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「問答無用! 今すぐぶっ殺す!」


 敏樹は俺達の拾い集めた木の枝を、バキバキと折り俺に放り投げた。


 まるで山中で熊に遭遇したみたいだ。

 こんな時は、死んだふりか?

 いや、目を合わせず後退りか?


「敏樹、落ち着いて。二人の交際はもう長いし、両想いなんだから、そんなこと別に構わないでしょう。本当に道に迷ったなら、捜さなかった私達の方が罪だよ。生存していたんだからいいでしょう。もしも死んでたり大怪我していたら、シャレにならなかったんだから。はい、敏樹。ホットドッグでも食べて機嫌を直しなさい」


 餌を与えられた猛獣は、フガフガと鼻を鳴らし、俺のホットドッグまで奪いガツガツとやけ食いをした。


 俺の隣でパクッとホットドッグに囓りつく礼奈。食べかけのホットドッグを俺にそっと差し出す。


 俺は差し出されたホットドッグに、パクッと囓りつく。間接キッス。


 俺達は交互にホットドッグに齧り付く。


 呆れているみんなの前で、ニマニマしながらイチャイチャする俺達。


 サイコーに幸せだなぁ。


 ◇


 一泊二日のキャンプ。

 夕方にはテントを畳み、車に荷物を詰め込んだ。辺りはすでに薄暗い。


 俺達は後部座席に乗り込む。敏樹の運転する車は夜の高速道路を走る。


 海に行った時も、このワゴン車だった。

 俺達は座席を倒してフラットにして、一夜を過ごした。


 礼奈の額にキスをしただけで、満たされていたピュアな俺達。ファーストキスは未経験だけど、気持ちは満たされている。


 後部座席で礼奈の手を握った。昨夜熟睡できなかった礼奈は、コトンと俺の肩に頭を凭れ眠っている。


 安心しきった可愛い寝顔。


 礼奈の頭にコトンと頭を傾けた。

 車に揺られながら、俺も瞼を閉じた。

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