩落の犯人を捕まえる為なら鉱山はもう廃坑だし、犯人と言うより、犯人に利用された側だし。害獣呼ばわりされるのも此方が身元預かりすれば良い、と。

その後の流れを言えば、件の奴は余罪の追求をされる流れには成った。それは良い。問題は身元保証人として此方が認められなかった事だ。それは何故かと言うと、余罪追及をする事の流れを創った奴がそれだと、まあ怪しい訳だ。邪推をする奴も出るだろう、それは……。いやまあ、保護する事での利益を狙っているかと言われると、そうですとしか言えないのだけれども。結果として水神の関連の方の預かりと成った。いやまあコネがある相手なので、要は形だけなのだが。しかしまあ、他人の設定でのマウントとか要するにマウントの代行をしているだけでしか無くて、金メダルを手に入れました。凄いだろ。とか言う人が居ても、それをマスコミが報じたとしても、それは別にマスコミが金メダルを取った訳じゃ無いし。他人の成果物でドヤ顔する類のそれの訳だから正直言って微妙な気分だった。……。本当は鉱石類を鉱山の瓦礫から大量に創ることは可能なのだから、廃坑に成ろうが関係無い状況には出来たのだが、まあ罪の擦り付けをしてきたし、しなくても良いか……。

「……他の奴を調べるか、と見たら、相手側が自分のステータスを上回る何らかの手段をぶつけられた時、それを上回れるほどにステータスが上昇する能力、ね。……。要するに過剰火力で一撃死させられたら強化する前に終わりなのだが……」

「要はそう言うレベルの攻撃を受けても死なない保証が有る生存系と組み合わせれば良いのですよ。……まあそれを前提とすると同時に能力が攻撃を受ける事が前提なので、場合次第では命中率が低い攻撃やデバブ系にも自分から当たりに来そうですけど」

「まあ、要は能力を運用する上で強く成れるのだから、戦う相手に一撃死させられない程度の実力が戦う時に事前に確保出来て居れば後は簡単な訳だが、それはあまりに博打過ぎ無いか?娯楽としての試合じゃ無いのだし、逆に言えばそれが出来ないと負けだろ。……まあ水掛け論で解決出来る事では有るが」

「仮に作話上なら作者の匙加減次第ですが、実際問題としては勝ち負けの前提基準の緩和はそれで為されては居ますけどね」

「……要約すれば、結果的には勝利条件を緩和する能力、ね。ずるいな、それは。作話上は匙加減次第で普通に負けさせられるけども」

「それを言うならどんな能力を持つ奴でも作話上はワンパンで沈みますから身も蓋も有りませんよ」

「……本当に身も蓋も無いな。ゴーレム関連の訓練でもするか。ゴーレムがワンパンで沈む前提の戦闘訓練も今なら出来るし」

「……つまり訓練相手が欲しかっただけって事ね」

「今は大規模工事とかするタイミングでは無いし……あ、そうだ君がどれくらいの硬さの奴を破壊できるか見てみないか?最低限鉱石類もある程度簡単に破壊出来るだろうけど」

「君じゃなくて私はガルア=スプラウトよ。希少鉱石は試した事が無い的な意味で分からないけど、あの鉱山で掘れる大抵の鉱石類は簡単に崩せるわ。そうでも無いとそもそも岩盤崩落が起きるレベルで掘れないわよ」

「それもそうか。ならダイヤモンドでも行ってみようか。テラ、創れるよね?」

「解りました。創れる事は創れます。能力で出しただけなので他に売れはしないだけで」

「ありがとうな」

そして試して貰う。……簡単に削り切りやがった……嘘だろおい。……だが、同時に安心した。先の戦闘の時にゴーレムが簡単に破壊された結果に成ったのは、ゴーレムの耐久性が低いのではなく、ガルアの掘削能力が高すぎるだけなのだ、これは……。

「伊達に指名手配されてないな……」

「要は互いの手違いによる事故みたいな物でしょうが、それは」

「まあ良いや少し試したいことがあるからドンドンゴーレムを壊して行ってよ。やれるか分からないけど」

「……物量押し対策をしたいのは有るから解ったわ。じゃあ始めましょう」

そして千本ノックのノリでゴーレムを創りまくって行く。そしてある事を試し、成功する。

「……ゴーレムの再クリエイトなら要はゴーレムの残骸を全て頭に入れながら戦えば良いはずなのに、それ以外から来るなんて聞いて無いわよ」

「これが実戦レベルに出来ればかなり自由度は変わるし。でもまあ種も仕掛けも有る訳で、その開示はまだしない。それの対策自体はだいぶシンプルだしね。でも予め辺りに核に成る奴を撒いて置くだけでも似た事は出来るが、それをやるなら防衛戦メインだな」

「不意打ちをする事を先に述べて意味有ります?」

「そもそも戦闘時に不意打ちも出来ますよと言うだけの話なのに、それが全てとか言われてもね。それに耐久性だって参考に成らないデータしか無いし。いやまあダイヤモンド以下と言うデータは有るけど、何も研究無しには只の土塊でダイヤモンド並みの硬度は流石に出せないと言うだけだろ。ゴーレムが瞬殺されても押し切れている訳だし」

「それしか出してないならそれが全てだと相手は思いますよ」

「そうだな。だからそう言う奴は負けるのだが。能力が一つしか基本的には持ってない奴しか居ない世界ならまだしも、だけど。それにゴーレムがワンパンで倒されてもまだやれる事が有ると言う話はゴーレムをワンパンで誰でも倒せる事と=では無いし」

「他は倒せると扱うに決まっていますよね」

「例えば核に成るのを奪われても要は相手が此方の攻撃手段を懐に入れてくれたと言う事だろ?ゴーレムの遠隔クリエイトが出来る以上、相手が此方の物を奪うと此方がゼロ距離攻撃を出来る手段を相手から用意される形に成る訳だが」

「それは出来ないのでは?」

「遠隔ゴーレムクリエイトを先にしているのに他の人が核に成るのを持つとそれが出来ない理由は特に無いよ。所有権がどうこうとか言うのならそもそも遠隔ゴーレムクリエイト自体出来ないからな。能力でそれを防ぐとか言い出すと戦闘している時にそちらに能力のキャパシティを振る必要が出るし、そもそも物量押し出来るのだから焼け石に水的な意味であまり意味無いし、それに特に理屈無しで何にでも勝てるとか言うのを有りにすると、そもそも何を出しても互いに意味無くなるからな。何せ何を出されようが、それに勝てると言うだけで終わるし」

「なら害獣でも討伐しますか?」

「……そうよね。その方が良いわね」

「解った適当に森にでも行くか。野生動物に大猪とか、巨大蜘蛛とか居るらしいし」

「そうしましょうか」

 そして場所を移動すし巨大蜘蛛が居るらしい場所に移動する。

「うわぁ……蜘蛛の巣まみれだ、此処はナイフで巣を切りまくりますかね……っておい、切れないし、ナイフがくっついて取れないし」

「こんなの簡単よ」

ガルアは其処に何もないように蜘蛛の巣を壊していく。巨大蜘蛛が糸を吐きかけてきたが、触れた瞬間その糸は簡単に破壊されていく。手以外の場所に当たる糸も簡単に破壊されているな。……なるほど。そもそも掘るとかの力の強化なら、身動ぎするだけでも張り詰めた物はある程度削れる。だからそれを強化、と。要約すれば全身刃物化みたいなものか。次は毒を連続で吐き出して来た。土壁をゴーレムで創り、何発か防ぐが、それを突破される。……毒を水的に扱い、土壁を泥にして無理矢理突破された様だが、ガルアはその“毒を掘る”事で毒が別所に飛んで行く。いや、刃物を固定して置いている所に物を投げ、それらがそのまま刃物に切られる的な意味でだが。……これは酷いな。掘削が自動切断に変わっている……。子蜘蛛もワラワラと来たが……そもそも攻撃が碌に意味をなしていない……。触れたそばから触れた分だけ切られている。

「こんなのが出来るならあの時出来たろうが」

「平凡なはずの能力を発想だけであんなのをやられちゃ、負けてられないわよ、だから私も考えたのよ。その結果がこれね」

……そんな雑談を気軽に出来るくらいには、蜘蛛共は簡単に処理されて行っていた。本当に良い拾い物だな、ガルアは。そして片付け終わると。

「さて、次は大猪だが、此方は食材としての価値も高いから破壊しすぎないように」

「なら要は全部の足を切断してしまえば良いわよね?」

「いや、それはそうだが、仲間を呼ばれるとアレだから叫べないように喉も狙ってくれ」

「解ったわ。なら生け捕りが良いですね。生息地に移動しましょう。大地制御……と」

テラが大地を制御し、地面をベルトコンベアのようにしてその上に乗り、俺達は楽々と移動した。

「アレだな。対空能力欲しいな」

「コストとかの後先を考えないなら上空の雲が有るレベルの場所にも地面を高速隆起させられますよ。後、隠密も何もなく成るけど」

「……ならそれ以上の高さから来る奴や、やるためのコストが問題か……。空中都市との、つまり天空神との伝手も有るとは言えな」

「……伝手多すぎないかしら?」

「これはあくまでも神格個体同士の繋がりが有ると言うだけだ。だから多用はしたくない。要するに普通に自転車乗れるのに補助輪付けて乗りたいとか言うのは遠慮したいしな」

「……はは……まあ良いわ。それより、大猪よ」

「だな。まあオーバーキルな戦力状況だが……ん?可笑しいな。近くに大猪が居るのは確かだが……聞いていた話よりもエネルギー反応が弱すぎる。それにこれはゲーム的な個体な様だ……なにかきな臭いぞ……」

「思っていたより相手の戦力が弱かったなら良いじゃない」

「例えば誰かが力を奪うとかの事をして来たパターンも有り得るし、力の強奪系が居るかもしれないだろ?」

「報告する奴が盛っただけかもしれないわよ?」

「それなら良いのだがね……取り敢えず殺すのは無しにしよう。生きたまま捕縛するぞ」

「解ったわよ」

 そして捕縛したのだが、思ったより異常に簡単に捕縛出来てしまった。……これで討伐依頼が出るなんて流石に食料方面的な意味で以外だと無さそうなのだが、流石に普通の猪よりか捕縛が簡単なのは流石に可笑しい。そして調べると……。

「……。うわぁ……ステータス項目が全部初期値だ。討伐依頼が出されるくらいには何かしたはずなのにステータス項目が全て初期値。犯人はステータス強奪系か?」

「初期値のステータスはそのままなのは。ステータスが上がる基準の上での必要な物を奪う能力と言う事でしょうか?」

「ゲーム的な個体だろうが別のシステムで成長しているはずだろ?主に自分でシステムを組んでいるならさ」

「なら、つまり相手のシステム内容に関わらずの成長初期化能力、ですか?」

「ゲーム的な理屈を操るなら倒した方が確実だし何なら全部自分で、……来るぞ‼」

其処に乱入者が現れた。

「つまり撒き餌かよ。胸糞悪い」

「……何だか勘違いをしていませんか?」

「……こちとらゲーム的な理屈じゃ無いのでな」

「いえ、その大猪は罠に掛かって居た奴が逃げた物です。引き渡し願いたい」

「……こいつの弱体化は罠の成果物と言う事か?それにしては遅かったな。弱体化した奴を捕まえられないほどに貴様が弱いなら話は別だが?」

「そうではなく、生憎と遠くに居ただけですよ。ですから罠の性能は見直しが必要ですね。逃げられない前提で此方は組んでいたのですし」

「……此処は個人所有の森では無いはずだし、大猪が罠に掛かっていたままならまだしも、脱出した奴にまで所有権を主張するのか?」

「今回の罠は弱体化の罠ですので」

「……ああ、つまり、此方に美味しい所取りされた、と。だとしてももっと速く介入しろよ。主に捕らえる前にとか」

「良いでは無いですか。あなた方が居なければ十分間に間に合っている場所には居たのですし」

「……はぁ。何目的だ?素材は大猪で無いと駄目か?巨大蜘蛛の素材をくれてやるからそれで満足しやがれ」

「……良いのですか?」

「ああ、構わないとも」

「ではそうさせてもらいます」

そして巨大蜘蛛の素材を代わりに持たせ、自分側も帰る。

「渡して良かったの?アレは只の言い掛かりかもしれないのに」

「今回の場合は特例で別。大猪を調べれば弱体化の絡繰りを知れるかもだし、巨大蜘蛛の素材と言っても後処理はして有るし、それくらいの事も駄目なのなら自分の力で討伐しても、その素材を持ち込みなんてする事自体がタブーだし、渡して困ることは特に無い。むしろ言い掛かりだったから何かしらの素材を得られる流れを放棄してまで大猪に固執しなかったのだろうが、まあそれは袖の下と言う事で良いだろう。適当な物を持たせて帰らせた。的な意味で。と言うか、それで何かしらの特殊な恩恵を得られる奴ならそう言う素材を扱う企業への就職をすれば高効率で活動出来るし、流石に非効率が過ぎるだろ」

「……大猪はその何かをされた結果の物ならどうなのかしら?それをすると素材として成立しないレベルに迄、素材が劣化するなんてゲームではそれなりに有るわよ?素材から何かを抽出したら素材が廃棄扱いに成る奴とか」

「……つまり、素材から果汁を搾り出す結果の搾りかすがこの大猪だと?シャレになってないからな。つまり、相手から強さを抽出して相手のステータスを初期値にする能力だ。初期値が高い奴には普通に対抗されそうだけど、……大猪にはだから逃げられたのか?……仕組み上ゲーム的な理屈が前提にない奴には関係無いだろうし、あの蜘蛛は弱かったし、別に良いか……ってああ、巨大な高度な魔法でも有るのか?そんな気配がするので、術式加算、術式失敗強制術式、と」

「……いきなり何ですか?」

「なんか巨大な術式が進行中だったから、一先ず壊して置いたと言うだけ……なのだが、ああ、土壁を出して、と」

 其処に巨大なエネルギー弾がぶつかり、弾けた。

「いきなり何ですか、これは」

「術式を何でも破壊をされるなら、碌に術式を組む必要のないエネルギーのままで撃って、ゴリ押しすれば良いと言うだけだから、これなのだろう。まあ相手より高度な技術を使って術式組んでも術式自体を潰されるならそうなるわな。碌に術式が組まれてない攻撃など簡単に対応出来ても、攻撃を毎回潰せる前提で戦う奴にはこれで攻撃は普通に通るだろうさ」

「……うわぁ……」

「さて、次はなんだ?」

 そして暫く待つ。……何も来ない。探知は、反応無し……と言うか、これはあれだ。

「なんだ。今の奴は術式が壊れた結果の暴発みたいな物だったか……これじゃあ近くにはそもそも居ないな。そう言う話ならさっさと移動しよう」

 そしてさらに移動した先で。其処で警察とすれ違うが、そのまま通り過ぎていく。現場へと向かって居た様だが、……さっさと此処からさらに移動しよう。流石にガルアは先の件が執行猶予的な理屈での見逃しなら此処で犯人扱いされるのは不味い。が警察の内の1人がこちらに来る。

「……シュライクさん。貴方は犯人では無いですよね?」

「……何の話だ?」

「いえ、原因不明の爆発が起きたらしいのですがその近くに居たと報告が有りましたので」

 そっちか……。つまり、此方の迎撃だけを警察は把握している、と。

「……。自衛権すら俺には無いのかよ?」

「つまりは、爆発が起きた件について関わって居ますか。しかし、他の人からの自衛だと。詳しくお話を聞かせて頂きたいですね。こちらとしては神格個体を相手に大立ち回りなど極力したくは無いので」

 ……やらかした。

「……はあ。此処で逃げたら諸々の犯人扱いされる流れだな、これは。解った。同行するよ」

 そして警察所に移動し、ある程度の話をする。その過程で、大猪の提示を求められたが、それには拒否権は無かった。いや、別件で来ていた事の証明用な訳だからしゃあないが。

「これは毒……でしょうか?素材としては劣悪極まりない状況ですよね?保存状態は良いのに」

「……それが可笑しかったから他の奴が欲しがったのを他の物で満足して貰ってまで確保した奴だ。どうしてそうなっているかなんて知らねぇよ」

「回収して頂いても?」

「……断る。此方はそれに他の素材を払ってでも確保している奴だ。最低限それで解る情報を此方にも全開示でもされないと割に合わない。だが、調べる奴が増えるのは良い事だ。半分なら提供しよう。それで得られる全部の情報共有が前提で」

「……解りました。では契約書でも書きましょうか。契約不履行扱いで暴れられても困りますから」

「まあ、犯人扱いされかねない立場ならそれもしょうがないか。そうしようか」

 そして契約書を作成し、家に帰宅した。さて、犯人でも探しに行こうかね。

「少し無許可な巨大な術式破壊活動でもやろうか。役所にでも行こう。それで公的な奴以外は壊そう」

「……それはやり過ぎでは?」

「なあに、私有地の奴は無視するさ。公的な場所の非許可の奴をぶっ壊すだけだ」

「だから役所に許可を取る訳ですか。それなら警察所にも取りましょう。今なら話は通せるはずですよ」

「……締まらないが、そうするか。あくまでも非許可の巨大術式の破壊の大義名分を取るなら其処の所はちゃんとしないとか。非許可の巨大術式が放置されていたなんてことが成立しているなんて嫌な予感がするから」

「例えば力の前提と成る召喚システム関連の物な可能性が有るわよ?」

「大枠としての力の基盤システムとか、それの中身の力を使っても基本的には、そうだな、開けてないペットボトルをそのまま振る行為みたいなものだと思う。システム干渉能力関連の物を使わなければ基本的には問題無いよ。まあ、ゲームの中の大技は、現実での災害に成り得るか的な意味のそれ。画面フラッシュとか爆音を出せばとか、例外は有るにしてもね」

「つまり、例外が無い訳では無いが、基本的には過剰火力的な大技を撃たれようがシステムは壊れない、と、言う事ですか」

「要するにアプローチが間違って居たらどんな大技だろうが意味は無いと言うだけだな。システムに関してはダメージを通すのに途轍もなく厳しい条件が有る類のシステムと言う方が正しいが、自傷ダメージ無効システムなゲーム的なシステムならシステム由来の物のみでの物なら超越的に超高火力技だろうが効く訳無いだろ的なそれだな」

「無効化する力を超えれば良いじゃないですか」

「あー、ゲーム的な例えをするとだな。全部壊すのはゲームの中の一プログラムがゲームのキャパシティをゲームの中の物のみを使って超えろと言う事だ。正攻法だと同じ世界の他の人全員越えをするのは前提だから。主に、ゲームの機器の出力越え単独でする必要が有る的な意味で」

「なぜですか?」

「そりゃ、ゲームの中のシステムを使ってのみ強くなるとか、ゲーム本体よりもゲームの中の機能のみを使って強く成ると言う事だからな。ゲームの中の物以外の物に手を出さなければ、ゲーム本体側の出力は根本的に超えられないよ。当然だろ。その中で手に入る物はあくまでもゲームの中の一プログラムでしか無くて。ゲームの中の物のみで、ゲームの本体に勝つとかルールに従ったままのそれで勝てる道理がそもそも無く出来るから。まあそれは俺達がゲームのNPCならの話だけど。……これはシステムが後付けの物だからそれ依存の存在ではない故に問題無いだけだが」

「それはシステム干渉をしないならの話ですよ」

「システムの力に全依存で、尚且つ特定の系統の事が出来る能力を持たない奴は全員そう言う状況と言うだけだが。これは。対策能力を持つ奴で無いと論外。なんて事が有るゲームとかそれなりに有ると思うけど。ああ、あくまでもこれはシステムを壊すなら、だが」

「能力が無いと出来ない事でも無い能力も有りますが」

「ゲームバランス的に創作だと料理系統能力なんかがその能力が無いと碌なのが作れないとかバフ付きの料理が作れないとかの作品は見たことが有るけども……それよりも早く済まそうか」

 そして事前に話を通し、諸々と連携しつつ該当の場所を幾つか壊す。すると、コボルトらしき奴らがたむろしていて此方に襲い掛かって来た。他の人が対応しようとした所で、何故か棒立ちのままで切られる。……行動制限系か。だが全員が動け無い訳ではないなら。そこで俺はコボルトに当たらない攻撃を敢えて行う、と。それは成立したので、途中で無理矢理抑える。つまりゲーム的に言うと特定の物を含む行動コマンドを強制的に失敗させる能力。なら、これはどうだ?俺は全然当たらない軌道の攻撃を放ち、その攻撃を追加の一撃で弾き、無理矢理コボルトに当てる事に成功する。迂遠的なコマンドに対しても制限が及ぶわけが無いからな。主に自分の行動を邪魔するから的な意味で。一つの能力の攻略法が分かれば、後は簡単と成るのはそれに相手が全依存していた場合のみなのだけどね。……と、やっぱりまだ他にも有るか。弾いて当てていたそれが力を失って行く。……弾として使ったそれは、破壊されたと言うか、加工前の状態に戻って下に落ちた。幾つか追加で攻撃を行い、解析をする。……簡単に対処されて行くが、つまり、特定の物に加えた干渉結果を取り除く能力。ゲームなら特定テキストの削除能力か。此方に直接使わないのは、一モーションだけキャンセルする能力に成るから、能力等の連打出来ない様な物に対して使わないと大して意味が無いからだろうな。なら手数で押せば押し切れる。そして手数ならゴーレム生成でやれるのだよ。そして後はゴーレム生成の物量ゴリ押しで殲滅した。今回のコボルトの能力を纏めると、特定の物を含む行動結果キャンセルと、一モーションキャンセルの二つ。……はぁ……他の人らは、種を割るまでの初動で結構やられたな。まあ回復出来る奴が居るのだから問題無いが。さて、次に行こう。

 移動するためにゴーレムを纏めて居た所でゴーレム群が風で一気に崩される。暴風とは言えないレベルのそれで?流石にゴーレムが当て馬過ぎるな。いやまあ量産品に勝てない単体とか話にも成らないから、それが出来る奴が攻撃してくるのは当然なのだけど。……。辺りに響くのは大量の風切り音。……鎌鼬だろうか?其処で警察の人が小型の結界を大量に配置して、辺りを埋め尽くし、次に中に何か居た奴以外の結界を解除した。……らしい。小型の結界を捕縛装置扱いにしてそれの数を大量に創り、空間全体を埋め尽くしたと言う事な様だ。……それは巨大な結界を一つ張るだけで十分では無いかと思うが。捕獲敵な意味ではこちらの方が良いのだろう。その人が言う。

「連続で襲い掛かって来て居るのは、恐らく誰かに此方へのヘイトを上昇させられていますね。ゲームで言うなら戦って居たモンスターの他への擦り付けでしょうか?……そして、この様子だとまだ来ますね。此処は本来ならば離脱を推奨します……が、これが無許可巨大術式を展開している奴の迎撃なら、機会を改めるのは悪手ですので、まだ行きますよ」

「マジかよ。まあ要するに、森の奴らを無理矢理戦わせてのその場凌ぎだろうし、ぶっ壊れは来ないだろうけど」

「……ビリヤード的攻撃なんて離れ業が出来る人が言うとそうなのかも知れませんがね」

「機械的に攻撃撃てたら後はそれを二つ以上合わせるだけなのだけどな」

「……次が来ますよ」

「おう。しかし、移動系の能力が有れば時間稼ぎなんて必要無いのでは無いか?」

「此処で逃げればさらに巨大術式を壊されるだけですから、壊されたくなければ戦うしか無いでしょうよ」

「なら近場に居るよな。ヘイトの擦り付けならヘイトを発生させる手間は必要なはずだし。大規模に行くから、皆に防御姿勢を取って欲しい……行くぞ。テラ。頼む」

犯人を捕まえるのは二の次で良い。要は巨大術式を壊せれば良いのだから、森一帯に土壁を出して囲む事にし、高速で土砂のドームが完成するが、即座に爆発が起きる。

「……壊れ方が可笑しいな。巨大術式に触れた部分だけが壊れたのか?」

「それならこうすれば良いですから」

 そして巨大術式は一気に崩れた。……はぁ。要するに土壁のドームを創る際に核に成る物でも混ぜていたのであろうか?土砂のドームがそのまま巨大なゴーレムへと姿を変えて、それの維持のために辺りの巨大術式からエネルギーを吸い尽した。と言う事な様だ。それを言い換えると、劣悪な燃費効率最悪のゴーレムを敢えて創る事で、辺りの巨大術式のエネルギーを貪り尽し、消化した訳だ。……えげつねぇな。高威力なエネルギードレインかこれ。打ち消し能力とかどうするのか……いや、全身がそういうエネルギーに満ちている奴でも無いと相手を核に碌に戦えない様にするための性能の劣悪な性能のゴーレムクリエイトをすれば良いだけか。……なんか有名作品で相手をちんけな物に変えて戦えなくする能力を真正面から破る奴が居たけど……それとは違い、要するに、エネルギードレインをゴーレムでやっているだけだしな。エネルギー無限でも無ければ水掛け論で良いだろう。さて後始末しようと前に進みゴーレムへと手を伸ばした時、俺の四肢は断ち切られた。身体に激痛が走るが、仕方ないので自分の身体を核にしてゴーレムクリエイトを行い、代わりの義手と義足を創りつつ反撃に移る。……ゴーレムクリエイトを極めたら腕のクオリティーも上がるのだろうけど、そんな事を言っている場合じゃない。相手が何処に居るかは解らないが、相手が壊されて困る物は解るし、それは近くに有る。ならばそちらを壊すだけだが。……なので辺りの植物群を基盤にして、ゴーレムクリエイトを行いまくり、巨大術式に対して、物理で殴りまくる。するとあっさりと巨大術式は消え去った。……ん?これくらいで壊せるなら先のテラの奴の攻撃で壊せたのでは?其処で警察の人に言われる。

「何不思議そうな顔をして居るのですか?今の奴は儀式場を壊したのでしょう?」

「……まあそうだな。そうなるな」

 ああ、そうか。陣を張り、それを前提として巨大術式を出すタイプの奴だった訳だ。……ゴーレムクリエイトの基盤に周りの植物を大量に使っただけだった訳なのだが、木々が陣を構築するのに使われていた訳で、ゴーレムクリエイトに使った事で壊れたと。……まあ、うん。結果オーライと言う事で。

「それよりも今は身体の治癒が先ですよ」

「ああ、そうだな。此処から撤退したらな。最低限の目的は果たしたのだし」

流石にいきなり四肢切断とか瞬間的にして来る相手と生身で相手の位置が此方だけ解らない形で一方的に戦わされるとかしたく無いしね。

「それにどうせ巨大術式が此処だけでも無かろうし、再戦なら簡単に出来るだろう。だから、やるなら準備してからだ……仮に、此処で巨大術式の全撤収をされようが、此方の目的は果たせて居るし」

「……解りました。では撤収しましょう。急ぎますよ」

そして転移で撤退する。……すると腕と足がいきなり外れた。……いやいやいや簡単に外れちゃ困るのだが、一先ず回復して貰う……と、腕と足がまた外れた……激痛込みで……。

「……呪いか何か、か?これは」

「調べる限りはデバフですね。恐らくは接続の切断でしょうか?それで四肢切断をした後は簡単に済ますつもりだったのでしょうが、簡単に復帰されたので追撃を止めたのでしょう。……要するに部位欠損からの復帰潰しデバフですが、永続化されていても崩し方は有るので、今潰しますね」

 そして治して貰い、四肢を元に戻す。……えぐいな……。本来のそれはゴーレムの遠隔操作潰し用のそれだったのだろう。そうでないなら首撥ねてれば話は済んでいたしね。ゴーレムで自分を補助していたらゴーレムの切断に合わせて四肢迄持っていかれた訳だろう。……。対策しないとまたこうなるよな、これは……。まあアレだ。そもそも場所の特定をしたら、遠隔でゴーレムを大量に叩き込めばいい。室内とかじゃ無いのだからデカさ制限なんてそもそも無いし。ゴーレムのサイズをデカくしたければ百メートル級だろうが二百十メートル級だろうが作るのは問題無い。デカイ奴は相応の手順と手間が掛るから、小さい奴を、膨大に創る方が手っ取り早いのは確かだ。でも遠隔操作潰しをして来る相手な以上は、一定以上の自律行動出来るクオリティーが無いと、仮にそれがいくらでかくとも只の木偶の坊だ。だから、遠隔狙撃出来る奴で巨大術式をそれのみで壊すか、自律行動可能なゴーレムだけでゴリ押すか、だが……。一先ず精液を用意したので、ゴーレムを創る上で混ぜてみるか。ホムンクルスの材料として有る物でも有るし。

「シュラ。前提としての話は分かりますが、それは要するに私との子供を創る事ですよ?」

「……テラの理屈的にテラは、要するに大地其の物だしな。その一部と俺の精液を混ぜて、一定以上の個体でも産まれよう物なら……と言いたいのは分かるが、その理屈を通すなら、テラは似たような能力の奴が居たら散々形式上孕まされるから、そう解釈するのは却下な」

「解りました。なら、好きにやれば良いですよ」

「そう言う意味の物は無いこれは只のゴーレムクリエイト……よし。行くぞ」

 そしてゴーレムクリエイトの過程の素材に精液を混ぜ、行う。そして現れたのは美女と呼べるレベルの女性の見た目をした個体だった。

「個体名ジーヴル。お父様、ご命令を」

「……いや、そんなに固くしないで良いから楽にしても良いよ」

「……そう言う訳にもまいりません。ご命令を」

「創作で似た状況だと、その命令で君にフランクに話せとか言う物だけど、どうする?」

「……意地悪ですね。解りました。で、それ以外で何をお望みでしょうか?」

「……いや、まさかこうも上手く出来るとは思って無かったから、……でもどうしようか。思ったよりクオリティー高そうな奴が出来たせいで気軽に使い潰せそうに無いぞ」

「……シュラ。前提を忘れているわよ?貴方は召喚システムで神格個体の召喚に成功して居るのだから、その身体の一部なんてそれなりにヤバイ意味が含まれるわよ……それが精液ともなれば尚更、ね」

「その理屈が通るなら、通常のゴーレムだってもっとぶっ壊れで良いはずだろ?」

「……例えば、只の二束三文の価値の武器でも神殺しに使えば神殺しの武器に成るわ。……つまり、これはそれその物ではなく、それに付随する付加価値側の問題よ」

「……いや、待て、その理屈だと今のこれは只のゴーレムクリエイトでは無かったと言う話に成るのだが?」

「お父様、お母様、私は放置ですか?」

「……いや、そんなつもりは無いよ、えーと、ジーヴル。只ね、認識の話をしているのさ」

「私が二人をお父様とお母様と呼ぶことの何が悪いのですか?」

「……いや、悪くないよ。悪くないさ。……この話題は後回しだ。テラ、良いね?」

「良いですよ。お父様」

「いや、それをそう扱うとテラ側が不味いってばぁ……ゴホン。ジーヴル。君は俺に造られたと言う事で良いのだよね?」

「はい。それで良いよ。私はあなた達二人から産まれました」

「まあ、それは一先ず置いておいて、ジーヴルは何が出来るのかな?」

「じゃあ、言葉を崩すけど、多分ね、現存するゴーレム全ての出来る事全てが出来るよ」

「……はい?」

「だから、既存のゴーレムが出来る事全てが出来るってば」

「待て、ああ、そうだ。仮にジーヴルが特殊個体やゴーレムの上位種扱いに成るなら、そんなの見た事無いし、つまりは、始祖個体とか、原初個体扱いと言う事か?で、既存のゴーレムの全ての能力を使えるとか、無茶苦茶だ。ゴーレムの管理者系統の上位種と言う事だろうか?解らんな……ああ、そうだ此方が今迄創ったゴーレム達全ての能力を纏めているだけかもしれないな」

「なら、これでも見せれば良い?液状化。これで底なし沼だよ」

 すると地面が沼に成った。……如何やら土を液体と同じ物として扱われる様にする能力な様だ。その結果として、能力が及ぶ限りの土が液状化し、結果として底なし沼、と。えぐいなおい。

「物を埋める時とかに使えそうだな」

「そうだね。相手が沈んだ途端に液状化を解除したら生き埋めも出来るよ」

「……ははは。これだけで全部の能力が使えるかどうかは定かじゃ無いけど、此方が考えてない奴は出たからまあ良いか。飛べたり転移出来たりする奴にはあまり関係ないけど、まあ、これは敵を埋める事しか出来ない訳じゃ無いし」

「それで何をやればいいのかな?」

「……いや、予定外に良い個体が出来たから、そうならない物だと思っていて用意していた奴はやらせられないから、そうだね……取り敢えず俺達の近くに居てよ」

「解ったよ。じゃあそうするね」

「さて、じゃあ話は片付けたとして、……テラ、なんでこんなことになったか説明をしてくれ。虚偽は勘弁な場合によっては対策を講じる必要が有るし」

「簡単な話です。私は大地其の物ですが、別に現状は問題無いですよ。大地の何処の部分がどのような機能を果たすか、と言う事は決まって居ないですので、土塊一つが目にも成れば手にも成りますし、足にも成ります。今回に付いて言えば、身体の一部の機能を此方が大地に作用させ、結果としてゴーレムの材料に成る土塊に私の卵子相応の物を混ぜました」

「……つまり、ゴーレムを創る事で人工授精をしたような物か?」

「はい。早い話そうなります。ですからこの方法では私が意図しない限りこうは成りません」

「ゴーレムクリエイトでの人工授精なんて俺の勉強不足かもしれないが、聞いたこと無いし、例えるなら未開拓地の資源を独り占め出来た結果としての管理種又は上位種と言う事だろうか?」

「その理屈で正しいとは思いますが、その場合つまりはこの世界での新概念を産み出す系の存在の全般の方々は警戒が必要ですね。ゲームで言うならいわゆる初回クリアボーナス的な物が存在すると言う事ですから」

「そうなら召喚システム始動初期段階から関われて良かったとしか言えない。システムが仮に百年後以降にも存続するとしても、創る上でのガイドラインが完全に出来上がった様なそんな頃には粗方の初回ボーナスなんて簡単に思い付く様な奴全般は既に誰かに取られた後なのだから」

「そう言えば私はなんて扱いに成るのかな?神格個体と人間から産まれたなら半神半人?それともゴーレムの名前を豪勢にした何か、かな?」

「……頭痛く成って来た。そうか。半神半人とか的な奴扱いなのも有り得るのか……そりゃ性能がぶっ壊れにも成るか……。ゴーレムの量産は出来る?」

「出来るけど、それがどうしたの?」

「なら、ある程度の性能の奴で良いから、量産は出来る?」

「……出来るけど、先の話を踏まえると、使い捨てにするだろうから、その注文なら自我は必要なさそうだね。うん。簡単に出来るよ。……だだ、やるなら相応のご褒美が欲しいな」

「解った。俺に出来る範囲でなら良いよ」

「言質は取ったからね?忘れないでね?絶対だよ?」

「……何を要求するつもりだ?そんなに言わなきゃ駄目な奴なのか?」

「まあそうだね。お父様には簡単に用意出来るけど」

「嫌な予感がして来たのだが?」

「さて、始めるよ」

そしてジーヴルは高性能なゴーレムクリエイトを大量に直ぐに行った。

「それで今回のゴーレムはどれくらいの知能を持つ奴なのか?」

「自我を無しにするならパターン想定を大量にゴーレムに事前入力しておいて場合に応じ、その通りに行動させるくらいが無難かな。それの入力はよろしく。仮想敵の情報もまだ無いから」

「解った。じゃあ入力方法を教えてくれ」

 そして説明を受け、ゴーレム達に通常戦闘には差し障り無い程度の物を入力した。それと鹵獲対策に、ゴーレムにそのデータベース抹消の為に用意する自爆技も仕込んで置く。通常戦闘で出る様な物では無い様な物を出されても、その時は此方が補助すれば良いだけだし、データベースを盗もうとする奴が出たらそのデータベースその物が爆弾に成る訳だ。……いや、まあ、通じるかは知らん。遠隔操作潰し以外の手もあるかも知れんしね。だが、そうだな。ある程度の自律行動可能な状態でゴーレムの見た目を俺達みたいにするかな。対処に大技撃ってくれれば実質損害零で浪費させて儲け物だし。他所の巨大術式の場所は調べたし、其処にそのゴーレムを転移で送り込むとよう。……まあ、ゴーレムでのエネルギードレインが此方に有る以上、早々と大技撃たないと、それを大規模にされると大技を撃てるだけのコストが巨大術式側に残らないだろうから、多分初手に大技を撃つ可能性は高いし、まあ、大技を撃たせるデコイくらいには成るはず。……まあだから高性能過ぎる奴が作れた結果で、それには使えないと成る訳だ。……もしそうしなくてもエネルギードレインをするがな。そして別所の巨大術式の有る場所にゴーレム達を転移させて、巨大術式の破壊をさせるようにして、様子見をすることにした結果としては、相手は大技を撃ったのだが、それは此方のゴーレムを壊すのとは別の事を引き起こした。巨大術式の効果が何か?と言う事を失念していたが、それは観測結果から推測するに、一部の区画のシステムがそれをやった誰かの都合の良い様に変えられた。と言う物らしい。つまりシステムハックによるシステム改編の為の巨大術式だった訳だ。このタイミングで急いで発動したのは此方が巨大術式を壊せた分だけそれの規模が縮小したと言う事なのだろうか?……いや、それよりも、犯人に都合の良いシステムが世界に存在する。……それはつまり、システム干渉系能力持ち以外の奴の、システムに能力が依存した奴では良い様にやられる様なエリアが出来たと言う事だ。まあ、結局はシステムの中の一プログラムでしか無いから、そこから退避するなり何なりと対処自体は簡単に可能な訳だが、それを正攻法で攻略するならば、一応は面倒では有るな……。まあ退避すれば余裕とか国家単位の規模で、そう対処せざるを得ない様にやられたら国家を単独占拠レベルの事も可能に成る訳だが……規模次第では、真面目にヤバイ事に成る奴だったし、規模が縮小して本当に良かったよ……。と、それはともかく、それを何とかし無いとか、国家レベルのそれでは無いとは言え、デカイ国家の一行政区画ぐらいの規模は有るのだし……。

 どうするか決めあぐねて居ると、連絡が入って来た。それも他の神格個体の関係者から。要点はこうだ。

一、 俺らがそれをやったかどうか。

二、 俺らがシステム干渉系を持つかどうか。

三、 今回の独自のルール区域を止める気が有るかどうか。

まあ、聞く話としては妥当な所だろうな。犯人かどうかの確認と、システム干渉系の物を持つか?=今回の犯人に対抗出来るかどうかの確認と、今回の話に干渉するかどうかの確認なのだし。干渉系は有るのだし、今回の話は俺も参加し無いとアレだろう。

参加する神格個体達の会議の場所は海底国家の某所、か。行くとしよう。海底国家では無許可の転移は使用不可能に成って居るので、海底国家の窓口の地点へと転移した。そして会場に行くと、数は少ないがそれなりにやばそうな奴が沢山居た。……例えば空間が捻じ曲げられている場所も有り、そこからは不機嫌そうな声が漏れている。恐らくはエアデー=ローダー。天空神で、空中都市の主だろう。如何やらそれなりの場所を創れていたのにも関わらず、会議会場として、空中都市が選ばれなかった事が不満な様だ。……いや、今はそう言う意地を張る様なタイミングじゃ無いからな……。火焔神は……居ない。いや、奴は来る必要が無いか。マントルの中を住処とするとか、マグマオーシャンに住むとか、地上がどうなろうが星其の物の危機でも無いと基本的には無関係で居られる場所だろうし。他の知っているのは……辺りを見回すと其処でテラに外に出て待って欲しいと言われるが、そのタイミングに水神と……水霧浄土が入って来た。水の身体のそいつは言う。

「緊急時の呼びかけに応じて貰い、先ずは感謝させて頂きます。初めましての方もいらっしゃる為、自己紹介をさせていただくと、私は水神の作り手の水霧浄土と申します。以後よろしくお願いします。では本題に入りますと、ある地域の召喚システムが改編されて、犯人に都合の良い物に変えられたと言う事が起きたのは使いの者達が事前に話した通りですが、このままではどんな事に成るか分かりません。なので、それを倒したいならシステム干渉系を持つのが前提なのはご存知の通りでしょうが、……それを壊すのは前提として、その壊した後はどうしましょうか?元の召喚システムの状態に戻すかそれとも召喚システム自体を無効にするようにするか……天空神、どうぞ」

「……要は倒すのは問題無いにしても、脆弱性が示されたシステムをそのまま使う事が、有か無しかと言う話で良いのだよな?なら答えは簡単だ。召喚システムを書き換えた方法論を聞き出して、それでシステムの脆弱性を是正する。こうするしか無いだろう。システムの完全破壊とかは論外としても」

「異論は有りますでしょうか?……なら私からはこれだけ。システムの破壊はシステムの恩恵を多大に受けている立場からすれば論外としても、……しない前提で言いますが、それで奪ったやり方で、召喚システムを皆様方に都合が良い様にも出来る訳ですが、皆様方はそれをするとは言いませんよね?そうした場合は今回の話の主犯の今回の待遇が貴方に降り掛かる物とお考えください」

「それはなんだ?つまり、ここに居る全員でシステムを奪った上で、此処に居る奴らに都合の良い物にするのは問題無いと言いたいのか?他の人は今回の事で動いて無いのだからな」

「そうは言っておりませんが、そうですね。奪って大義名分がある範囲でシステム調整を行う際に、どの様な調整を行うか?と言う事は重要です。此処に居る我々が何かしらの権限を得る内容の調整を召喚システム側に差し込むのも可能かもしれません。その匙加減をどうするか?と言うのは大事でしょう」

「……そういうのは倒した後でやろうぜ。まだ今は捕らぬ狸の皮算用でしか無いからな」

「では実務的な話をしましょうか。今回の件の主犯を捕まえる上ではシステム干渉系を持つのは前提です。そうでなければ、システムの力とかシステム其の物を操られて碌に効かずに強制負けイベント化してしまいますから。では本題は、システム干渉能力の内容はどの程度の物ですか?それは不都合なシステムの力を押しのけられるくらいに強力な物ですか?」

「……いや、基本的には俺達の力は、システムの力依存の力なのに、システムその者を否定する力を持つか?いや、そうじゃないな。それが有るとしたらゲームで言うならば意図的にバグを調整時間に時間制限も無いのに意図的に残して有るような物だ……いや、例外が有るとしたら、管理者権限関連の力、か。だが少なくとも俺に召喚システムの創造者との伝手なんて無い訳だが」

「管理者権限関連の力が有ればどんなチートも知った事か……とは行かないのは召喚システムの創造者が表に出ず隠れたままなのだからお察しでしょうが、……管理者権限と言う物を疑似的に能力で作れれば今回の様な事も可能なのでは無いでしょうか?」

「……いや、やけに詳しいな、水神の作成者様よ」

「仮にも国家の上層部には私は居ますからね。そう言う情報もそりゃあ入りますよ……って、おい、どこの国だ。該当区域に話し合いも終わってないのにビーム兵器ぶち込んだのは……」

「いや、案外良い手かも知れないぜ?それはシステム依存の能力では無いだろうし」

「……それなら尚更あーあ、ですよ。一般市民もまだ範囲内に居た結果地上には当たらない様にしてシステムを成立させているエネルギーを削ろうとしたらしいけど、一般市民の退避が終わった後なら該当区域全部を焼き払う様な兵器を投入しても、建物側を能力で直せば問題無しだったのに、これじゃ早く行かないと対策を完成させてしまうでしょうが」

「何か?つまりどこかの国が先走ったせいでその手段では時間制限が追加されたと?一回、殴らせろと言う話だな。とにもかくにも。しょうがない。一般市民の救助を巻きで済まそう。そして対策を構築される前に兵器を問題無くぶち込める状況を創るしか無いな。分身を大量に送り込むとしようか。……いや、俺の能力で空間上のシステムを成立させている原因のエネルギーを制御すれば或いは?」

「両方頼む。こちらも分身は送るから」

「よし。分身を大量に送り込んで、被害者の一般市民全員を助けたら能力に依存しない通常兵器を大量にぶち込むと言う事で良いな?行くぞ」

 そして神格個体の大量な分身による物量作戦と言う、チート無しなら対応する立場に成るのは勘弁願いたい事が行われた。……いや、本当に書くのが躊躇われるくらいには質の伴う数の蹂躙が行われた。……いや、システム権限がある程度自由に出来るからと、システムを無視できる奴はそんなの直接の関係は無く、結果的には扱う力を補助する物が増えただけの力と同じ扱いに成った。……これはアレだ。相手のリソース以上のリソースをぶつけてリソース不足、つまり、対処力不足を相手に起こさしてそれで押し切る。血も涙もないとしか言えなかった。戦う上での相手の設定したルール?そんなの知るかよ、だからな……。流石に相手には同情するよ。戦争に卑怯も汚いも無いなんて言うけれど、これは流石に品格的な意味でどうなのだろうか……。そして犯人を捕まえる事には成功したのだが、さて、どう尋問してやろうかね。と言う話題が普通にされていてアレ過ぎた……。まあ召喚システムを大義名分が有る状態である程度弄れる状況な訳だしな……。

 そして犯人の尋問の結果、ある程度の事が解った。まあ正直、正直に話されている保証も無いから、百パーセントそれが正しいと言う保証なんて何処にも無いし、むしろ偽の情報を此方に掴ませ、それを元にシステム干渉系を行使させ、システム作成者側にバグ修正的な意味での対処をさせようとして居ると言う説の方がまだ信用できる話だろうだが、それには最低限ある程度のレベルではシステム干渉の方法が正しい事でなければならない。たとえそれが欺瞞情報だとしても、前提としての相手の狙い的にシステム干渉を少し出来るぐらいの情報の正確性は有るはずだ。つまり相手の目的的には導入程度には正確な情報もある程度此方に渡さないと駄目だと言う事。他人任せとは言えこの状況を引っ繰り返すにはそれくらいは出て来ないとだろうし。その情報群を元に、取捨選択と調整を行い、その正解を導き出すしか無いのだが、それをやる上で問題に成る事を上げるなら、本来は絶対やらない様な事をパスワードに据えてあるパターンだ……。其処の部分を情報制限が有る状況で正確に答えを導くのは難しい。いや、それが解る能力が有るならば話は別な訳だが……。まあ、まともに考察するなら情報不足の状況で当てられる奴なんてそう簡単には居ない気がする。パスワードが仮に一億桁の数字を入力する必要が有りますとかされても、使う奴は、多分、殆どコピペか機器での自動入力じゃないかな。まともに人の手でチマチマ入力を毎回するなんてやっていられるか過ぎるし。故に毎回やるのに苦に成らない程度のそれだとは思うのだが、……。其処で問題が発生した。犯人がやった方法では、巨大術式を使うのが前提と成り、でもそれらは此方が粗方壊し済みだ。だが、此処で巨大術式を再建しましょうとは出来なかった。何故ならその巨大術式はその犯人主導の物に成るからだ。故にそれを仮に作れたとして、そしたら犯人の犯行を此方が引き継いだ感じに成るし、作れたら作れたで、犯人に良い様に乗っ取られる可能性が高いのだ。……。巨大術式を使わない方法を用意するしか無いか……。巨大術式の目的は自分に都合の良いルールを空間上に適用させる為に必要なエネルギーを確保するための物。……だと思う。つまりは、法則改編とは大量なエネルギーで法則へ介入して常時、捻じ曲げている結果の物なのだろう。だからゴリ押しで法則を捻じ曲げ続ける為に大量なエネルギーが必要だった訳で、巨大術式が必要な理由は常時法則を改編したままにしたかった為だとするならば、瞬間的なそれならそこまで大規模なそれは必要無い。……はぁ……この理屈では召喚システムを元の状態に戻すことは出来ても、それで此方に都合の良い改編をするのは、それこそ自分達で止めた相手の方法を結果論的には引き継ぎでもしない限りは無理である。それをすると今回の話で言う排斥される側に成るだけだろう。まあ、エネルギータンク的に所有エネルギー量がずば抜けている奴が居れば話は別かもしれないが……そいつのエネルギーをその法則改編に全振りするならそれは要するに人柱と同じだろう。むしろシステムの奴隷と言っても良い。この犯人はそうしたくないから巨大術式で周りから無許可でエネルギー収集をしていた様だが……はぁ……此方がそれをやる訳には行かないよなぁ……だが、公式に公表してやるなら出来る限り少ない人数でやらないと取り分が微々たる物に成ってしまうだろうし……手間を掛けた割にリターンが殆ど無くなるのはなぁ……。と、其処で水霧浄土が提案を出してくる。

「自分はこれでも海底国家の……つまりエウミア連合国の上層部なので、そうだからこそ出来る事を提案しますが、システム干渉が可能な事を公表し、利用費用として国民から定量のエネルギー集めをする上で、その特定量単位分出した分だけ投票権を与えて、それの使い道を国民投票で決めると言うのはどうでしょうか?」

「つまり国民投票を高頻度で行う形の民主主義と言う奴か……はぁ……水霧……てめえの所はそれを出来るだろうが、他の神格個体の奴らはどうする?国家や集団を持つ奴以外の奴らは周りから危険視されるのは目に見えているだろうが。システム干渉を個人で出来る奴がフリー状態に成って居ると言う事に成るのだからな」

「そうでなくとも神格個体では既にあります。今更少し増えたところであまり変わらないでしょう。それとも個人では使えないとして此処に居る神格個体達で協力してシステムの改編出来たので、個人ではそれをやれないとして維持費としてエネルギーを国民から集めますか?」

「……最初からそれを言えよ」

「これにする場合、私達の出来るシステム干渉の自由度が大きく下がりますし、今回参加してない神格個体側がシステム干渉方法に辿り着いたら私達が嘘を言っているか、そいつより私達が客観的には弱い事に成りますが、よろしいですか?」

「……確かに設定的な意味で此方が何柱も居て初めてやれた事を他は一柱でやれた事に成る。あくまでも大義名分上は、だが……しかし、不都合な物がそれで通る可能性は否定出来ないだろ?」

「システム干渉の前提と成る物を開示しなければそれをやるのはあくまでも此方だ。なら、やる上での可否の最終判断は此方が握れる。だから問題無いのでは?」

「……。それはつまり、国民投票と言うのは皮だけかよ。それが独裁者と何が違う?」

「それにはそもそもやる上で最低限の範囲を逸脱しなければ、個人で勝手に使いますとしても問題無い物だと言う前提が抜け落ちていますね。ゲームで言うならサーバーの大本を握るのは此方な訳で、隠れて使う道も本来なら有るはずの物でしたよ。こう問題に成って居なければ、ですが、これは、そうですね。宝くじと同じと考えて頂ければ宜しいかと思います。宝くじを幾ら買っても良いけど、あくまでも宝くじの当たりを決めるのは此方です。と言う奴ですね」

「……手法が詐欺まがいじゃ無いか」

「ええ、ですがこれは例えば今回の犯人の仲間が完璧な方法を世界に流布すれば破綻します。ですが、それは簡単には出来ないはず。それを知って居るのは知識チートで情報を入手した奴でも無ければ犯人側の可能性が高いからです。つまり、それを早期に潰したければ、そいつは自首まがいの事をする必要が有ります。尤も、知識チートなんて物が有っても、国単位で使う奴は犯人以外ではまだ居ない状況ですので、国の重鎮側に似た事をやれる奴は居ないか、居ても公表出来るレベルの物では無いはずですね」

「犯人側の用意したのをそのまま使うとか正気じゃ無いけどな」

「そうですね。ですから、初期の段階の暫くの間はエネルギーが大量に有るだけで出来る事だけを国民投票で選びます。相手が仕組みを流布するならそれはそれでよし。しないなら、結果的に最後まで此方がそれを解らないとしても此方の商売の手法が一つ増えただけで済みますので」

「……えぐいな……」

「そもそもある程度皆様魔法を使える環境なのですし、前提的に法則を捻じ曲げて迄叶えたい願いと言う物がまともな物なはずが無いですから、問題ありませんよ。そう言う願いを却下するのは此方に都合が悪くなくても必要ですから。さて、では他の人にも話して置くので考えておいてくださいね。では」

 ……そして水霧浄土は他の神格個体の方に向かい話に行った。……法則を捻じ曲げても叶えたい願いがまともな物では有るはずが無い、ね。……法則を捻じ曲げでもしないと叶えられない願いに限るならそれはそうかもしれないけれど。……普通は有り得ない事を願う内容の前提に組み込む願いと言う事だしね……。

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