第2話 今日は助下荘で自己紹介です!

ようやく助下荘に招かれ、リビングに向かう管理人さんについて行く。その隣には美咲さんもいる。


リビングには数人いた。やはり、男性は見当たらず、女性が4人いた。管理人さんと美咲さんを含めると6人だ。


どうやら、助下荘には女しかいないというのは本当だったらしい。


見た感じではみんな高校生なのか、いや、1人はみんなと比べてもかなり小さい。中学生か、小学生か……。


「由美子ちゃんこいつだれー?」


そう言ったのは、畳に寝転びながらテレビを見ている白髪ロングの女性。言っちゃ悪いがものすごくだらしない。


「あ、この子これからここで住むことになった小宮城大空くんです。ちょっとした私のミスでそらくんを女の子と間違えちゃったの。ごめんね」


「いや、結構やばいんじゃない?ここには小春もいるしさ、その子の下宿はなかったことにしたら?」


おい、こいつ何言うかと思ったら、とんでもないこと言いやがったぞ。俺ここに住めなくなったら、これから野宿になっちゃうんじゃないのか。


てか、それ以前に、管理人さんとフレンドリーすぎじゃない?!ここの住人たちは。


それと小春さんって何者なんだ?!そんなにやばいやつなのか?!


「いや、でも引き受けてしまった以上はそんなことはできないんだよね」


ほんとすいません。全ては俺の母の責任です。いや、全部母親に任せた俺の責任でもあるか。


「でもさ、その子を入れたらここの住人は8人だよね?それなら、誰かがその子と一緒の部屋で、一緒の布団で寝なくちゃいけないってことだよね?それって大丈夫なの?」


ん?どういうことだ?俺が誰かと一緒の部屋?え、一人暮らしじゃないの?いや、それよりもやばいのが誰かと寝るってことだよね?いや、普通に俺犯罪者じゃん。


「安心して、責任を持って私がそらくんと寝るから」


えええええ???!!!俺、管理人さんと一緒に寝れる……じゃなくて寝るの?!


「いや、それが一番ダメでしょ!こんなやつすぐに手出したりするって絶対。そんな顔してるもん」


こいつさっきからなんなんだよ。喧嘩売ってんのか。一応俺中1の頃まで空手習ってだんだからな。


まぁ、ひとまず落ち着こう。相手を小さな子供だと思えばいい。見た目は完全に年上って感じするけど。うん、こいつは子供だ子供だ子供だ……。


「そう?まあ、ひとまず新しい子が入って来たということだから、自己紹介とかする?そらくんお願いできる?」


「は、はい。え……これからここで住むことになりました、小宮城大空です。この春から春澤高校に入学することになります。よろしくお願いします」


うん。文句ない自己紹介だ。無駄話をするわけでもなく、簡単なことをだけを紹介する。


「やっぱり私の後輩かよ。まあ、こ家に住んでるのはみんな春澤だからな。私の後輩なんだったら、こき使ってやるよ。私は宮村みやむら 沙月さつきだ。よろしくな」


「は、はい。よろしくお願いします」


俺は心に決めた。将来こういう人間には絶対にならないと。てか、誰がお前なんかについていくか!


「次は私だ。私は白崎しろさき 花林かりんだ。よう後輩!よろしくな!」


宮村の後に自己紹介をしたのは、この中でダントツに一番小さい子だ。髪型は金髪ショートカット。


あ、悪いが頭の中で宮村なんかに『さん』とかをつける気は一ミリもないことを先に言っておく。


「はい、よろしくお願いします。白崎さんはしょっ、高校何年生ですか?」


危ない危ない。身長だけを見ていたら小学何年生か聞こうとしてしまった。身長だけでは高校生とは全くいえないが、もし高校生だった場合、または彼女が身長のことを気にしていた場合、俺は彼女と一生仲良くなれる気がしない。ここは保険を持って高校生から聞くことにした。


「えっ!まじで?!私高校生に見える?!私実は中学三年生なんだー!いや、高校生に間違えられたのは初めてだよ。めっちゃ嬉しいな。お前とは仲良くなれそうだから、花林って呼ぶことを許可してやるよ。それに私は後輩って呼んでやるよ」


「うん、よろしくね、花林ちゃん」


よし、高校生から聞いたことは吉だったな。でも言わせて欲しい。小学校高学年もしくは中1ぐらいにしか見えない。


それにしても、花林ちゃんは純粋そうな子だなぁ。これからも仲良くなれそうな気がする。『花林ちゃん』って呼んでもニコッてしてくれたし。


「次は私だね。私は長谷川はせがわ 愛海まなみ。私もこの春からここに来ることになったから知らないことばかりでさ。まあ、これからよろしくね」


「うん、よろしく、長谷川さん」


「もー、愛海でいいよ。何も知らないもの同士仲良くしようよ。ね?よろしく、そら」


「ああ、よろしく愛海」


うん、愛海も普通に仲良くなれそうだな。めちゃくちゃ明るい感じで美咲さんみたいなかんじかな。髪型は茶髪のロング、毛先がくるくるしている。


てか、はじめの宮村がクソみたいな人間なだけで、他の人たちはみんないい人そうだ。よかった。


「あ、それと、そこで本を読んでるのが桐山きりやま 菜月なつきちゃんね。菜月ちゃんもそらちゃんと同じ高校一年だよ。まあ、菜月ちゃんは中学生の頃からここにいるから、ここではかなりのベテランだけどね」


管理人さんが説明してくれたので、その子の方を見ると、そこには黒髪でセミロングヘアの女性が静かに本を読んでいた。ブックカバーをしているので中身までは見えないが。


彼女は管理人さんの声に反応した後、俺と目が合い、小さく会釈をした。


なるほど……。マイペースって感じの子かな。でも、読書が趣味なのかな。俺も一応本は好きだから、もしかしたら仲良くなれるかもしれない。あ、俺読むのはラノベ専門だったわ。


ないな。こんな子がラノベを読むとは思えないし。


「それと、私は助下じょしだ 由美子ゆみこ。ここの管理人をやってます。まあ、こうなってしまっては仕方がないですからね、これからよろしくお願いします」


「はい、よろしくお願いします」


管理人さんは桃色の髪をしていて、ロングだ。


それに、なんといってもおっぱいがでかい。


「それと、もう1人いるんですが、今は少し外出中でして」


「はい、その方はまた会ったときにでも」


話を聞いている限り、残りは小春さんという女性だ。それに、その人は色々とやばいらしい。全くわからないが。


「いや、それはやめといたほうがいいな。小春に会って得なことがお前には何一つねえし」


横から口を挟む宮村。うるせえな、黙ってろ。


俺は宮村からの話は無視して話す。


「で、僕はどこに荷物を置けばいいんでしょうか?」


荷物は部屋の端に置かせてもらったのだが、流石にそろそろ部屋へ案内してほしい。


「あ、そのことなんだけど……、誰がそらちゃんと一緒の部屋にするか……。どうしよっか」


「それなら、なんかのゲームして、負けた人がそらくんと同じ部屋ってのはどう?久しぶりにトランプでもする?」


美咲さんはそう言って、テレビの下の棚を漁る。そして、少し経った後、こちらを向いた。どうやらトランプは見つかったようだ。


「まあ、たまにはトランプも悪くはないな。私もちょっとやりたくなってきたし」


宮村もテンションを上げながら言う。頼むからお前だけは勝ってくれ。お前が負けたら、俺は一生地獄のような生活になる気しかしないんだ。頼む、勝ってくれ。


こうして、俺を巡って(全員が嫌がっていると思うが)トランプが始まろうとしていた。

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