悪魔の彼女と天使の幼馴染。

月風レイ

第1話 悪魔の彼女。

 とある高校の屋上。晴天の青空。微風が涼しく、太陽の日差しもそれほど強くなく、心地良いくらいの天候。


 俺、普通の高校2年生の大吉幸助(おおよし こうすけ)屋上でとある人物を待つ。

 黒髪で紅玉のような眼をした黒魔叶(くろま かなう)という1人の女性を。


 刻一刻と時間が近づき、それと同時に高まる俺の鼓動。

 

 よし、髪型オッケー! 歯磨きオッケー!

 制服オッケー! 心もオッケー!


 俺が準備をパーフェクトに済ませた時に、屋上の扉を開けて現れたのは黒髪の美少女。


 紅玉の瞳に、丈が少しだけ短いスカート。

 スカートから生え出る美しく整った脚。

 そして、さらりと伸びて艶のある黒髪。


 そう、現れたのは俺がくるのを待ち待っていた黒魔叶。同い年でこの学校で美少女ランキングという男子界の裏サイトで1位を欲しいままにする少女。

 やりたいランキング、彼女にしたいランキング、すべてを毎回独占する。

 男子の憧れの存在。

 俺はそんな彼女を今日とある理由で呼び出した。


 それはもちろん……告白!

 俺はもう玉砕覚悟でこの場にたった。

 好きになった理由なんて、本当に下らない……

 単なる一目惚れ、けれどこの想いはどうしても抑えきれそうにない。

 ならいっそのこと爆発させてやろう。

 そう思って俺はここへと来た。

 オッケーされるなんて万が一にもないと思うが、それでも俺はいく。


「黒魔さん! 俺と付き合ってください!」


 もう。前置きなんていらない……

 そんな時間はもったいない……


 どうせ結果もわかっていることなんだから、俺は告白してただそれだけで終わる。


 この後、ラブコメみたいに何故かオッケーされる展開になるはずなんてなく、ここは俺は振られて、そのままなんの特徴もないモブキャラへと転化して余生を終える。

 転化っていっても、もともと主人公だったみたいなつけ上がりなんかはないのだが……


 まぁ、昔は少しだけモテていたこともあったけれど……


 俺は思いっきり黒魔さんに告白してやった。

 だからあとは振られる時の言葉を聞いて、そのまま立ち去ろう—————


「いいわよ! 大吉さん! あなたとお付き合いするわ! だからさっそく—————」


 ん!? んんん!? んんんんん!?

 今彼女はなんといった?

 俺の聞き間違いだろうか?

 いや……そんなことはないと思うけど……

 いいわよ!? っていったか?

 

 それになんでそんな急に近づいてくる。

 

 えっ!? 

 やめて!?

 それ以上来られたらやばいよ!?



 チュッ!


 あらららら。

 されちゃったよ……いきなり……


「(ペロリ)美味しかったわ。これで契約成立ね。これからもよろしくね。こうすけくん」


 黒魔さんは俺に無理矢理か口づけをして、嗜虐的な笑みを向けてからその場を去っていった。


 ありゃりゃりゃ。起こっちゃったよ……

 ラブコメ展開……


 俺はこうして付き合いたいランキング、やりたいランキング堂々の1位の少女、黒魔叶と付き合うことになった。


 この時から俺の寿命がすごいスピードで削られていっていることなんかはいざ知らず……

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