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「生徒会長とか、サッカー部のキャプテンとか、去年は上級生にも告白されたよ」
はあ?
そんなこと、今まで一度も俺には言わなかっただろう。
「生徒会長とか、サッカー部のキャプテン? 女子の憧れの的じゃん。やっぱり年上だよね。仔猫ちゃんだから、年上にモテるんだね。礼奈ちゃんも年上好きだしね。高校生になったら大変だ。モテ期突入だよ」
「そんなことないよ。礼奈は子供っぽいから」
桐生は同級生だ。今言ったメンツに桐生は含まれてはいない。俺が知らない間に、礼奈が沢山の男から狙われていたなんて。
なんてことだ!
礼奈は俺の『彼女』だと、体じゅうに貼り紙をしたいくらいだ。
「創、うかうかしてらんねーな。狼の群れに可愛い仔猫を放り込むなんて。俺なら怖くてできねぇよ」
「いやん、怖くてできないなんて、良は狼より先に襲っちゃうくせにぃ」
良介と妃乃ちゃんがイチャイチャしながら、嫉妬に狂う俺をさらに煽る。
「礼奈がモテ期に突入しようが、他の男に告白されようが、そんなのカンケーないよ。それに俺は良とは違うし。なっ、礼奈」
「うん。違うし違うし」
礼奈はニコニコ笑いながら、俺に視線を向けた。
マジで……可愛い。
ヤバイな、これは本当にモテ期に突入するかも。
どうすれば、礼奈を狼の群れから守れるのか……。
今さら俺が高校生にはなれないし。毎日フローラ大学附属高校の周辺を彷徨いていたら、不審者扱いされて、警察に通報されかねない。
これは困った……。
◇
何の解決策も見つからないまま、礼奈は中学校を卒業し、花のJKになる希望に胸を躍らせ、楽しい楽しい春休みに突入した。
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