第3話 ゆかりちゃん
それから2週間程経った日、きみちゃんは休み時間が来るといつものようにまこちゃんの席へ向かった。昨日見たテレビや話題のアイドルの話をしていると、同じクラスのゆかりちゃんが2人の会話に加わってきた。
「まこときみ、何の話をしているの?」
「昨日のテレビの話をしていたよ。相馬君かっこいいよね。ねえまこちゃん。」
「そうそう。めっちゃかっこよかったよね。ゆかりちゃんは昨日のテレビ見た?」
「うん見たよ。私相馬君の大ファンなんだよね。私のお姉ちゃんが大好きで、つられて好きになっちゃったんだ。」
「ほんとう?私知らなかった。一番人気って訳じゃないし、話できるのはきみちゃんだけだと思ってたよ。ねえきみちゃん。」
「そうだよね。相馬君のファンだなんて、ゆかりちゃん見る目あるよね。」
どうやら3人の仲は好きなアイドルの話で深まったようだった。ゆかりは2人とは同じクラスではあったが、属しているグループが違っていたため、今までさほど話す機会はなかった。彼女はクラスの中心的な存在で、仲の良い他クラスの友達も多いほど社交的で明るい性格をしていた。
それから後、3人で話す機会は以前よりも多くなった。大抵は好きなアイドルの話であったが、打ち解けるうちに様々な話もするようになった。きみちゃんは、まこちゃんと過ごす時間にゆかりちゃんが加わったことへの違和感を最初こそ抱いたものの、きっとそれは日を重ねるごとに次第に薄れていくようなものだろうと思っていた。
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