第2話

夜、パソコンで動画編集をしていると、ラインが来た。送信者は昼間にアンケートを取ったあの中年男だ。

「夜分遅くにすみません。本日はモニターのアルバイトへのご協力ありがとうございました」

「こちらこそ」

「登録手続きに不手際がありましたので、明日自宅最寄りの駅までよろしいでしょうか」

「まあ、暇なんでいいでしょう」

「では、明日10時にお願いします」

そのわずか2時間後、再び男からラインが来た。

「朝一で修正しないといけないので、9時でもいいですか」

「9時はちょっと」

「じゃあ、10時に大学近くの駅ならどうでしょう」

「それでいいですよ」

「すみません、ありがとうございます。では、明日10時に駅で待ってます」


翌朝、私は行橋駅を9時過ぎに発車する電車に乗り、10時頃に大学の最寄り駅に到着した。すでに男は到着し、私を待っていた。

「すみません、わざわざ大学近くまで出向いてもらって」

「いいです、終わったらバスにでも乗って時間潰しますんで」

「では、あそこのスーパーのフリースペースでもいいですかね」

「はい、別にどこでも」

私たちは駅前のスーパー内のフリースペースに移動した。

「では、またスマホを貸していただけますか」

私は何の抵抗もすることなくスマホを渡した。そして、男は昨日と同じように電話で誰かと話しているようであったが、内容までは聞き取れなかった。


電話が終わると、男は私にスマホを返してから言った。

「では、用件は以上になりますので」

私は一言、失礼します、とだけ言ってそのスーパーを出た。その後は、確か近くのバス停から西鉄バス北九州名物?の電車代替こと1番特快に乗って小倉都心に行った気がするが、詳細は覚えていない。


それから約1ヶ月、私のスマホには見知らぬ電話番号から何度も電話がかかってきた。しかし、私はそもそも知らない電話番号を原則拒否していたので、その電話に出ることはなかった。1月末には、なぜか佐賀県警察からも電話が来たが、特に気に留めることはしなかった。


この結果、2月に事態は大きく動くことになったのである。

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