第32話 星をつかめ!

 それから……目くるめく日々は過ぎて行き、前日の放課後。


「よっしゃーーー!!」


 隣にいた桜と雄たけびを上げ、ハイタッチ。ギリギリになってしまったが、映画は無事完成した。


 すると、○○○〇○○○(お楽しみ)の下準備を終えた三人が部室に戻ってくる。


「もう、外まで声聞こえてたんだけど」


 呆れたように衣装姿のランが、ため息をつく。


「でも、その様子じゃ全部終わったみたいだね」


「えっ、本当!?」


「早速見せてください!」


 星七のその言葉に一変して、二人は食い入るように目の前にあったパソコンに向かう。


「星七達の方は大丈夫か?」


「うん、なんとかね。生徒会長さんに場所の許可も貰って練習できたし、もうバッチリだよ」


 なれば、もう怖いものはない。


 パンパンと手を叩き、こちらに全員の目を向けさせた。


「遂に明日俺たちが、地球防衛部が、この学園の人間に理解してもらう日だ」


 ここまで色んな事があった。

 突然拉致されて、特撮という共通の趣味をきっかけに星人と友達になり、目的もよく分からない部活に入る事になった。

 それから星七も交えて、映画を作る為に、かつての同志とも衝突した。

 沢山の困難があったけどそれも、このメンバーで乗り越えてきたのだ。


「きっと、俺達なら世界だって変えられる」


 隊員全員が力強く頷き、映画を撮り始める前と同じ様に手を重ねていく。

 円になった隊員全員の表情を確認し、ランに繋いだ。


「ここまで、こんなワガママなアタシに着いてきてくれて本当にありがとう。でも、お疲れ様はまだ言わないわよ、それは明日の上映後にまでに取っておくんだから!」


「そうだな」


「そうだね」


「そうですね」


「イエス」


 全員の返事が重なり、そして――。


「目的はアタシ達の作った映画を見てもらい、星人を理解してもらう事! 地球防衛部――ミッションスタート!」


 ランの特撮ドラマに出てくるような決起によって勢いよく跳ねたその手は、なんにでも掴めるような気がした。

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