7
決めた!
絶対に、創ちゃんにキスしてもらう。
私のファーストキスの相手は創ちゃんしかいないんだよ。私のキスで創ちゃんを女の子に目覚めさせるんだ。
だから今日も『デートは何処に行く?』って聞かれて、迷わず『創ちゃんち』って答えた。
創ちゃんが一瞬困った顔をした。眉間に皺を寄せて全力で拒んだ。
創ちゃんちに行くことが、そんなにマズいのかな?
普通は『チャンス』って思うはずでしょう? 創ちゃんって、やっぱり変だよ。
私は今日創ちゃんの部屋に初めて行った。部屋の中は綺麗に片付いていて、淡いブルーのカーテンに、ベッドカバーもブルーだった。
部屋の中に青空が広がったみたいで、お日様みたいな創ちゃんの匂いがする。
でも創ちゃんは私に何もしてこない。
だから、私から勇気を出して抱き着いた。
私が顔を近付けても、創ちゃんは顔をそむけるんだ。『あっち向いてホイ』じゃないんだから。
思い切って、『キスってどんな味?』って聞いたのに、創ちゃんは慌てて私の手を振りほどいた。
……うそ。
……大ショック。
私って、そんなに魅力ないんだね。
『映画を観に行こう』って、手を出されて創ちゃんの手をそっと握った。
大きくて温かい手。
この手でギュッと抱きしめられたら、どんな感じなのかな?
創ちゃんは私を抱きしめてくれないの?
お兄ちゃんとはゲームしながら、あんなにじゃれ合って、ハイタッチしたりハグしたりしてるのに。
やっぱり、二人は怪しい関係なのかな。
私は創ちゃんの自転車の後に乗った。交際して、初めて乗せてもらったんだ。
創ちゃんに抱きつくチャンスだから、背後からギューッて力いっぱい抱き着いた。
気持ちいいね。創ちゃんの広い背中。
幸せな気分。思わず顔がニタニタと緩む。でも創ちゃんは平気な顔してる。
創ちゃん、自転車の二人乗りしてるのに嬉しくないの? 私はこんなにドキドキしているのに。
私達は自転車で最寄り駅まで行き、山手線で渋谷に行ったんだ。
二人で手を繋いで渋谷の駅を歩いた。
指を交互に絡ませて、初めて恋人繋ぎをした。鼓動が兎みたいにピョンピョン跳びはねた。
歩道橋を上ると、創ちゃんは繋いだ手を解いて、私の真後ろを歩いた。
――何でだろう?
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