第6話

3月2日、ある消費者金融から電話が来た。

「こんばんは、Nさんですね。いつもSMBCコンシューマーファイナンスをご利用いただいてありがとうございます」

「あの、契約した記憶など一切ございませんが」

「えっと、どういうことでしょうか」

私は、電話の相手に今までの一連の流れを話した。いったい何回目だろうか。

「ということは、そのMという人が手続きをしたということですね」

「そういうことになりますね。第一、実家住まいの学生なので正直金に困るような状況でも何でもありませんし」

「そりゃあ、そうですよね。でも、運転免許証の画像もメールで送られてきているんですよね」

「メールですか?ちなみに、そのメールアドレスってお伺いできますか」

「はい、大丈夫ですよ」

私は、メールアドレスを聞いたが、正直訊いたことないアドレスであった。

「僕自身、使ったことも聞いたこともないアドレスですね」

「そうですか。じゃあ、そのMという人が作ったものですかね」

「おそらく、そうだと思います。あ、因みに、借入額ってどのくらいですか。僕が借りたわけではありませんけど」

「はい、大丈夫ですよ。え~、10万円借りられていますね。そして、2月に既に4千円分引き落とされてますね」

「え、お金引き落とされているんですか」

「そうですね。まあ、たぶん止められているのであれば今後引き落とされることはないと思いますが」

「はぁ、分かりました」

「一応、Nさんから伺った話に関しては、こちらでも調査はしてみますね」

「はい、僕自身も明日にでも弁護士の方に連絡は入れたいと思います」

そして、電話を切ったのち、すぐさま八幡東署に電話した。


「はい、八幡東警察署です」

「Nというものですが、モニターのアルバイト被害の件で伝えておきたいことがありまして、刑事課のJさんはいらっしゃいますでしょうか」

「Jはすでに帰宅していますね。Nさんから電話が来ていたことはJに伝えておきますので」

よろしくお願いします、と言って電話を切った後、私は親にも報告した。



翌朝、9時半頃に母に起こされた。

「ちょっと、八幡東署の方から電話来てるよ」

「はぁい、代わるよ」

「まったく、電話が来ること分かっているんだから早く起きなさい」

はあい、と言って私は母から電話を受け取った。

「もしもし、Nです」

「八幡東署のJです。N君、また被害が出たんだって」

「いや、昨日電話が来るまで気付かなかった、って感じですかね。あまり通帳記帳する方でもないので」

「なるほど。で、どこから電話が来たんだい」

「プロミス、SMBCコンシューマーファイナンスです」

「プロミスね。照会しておきます。また、何かあったら電話すると思うんで、その時はよろしくお願いします」

私は、わかりました、と言って電話を切った。


その後、私は銀行に行って通帳記帳をしたいと願い出たが、通帳事態を止めているので無理だと言われ、これまでの事情を話した。

「そのことを最初に言ってくだされば、口座そのものをお止めしたんですが」

「じゃあ、通帳とカードでの出し入れが出来ないだけだったんですね」

「そうです。なので、給与も入りますし、お金がある限り引き落としもされます」

「そういうことだったんですね」

「とりあえず、こちらで履歴を確認してみますね...SMBCが、先ほど言われていたものですかね」

「そうですね」

「あ、ライフカードから1月と2月に約1万円ずつ引き落とされていますけど、こちらは問題ないですか」

「ライフカード、初耳です」

「じゃあ、これも被害受けたやつでしょうね。このままだと、お金は引かれ続けるので、解約した方が無難だと思います」

「じゃあ、解約でお願いします」

そして、問題の口座は解約し、残額は元々親が管理していた別の口座に振り込んでもらった。


銀行を出た後、八幡東署と弁護士にアイフルからも借金を背負わされていたことを報告した。弁護士には前日に発覚したプロミスの件も合わせて報告した。さらに、私は口座を解約したことでバイトの給料が受け取れなくなり、バイト先で口座変更届を書く羽目となった。

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