【7】お姫様、危機一髪
先輩を傷付けた私は、恋のキューピッド失格です。
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【礼奈side】
「礼奈の彼氏、超カッコいいね。手を繋いだりして、見ててドキドキしちゃった」
女子更衣室で百合野はテンション上がりまくり、意味不明に私の背中をバンバン叩く。
私は大太鼓じゃないんだってば。
「痛いよ」
制服のブラウスを脱ぐと、百合野はすかさず私の胸に目を向けた。
「礼奈って、童顔だし身長は低いし痩せてるのにグラマーだよね。礼奈の彼氏もそのミスマッチなバストに夢中なのかな」
「やだな。百合野、変なこと言わないで。私と創ちゃんはそんなんじゃないから」
「またまた、嘘吐かなくていいよ。二年以上も付き合って、そんなんじゃないってどーなの?」
「だって本当に……私達はまだそんなんじゃないから」
「まじで? 彼氏は大学生だよね? ずっと我慢させてるの?」
「我慢って……。お兄ちゃんと彼は親友だし、お兄ちゃんが煩いから」
「やだ、礼奈のお兄ちゃんシスコンなの? 質が悪いな」
「確かに、お兄ちゃんは質が悪い」
「何もしなくても、ラブラブなんだね。バカップルだね」
「バカップルじゃないよ。創ちゃんは優しい人だから」
「ていうか、昨日、駅で遭遇したあと、山梨先輩ガックリしちゃって。見ていて可哀想だったよ。礼奈のこと本気だったみたい。礼奈も罪だね。あのラブレターは山梨先輩だったんじゃない?」
「まさか……」
「ヤバッ、時間時間、早くグラウンドに行かないと鈴木先輩に怒鳴られちゃう。先に行くね」
「ま、待ってよ、百合野」
私は慌ててジャージに着替えた。
グラウンドに行くと、すでに鈴木先輩は来ていてコートのライン引きをしていた。部員はランニングとストレッチを終え、シュートの練習をしている。
いつもなら百発百中と言えるくらい、的確なシュートを放つ山梨先輩が、今日は何故か決まらない。
「山梨先輩、どうしたのかな……」
驚いている私に、鈴木先輩が呆れたように言葉を発した。
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