第3話 純粋な彼女
食事をしたり、ドライブをしたり、週末はショッピングに行ったり。
彼女と一緒に居るだけで楽しくてしょうがなかった。
どんどん純粋な彼女に惚れて行く自分が分かった。
『最近、車の運転中に前の車のナンバーが読みづらくて…』
彼女は少し視力が悪くなったことを告げていたが、まだ眼鏡をかける程ではなかった。
『コンタクトでもするの?』
私はと言うとかなり悪い近視だったから、眼鏡とコンタクトを使用していた。
『コンタクトはしないけど、最近は気合いでナンバーを見る様にしてるよ!』
少し天然な彼女の答えに、流石の私もツッコミを入れた。
『そんなん気合いじゃアカンやろ!!!』
真面目なのか不真面目なのか、そんな一面もある彼女をもっともっと知りたいと思い始めていた。
Ⅰ子と再会して3ヶ月!
いや、正確に言うと中学の同級生だから8年目?
何度か彼女と触れ合うチャンスはあったけど、いつも彼女とは『A』までの関係しか発展しなかった。
それはいつも彼女からSTOPがかかってしまうのだ。
お互いの気持ちを確かめ合うことは大切だと思うが、男目線で言うならば男女の肉体関係も大切なものだと思っていたのだ!
『そういう行為って結婚相手しか許すつもりないから!』
彼女の発言は、正に昭和世代のタイプである。
いや、そんな古風な考え方の彼女だから好きなんだとも思った。
男からするとガードの固い彼女の方が安心するし、かと言って長い付き合いで許されないと私のことを嫌いなのかと思ってしまう。
まだ結婚を意識する年齢でも無いけど、彼女が望むなら結婚を前提にお付き合いも悪くない。
そして一世一代の決意を胸に彼女と会う日が訪れる。
私の髪はストレートヘアーだった。
彼女との決意を胸に、髪型を変えてイメージチェンジを図ったのだ。
だが、少し強めのパーマをかけたのか、髪質なのかは分からないが、パンチパーマに近いほどグリグリ頭にフルモデルチャンジしてしまったのだ。
『あははははははははははははー可笑しい(笑)』
そんな髪型のまま私は会いに行き、笑いを堪えきれないでいる彼女がいた。
でも、自分で自分の髪型を見ても違和感しかないと自覚はしていた。
『笑ってゴメンネ!髪型なんかすぐに見慣れるから(笑)』
純粋な彼女の優しい言葉でもあった。
『今日は大事な話があって来たんだ!』
少し真面目な感じで彼女へ伝えた。
『はい!何?大事な話しって?』
彼女も笑うことを止めて私のことを見つめて言った。
『俺と将来のことを考えて付き合って欲しい!』
結構、男らしく言ったと自画自賛の言葉だった。
『・・・う・・・ん』
でも、彼女からの返事は何故か曖昧で、どちらかと言うと悲し気な表情になってしまった彼女がいた。
そして私から目線を反らして、何かを思い耽って車中から夜空を見上げた。
答えは求めないタイプだった自分。
それは相手が答えたいタイミングでいいと思っていたから。
でも、私のことを好きでいてくれると強く信じていた。
『これからもヨロシク(笑)』
私が彼女へ右手を差し伸べて、笑顔で握手を求めた!
『不束者ですが、こちらこそヨロシクね♪』
彼女はいつもの表情になり、彼女の右手と私の右手は結ばれた。
そして、彼女の背中に両腕を回して正面から彼女を強く抱き合しめた。
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