104
【桐生君のショップに行くことになりました。】
ピコンと送信。
創ちゃんにLINEを送り、桐生君と一緒に電車で原宿に向かった。
深い意味なんてない。
ただ、新入荷のアクセサリーが見たかっただけ。
「ファッション雑誌VIAに掲載されてるアクセサリーも入荷したんだ。超可愛いんだよ」
「VIAに掲載されたの? きゃは、ドキドキしちゃう」
「だろ? 絶対に南に似合うと思う」
電車の中でもアクセサリーの話で盛り上がる私達。VIAに掲載された商品を見たらすぐに帰るつもりだった。
◇
―原宿―
桐生君の父親が経営するアクセサリーショップのシャッターは閉まっていた。
「あれ?」
「今日は定休日なんだ。裏口から入って」
「定休日なのに、悪いよ」
「いいの、いいの。俺が誘ったんだし。ショップのスペアキーなら持ってるから」
桐生君はショップの裏口のドアに鍵を差し込み私を招き入れた。照明のスイッチを入れると、いつも目にする店内だ。
「南、これがVIAに掲載されてる商品だよ」
桐生君が見せてくれたのは、K18にローズアメジストのついたリングと、ゴールドのチェーンリング。
「わあ、素敵。でも高そうだね」
「ちょっと高校生には高いかも。でもこっちは値段的にお手頃なんだよ」
桐生君はシルバーとターコイズカラーのビーズネックレスを、手に取って見せてくれた。
「雑誌に載るだけあるね。全部可愛い。桐生君、定休日なのに商品を見せてくれてありがとう。勝手にお店に入ってお父さんに叱られない?」
「平気だよ。それに雑誌に掲載された商品は、すぐに売れちゃうし。明日の夕方にはもう完売してるかもしれないしね」
「そうだよね。可愛いからわかる」
桐生君がピンクの可愛いケースを差し出した。
「これ、南に」
「私に?」
「昨日自分で買ったから大丈夫だよ」
ピンクのケースの中身は、この間創ちゃんと見たピンク色のストーンがついたシルバーのリングだった。
「それ、この前、気にいってたから」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます