第4話 今日は助下荘で殴られました!…1
「そろそろ寝よっか」
時間を見て、桐山さんは俺に言った。
俺も時計を見るとどうやら12時を過ぎていた。
下宿先に引っ越してきて初日。
いきなり夜更かしをしてしまったらしい。
まあ、今までに生活と比べたらこんな時間はまだまだ元気な時間なんだけど。どっちかというと今から本番って感じ?
でも、俺はここで平和に暮らすんだ。夜更かしなんかしちゃダメなんだ。
「そうですね……」
桐山さんは普通に布団に入って行く。
「…………」
俺は……どこで寝ればいいんでしょうか?
布団が一つしかないため、別々に寝るという簡単なことができない。
俺は壁にもたれて寝たらいいのかな?
うん、普通に考えたらそうだよな。うん。
俺は壁にもたれる。視線の先には目を閉じた桐山さん。
どうやらもう眠ってしまったのかもしれない。
俺も静かに目を閉じた。
それにしても……、背中痛ってえな。落ち着いて寝ることさえできない。
でも……、仕方ないもんな。はあ、これから3年間この場所は俺のベッドと化すのか……。
よし、今のうちから慣れておこう。
「何してるの?」
「えっ?!」
何事かと思った。だって、突然誰かが話しかけてきたんだから。反射的に出た言葉だったため、変に声が裏返ってしまったかもしれない。
目を開け、声のした方を見ると、そこには顔だけをこちらに向けた桐山さんだった。
「あ、寝る前のトイレ行き忘れた?あ、そっか、場所わからなかったか。いいよ、ついて行ってあげる」
「はあ?あ、違います違います。トイレは行ってませんけど、トイレの位置ぐらい分かりますよ」
「じゃあどうしたの?早く布団入りなよ。なに?壁にもたれて寝たいの?硬くないの?腰とか痛くならないの?」
いや、なんでこうなってるのかわからないのかよ?!めっちゃ硬えし!これ3年間したらある意味めっちゃ丈夫な身体作られそうな気がするわ!
てか、今「早く布団入りなよ」って言った?
俺入っていいの?犯罪者扱いされない?
「え?俺、布団に入ってもいいんですか?」
「いや、この布団は私と君の共有するものだよ?使っていいに決まってるじゃん。なにを戸惑ってるの?」
「いや、それなら入らせていただきます。それでは……失礼します」
俺は布団に入る。
「ん。それじゃ、おやすみ」
「は、はい。おやすみなさい」
やばい……。余計寝れそうにない!
若干腕と腕が触れてるし、桐山さんの寝息を聞こえてくるし……。
ダメだ……。興奮しているのか?!そんなことしてはダメだ!
そんなことをすれば、翌日にでも追放されて野宿になってしまう!
それに、こんなしょうもないことで恋に落ちたりしてはいけないんだ。
あのトラウマが蘇ってくる。
俺は精神統一。
よし、落ち着いた。俺は隣の女性のことは考えずに目を閉じた。
目が覚めた。初めて見た天井だ。もしや、これって……、異世界?!なわけないか。
隣を見たが桐山さんの姿はなかった。
それにしても、俺は寝ている間桐山さんになにもしてないよな?大丈夫だよな?
時計を見たら9時過ぎだ。
そろそろ起きるか。
俺は部屋の扉を開ける。
すると、それとほぼ同じタイミングで俺から見て正面の扉がガチャリと開いた。
正面は……、なんだ宮本か。
まあ、一応挨拶ぐらいはしといたほうがいいよな。
「おはようございまぶっ!」
なんだろう……。
俺の頬に強烈な痛みがあるんだが。そして、どうやら倒れ込んでしまったみたいなんだが。
あれ?俺なんで殴られたの?!
今日も助下荘は平和です! タキ @ktakta0035
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。今日も助下荘は平和です!の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます