第2話 悪魔の彼女と彼女の家。

 今日、俺に幸運にも彼女ができた。

 それもどう考えても俺には不相応の大物であって、彼女の名前は黒魔叶。

 黒髪ロングの紅瞳をした女の子。


「こうすけくん! 今日、一緒に帰りませんか?」


 俺から告白して付き合うことになった彼女がいきなりもそんな事を俺に言う。


 彼女は場所を考えずに、それも大きな声でそんな事を言うから、周りの目線が凄く痛い。

 

 教室の中で酷く俺を睨む殺意をこもった男たちの視線。

 

 俺はノーリスクノーリターンで彼女に告白したつもりだったのだが、その想定は彼女が不意にもOKしてしまったことによって完全に崩されてしまった。

 俺が黒魔さんにOKされるなんて誰が思ったのだろうか。

 誰も予想だにしなかっただろう。

 そして俺もその中の1人なのである。

 

 そして、さらに予想もしないことに彼女、黒魔叶はなぜだかわからないがすっごく積極的。

 普通彼女ができた時は最初はお互いが恥ずかしがって、目が合うとお互いが逸らしてしまうという焦ったい期間が続いて、徐々に仲良くなっていくというルートを通るのだが、黒魔さんはそんな正規ルートを省略してしまっていて付き合い始めて数時間で教室で大きな声で俺を誘う始末。

 こんな事を俺が予想するわけもなく……

 まぁ、告白したときに無理矢理だったとはいえ、キスをしてしまったわけだから、段階的に考えれば、もうキスをした時点で数段飛び越してしまっていて、彼女が誘う、一緒に帰るというのは飛び越してきた場所を埋めるみたいな作業に思えてもしまうのだが……


 やっぱりそんなことを付き合い始めたばかりに教室で言われると教室にいる人も俺も驚いてしまうし、混乱してしまう。


 それでも、こんな美少女が俺の彼女だってことは舞い上がりそうになるくらい嬉しいので、


「わかりました。帰りましょう。黒魔さん」


 黒魔さんの誘いに乗って俺は一緒に帰ることにする。


 隣には学校一の美少女を携えて、進んでいくと人々はモーセの到来のように横にずれてくれて、なんだか心地よかった。


 けれど男子たちの目は虎のように鋭い眼光をしていた。


 そして黒魔さんを隣にして歩いて、俺は校門を出た。

 しばらく歩いていたところ隣にいる黒魔さんから突拍子もない言葉が発せられる。



「こうすけくん。今から私の家においで。私一人暮らしだし、誰も家にいないからさ」


 俺は付き合って初日で彼女の家に呼ばれることになった。


 それもやりたいランキング堂々1位の少女、黒魔叶に。

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