【長編】目覚めたら弟子が勇者になってて師匠の私にぐいぐい迫ってくるんですが④

【世界設定とかなんやら①】


 作品中で明かした説明とめっちゃ被ってますが、出来れば作品内で明かさなかった裏設定も含めて語ることが出来たらなって思ってます。



●この世界の魔法について:


 様々な効果を持つ魔法紋様を思い浮かべ、そこに魔力を流すことで魔法が発動する。魔法の威力は、単純に魔法紋様に流す魔力量と比例する。


 魔法を使うためには、魔力を魔力の通り道に滞りなく流すことが大切。

 この魔力の通り道を感じられないと魔法が使えないため、道を開通させる(分かるようにする)ために、魔法熟練者による同調儀式(アチューメント)が必要になる。


 魔力量が多くても魔力の通り道が狭いと、魔法紋様に流せる魔力量が少なくなるため、強い魔法が使えない。

 魔力量が多く、魔力の通り道も広ければ、強い魔法が使える計算になる。


 魔法初心者は、上手く魔力の通り道に魔力を流せず、無理をすると頭痛や脳の機能が低下して一時的な身体的不調、もしくは一気に魔力が流れ出して倒れてしまう、魔力暴走に繋がる。

 慣れてくると疲労感なしで無意識に、魔力を引き出すことが出来るが、小さな疲労は蓄積するので、適度な休息は必要。


 魔力量は増やすことが出来る。

 一般的には筋トレのように魔法をたくさん使う事で鍛えられていくが限界があり、限界を超えたい場合は、強いショックをなどを心に与える事で、限界の限界を超える事が出来る。が、同時に心を壊す可能性も高い為、普通は使われない訓練方法である。


 勇者候補は、魔力量と魔力の通り道が、神素の影響で普通の人間よりも多く・広くなっているため、強い魔法を使える。


 女勇者候補については、処女を失う(ナカで精を受ける)ことで身体が変化し、それによって神素で変化した魔力の通り道が一般人サイズに戻ってしまうので、今までのように膨大な魔力を流すことが出来なくなり、結果的に勇者候補としての力を失う。

 ただ、魔力量には変化がないため、もし魔力の通り道を勇者候補並みに広く戻す方法が見つかれば、再び勇者候補並みの力が使えるようになるだろう。


 リベラに関しては、純化の副作用によって、神素の影響を受ける前(つまり一般人状態)から、魔力量・魔力の通り道が勇者候補並みに変化させられていた。

 なので両翼の力を失い一般人になっても、勇者候補並みの力が残った。


 魔力量・魔力の通り道が勇者候補並みにあることは、神素が関係しないリベラ自身の体質によるものなので、恐らくこの体質は遺伝し、遠い未来、一般人の中でも勇者候補並みの力を持つ者たちが数多く現れると思われる。 


 魔法の種類には、四大元素(火・水・風・土)+癒し・精神・肉体強化の7種類が存在している。


 以上の魔法は、勇者候補ではない一般の魔法師(魔法で手助けをするのを生業にしている一般人。勇者候補の力には劣る。そもそも勇者候補たち自体が魔素がらみの仕事で一杯一杯なので、魔法師たちが引き受けている)たちも使う事が出来る基本魔法。


 魔法は、それぞれの魔法紋様を思い浮かべ、魔力を注ぐことで発現する。

 威力については、魔法紋様にどれだけ魔力を注ぐかで決まる。魔法紋様の輝きや大きさによって、どれだけの威力の魔法が発動するかが、何となく分かる。


 魔法には適正があり、適性を診断する魔法石(7種類)に手を当てて反応を見る事で分かる。

 適性は、複数に渡る場合もあるが、一般人は1,2種類に対し、勇者候補は大体3種類以上持っていることが多い。

 この世界の適正は、どれだけ魔力が少なくその魔法が使えるかであるので、訓練さえすれば全ての魔法を習得は可能。



●神:


 魔王を倒す為に、勇者候補に特別な力を与える存在。


 実際は、数多ある異世界を侵略し、そこに住まう者たちの魔力を食らって滅ぼしてきたモンスター。

 太古から存在していて、最後の一体。

 巨大な肉の塊に触手が生えていて、身体のいたるところに金色の複眼がある。

 大昔、とある異世界の住人達から反撃を食らい、ボコボコにされて異空間に封印される。


 酷い空腹で暴れたことで、リベラたちの世界と繋がる穴が開いてしまった。

 

 破壊されつながった穴は、神の触手が出るくらいの大きさがあり、いつもそこかは巨大な金色の複眼が覗いていた。(普段は見えないが魔素が非常に濃くなると、勇者候補たちにも見えるようになる)


 ほとんど知性はなく、生存本能に従って生きている。

 

 主食は、人間ほどの知性のある生物がもつ魔力。

 そのままでは食べれないので、魔王の種を植え付けることで魂を魔力の塊に変化させ(純化)、それを食らう。

 種を植え付けられた人間の魂は純化の際、副作用で肉体が変化し、魔王化してしまう。

 

 魔王の種を発芽させるとき、多少の魔力が必要となる。

 異世界の住人に、発芽させるほどの魔力がない場合は、神素という力で住人の魔力量を強制的に引き上げる。


 純化した魂は、神に食べられるが、一部を残して神の中に食い残され、溜められてしまう魂もある。

 それら食べ残しの魂は、記憶や意識を持った状態で存在していて、神が極限の空腹の際の非常食として漂っているが、その大半は、変化ない時間の流れて自我を失っている状態である。



●魔王の種(種の痣):

 

 魔王を倒した者の右手の甲に現れる痣。

 この世界の人間たちには、勇者の証『種の痣』と呼ばれている。

 痣の模様が、種から芽が出ている様子だから、ということでつけられた名前だが、魔王の種なので、あながち間違っていない気もする(笑)


 真実は、文字通り魔王の種。

 神が魔力を食べるために、これを人間に植え付け、魂を魔力の塊に変化させるための道具。


 発芽した魔王の種は、一体化していた肉体と魂を分離させ、それぞれを変化させてしまう。

 魂と肉体の繋がりがまだ保てていたら人間に戻れるのだが、魔王として発生した時には、完全に肉体と魂が分離している状態なので人間には戻れない。(リベラの場合は、魔王の種の模造品だったため、肉体と魂の繋がりがあり、人間に戻ることが出来た)

 

 さらに事情を知らない人間たちが、魔王を倒すことで肉体が破壊・消滅してしまうので、完全に魂だけの存在になってしまう。


 魔王の種は、魔王を倒した者を次の宿主にして移っていく。

 魔王と勇者が相打ちになった場合、種は消滅し、魔王を倒した者が複数いた場合は、その場にいる一番魔力量の多い者に移る。


 この現象は、3代目勇者フィーンの魔王討伐の際に起こっている。

 フィーンは弟と共に魔王を討伐したのだが、フィーンの方が魔力量が多かったため、魔王の種が彼女に移って勇者となり、その結果、共に戦った弟から恨まれることとなった。



●魔王:


 約300年ごとに発生する、巨大なモンスター。

 魔素という、大地を汚染し、動物をモンスター化させる力を吐き出し、世界を混乱に陥れる存在。


 正体は、魔王の種を植え付けられた勇者。


 魂を魔力の塊に変化させる副作用で、肉体が魔素を吐き出す超巨大モンスター化する。

 人間に倒されると魔王の種は、倒した者に移り、その者が死ぬか絶望することで、次の魔王を生み出す。


 神と同じく、知能はなく生存本能で生きているため、人間や世界を滅ぼそうという考えはない。

 こちらから攻撃を仕掛けなければ、魔素を放出しているだけだが、攻撃されたら身を守るために反撃してくる。

 魔王自体は攻撃をしてこなくても、吐き出される魔素で世界が汚染されるため、生かしておけない存在。

 巨体すぎて、発生した場所から動くことはない。


 人間に倒されると、大量の魔素を放出して消滅し、純化した魂(リティシアのように人の形をしている)だけが残る。

 しかしすぐさま、異空間の穴から伸びて来た神の手によって捕らえられ、神に食われてしまう。


 ちなみに魔王の正体は、以下の通り。


 魔王ラルゴ→初代勇者チェスタ

 魔王ブレスト→2代目勇者アレグロ

 魔王リヌート→3代目勇者フィーン

 魔王スフィア→4代目勇者ハイン

 魔王エレヴァ→5代目勇者リティシア

 魔王リーベ→リベラ


 第102話で、


「……魔王リヌートを倒した僕に、それを言うんですか?」

「ハイン……、あんた今……、遠回しにマウントをとって私を馬鹿にしたわね⁉ ちょっとアレグロ、あんたも何か言ってやってよ‼」

「……うっせぇっ! 喧嘩は他所でやれっ、出来そこないの片翼勇者どもがっ‼」

「でっ、出来そこないですって⁉ ~(中略)~魔王ブレストを倒したのが、この天才美少女勇者の私ってこと、忘れてないわよね⁉」


と言っていたのは、「お前を倒したの、俺・私なんだぜ」とお互いマウントを取り合っていたから。



●魔素:


 魔王が吐き出す魔力。


 人間以下の知能の生き物の脳を侵し、凶暴化させモンスター化させたり、病気にして死亡させたり、土地を汚染し、作物が育たない状態にしたりする。

 魔素は、火魔法の浄化の炎で浄化することができるが、勇者候補並みの魔力が必要なので、土地の浄化はアカデミーの管轄となっている。

 リベラほどの力があれば、解毒魔法でも魔素の浄化が出来る。


 魔素に侵された生物は、肉体に変化が起こって凶暴なモンスター化するが、魔素は吐き出さない。


 魔王が倒されれば自然と魔素も浄化されていくが、稀に魔素溜まりという、魔素が通常よりも溜まり濃くなった場所が発生する場合がある。

 そこではモンスターはさらに凶暴化し、土地の浄化にも大量の魔力が必要となる。



●神素:


 神が人間の魔力を増やすために作り出した力で、人間の魔力量や魔力の通り道を変化させる。

 神素の影響を受けるのは、魔力を食らう対象となる人間並みの知能を持つ生物のみ。


 本来の神素は、人間の魔力を瞬時に上げるくらいの力があるのだが、今の神は弱っているため神素が多く作れず、その変化は胎児にだけ現れる状況。


 神素の影響を受け、魔法の力が強く生まれた人間を、この世界の者たちは、「勇者候補」と呼んでいる。



●神の従僕:


 神の中で食べ残された異世界の住人の魂。

 神の食われたことを、「永遠の命を得た」と評価しており、このまま神と共に生きて行きたいと願っている。

 元々、感情が薄く、人間らしい情などは持っていない。


 異空間に閉じ込められたことで神が空腹になり、神の命や自分たちの存在が危うくなったので、独自で神を救う為に動き出したのがはじまり。


 その一部は、神の触手にのってこの世界に降り立ち、人間の身体を奪って紛れ込んでいる。

 そして長い時間をかけて魔王に対抗する為に作られたアカデミーを掌握し、陰で色々な実験を行っていた。


 一度人間の肉体を奪った神の従僕たちは、本来の姿には戻れないため、神の中に戻ることも出来ない。肉体を纏ったまま神の中に戻ろうとすると、この世界の人間同様、肉体も魂も消滅してしまうからだ。


 が、一応、神の元に帰る方法はある。

 魔王の種を植え付けられ、魔王化して純化した魂を神に食われれば、神の中に戻れるが、非常な苦痛と、そのまま丸々神に食われてしまう可能性もあるので、もっと安全に帰る方法を探していた。


 そのため、神の中に人間を放り込み、変化を調べる実験が盛んにおこなわれた。


 神の元に安全に帰ることが出来ないと分かっていながらこの地に降りて来た神の従僕たちは、ある意味、他の神の従僕たちよりも狂信的に神を信仰していたともいえる。


 腐っても異世界人なので、この世界の人間と感覚が違う。

 愛情など人の持つ感情が理解できず、その感情から生み出される力を甘く見ている 。

 彼らが負けたのは、エステルの復讐心や大切な者を守る想い、歴代勇者たちの本気、シオンのリベラに対する執着などなど、感情から生み出される力の危険性に気づかなかったのが原因だろう。


 行方不明になったエステルやリベラの行方を躍起になって探さなかったのも、両翼であるリベラがいつかアカデミーに現れること、死んでも魔王となって姿を現すことが分かっていたから、エステルに関しては、逃げ出しても出来る事はないから、と甘く見ていたから、という結構ガバガバな危機管理能力による。


 どれだけ長い時間を生きても人間の感情というものが良く分からない為、この世界の人間の協力者を必要としている。

 バレンタが常に笑みを浮かべていたのは、あの表情が一番相手に警戒心を抱かせないと知っていたから。


 バレンタが、シオンの様子がおかしい事からリベラと通じていると気づいたのも、マイヤーが助言したからによるもの。



●勇者候補:


 神から特別な力を与えられたとされる、一般人よりも魔法が格段に強い者たち。法具が使えたり、固有スキルなんかも持っている者もいる。

 左手の甲に、片翼の痣、もしくは背中に両翼の痣をもって生まれてくる。


 その実態は、神が魔王の種を植え付ける為の魔力量を増やすため、神素によって、魔力量・魔力の通り道を大きくされた者たちの総称。

 一言でいえば、「神のゴハン候補」

 

 体質によって神素の影響を受けにくい、受けやすいがある。

 そのため、影響を受けやすい者(勇者候補)の血を入れることで、血脈に勇者候補が生まれる可能性があがる。

 何によって神素を受け入れやすくなるかは不明なので、一族に勇者候補がいないのに、突然勇者候補が生まれる、ということもある。


 法具や固有スキル(←リベラぐらいしか出してないけどw)は、この世界の人間がもし勇者候補並みの魔力を手に入れた時に発現する能力みたいなもの。

 神素がなくても、何かしらの理由で勇者候補並みの魔力を手に入れたら、目覚める能力でありその人間の可能性。


 両翼は、神が空腹状態になった時、神素の性質が変わることで生まれる。

 世界中で最も魔力量の多い胎児に神素が集まることで、通常の勇者候補よりも格段に強い力をもって生まれてくる。



●勇者の称号と歴代勇者たち:


 勇者候補が魔王を倒すと、アカデミーから勇者という最高の栄誉と肩書が与えられ、世界に英雄としてその名をとどろかせることとなる。

 優秀な血を残すため、勇者には一夫多妻・一妻多夫が認められている。


 しかし魔王の種を植え付けられているため、死後300年後、魔王として発生し、その時代の勇者候補に殺される運命でもある。


 初代~4代目までの歴代勇者たちは、魔王となって討伐された後、神の中で食べ残しの魂として残っていた。

 神を倒すために動いたエステルとチェスタの本気を見て、残った歴代勇者たちも世界のために神に立ち向かうことを決意するが、神が消滅すると彼らも消える運命にあった。


 歴代勇者たちは、ハインを除いて皆、絶望で魔王化している(これをリティシアは自身消滅前の会話で「ロクな死に方をしていない」と表現している)


 ◇チェスタ→

 自分の産んだ子をアカデミーに取り上げられ、実験中に死んでしまう。アカデミーに子どもを殺されたと絶望し魔王化。


 ◇アレグロ→

 最も愛する妻がいたが、魔王討伐後、勇者の血を残すために、たくさんの他の女性を娶る。自分以外の女性を娶ったと妻がショックを受けて自殺。それを目の当たりにしたアレグロは絶望し魔王化。ある意味自業自得。

 第136-2話でアレグロが消滅直後の言葉、


「ありがとな、二人とも。ようやくこれで俺も、死んだ本妻に謝りに行けるってもんだ」

「俺みたいに本妻以外に目を向けると、とんでもない事になるからなっ!」


は、過去の自分の軽はずみな行いによって愛する人を失った後悔から来たもの。


 ◇フィーン→

 弟と共に魔王を討伐したが、弟よりもフィーンの方が魔力が高かったため、魔王の種がフィーンに移ってしまう。

 それによって、勇者となれなかった弟に憎まれる。

 最終的にフィーンは弟に命を狙われ、返り討ちしたのは良かったが、その際力加減を誤って弟を殺したことで、絶望し魔王化。


 ◇ハイン→

 神の従僕と接触することで、魔王と種の痣の正体を知ってしまう。

 世間に公表する前に、本当に種の痣によって魔王化するのか知りたくて、肉体がどれだけ傷つけば魔王の種が反応するか自身の身体で実験中、判断を誤ってうっかり(笑)絶命し魔王化。おバカ。


 ◇リティシア→

 魔王スフィア(ハイン)を討伐後、彼が残した通信珠の記録から世界の真実を知ってしまう。

 それによって今までやってきたこと、これからやることに意味がないと絶望し魔王化。


 皆、そこそこクセがある人物ばかりだが、「世界のために、魔素に苦しむ人々のために戦う」という強い気持ちは共通して持っている。

 なので、リベラを救うという自分本位な目的の為だけに戦うシオンを良く思わないフィーンの気持ちが、第102話の、


「ふんっ、希望ね? 言っとくけどね、ハイン。私はね、こいつを勇者だって認めてないんだからね!」


という発言に出ている。


 アレグロとフィーンとリティシアの魔王化については、WEB拍手お礼画面の4番目でちょいっと触れられている。



 世界設定、まだ続きます(そろそろ私が疲れて来たw)

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