第23話
俺の前世の名
俺はこの苗字でいじめられていた。よくあるアダ名いじめだ。
オカマ
そう言われたんだ。そこでキレなければよかった。けど当時の俺はそこまでできたガキでも無かった。それからいじめは激化し、今度はよくキレる奴っていう称号を貰ったわけだ。
中学までそれは続き何度も教師を利用して潰していった。高校では上手く立ち回ってはいたがやはりいじめの成り掛けを見るのは嫌だったから生徒指導にバレないように話しながら辞めさせた。
そして就職してから年代ハラスメントに晒されてやる気を失った。いわゆるプチ鬱だな。
転生してからもそうだった。何をやるにしてもやる気が起きなかった。社会貢献、そんな意味を持って仕事に勉強していくのは馬鹿らしく思えていた。
よく言うだろ、学校は社会の縮図って社会が腐れば学校も腐る。いじめを無くせと政府は言えども社会が腐っては学校も腐ったまま。俺の家庭教師になっていた人物もその点は理解していた。彼は選民思想こそ持っていなかったが変えることのできない巨大な組織を変えようと努力してどこか諦めとも野心とも違う歪みを持っていた。
だから俺は逃げてサボった。元よりサボりたかったのもあるがそれ以上に人と関わるのが嫌だった最低限度の付き合いの方が非常に良かったのだ。
けれども今回の社交界の件は自分でもわからない。上手くやると決めていたのに相手を煽ってしまった。自分でもわからなかった無意識だったと思う。人を信じたかったのだろうか、それとも肉体に精神が引っ張られたのだろうか、いずれにしろ自分の深層意識が望んだことなんだろう。
・そう、アナタが優しいココロがあったからやったのよ・
そう問いかけてくるのはあの象と同じことをするふわふわと浮いている白い塊だった。
・アナタはまだヒトのココロをちゃんと持っている。だがら、アナタの周りには優しいヒトが集まる。そしてまだアナタは生きていられるわ・
まるでそだててきたこどものようにやさしくてどこかむず痒いあたたかなことばだった。
むかしのじぶんのじょうけいがみえてくる
それは親につれてってもらった藪屋根の古民家、そこでじっと薪をくべているじぶんがいた。
・・私たちが見えてないのにずっと魅てくれた・・
その声の主は工房でも感じてはいた小さな奴らだ。そう炎精霊
・・さあ、いっしよに行こう!・・
現世への扉が自分を待っている
「【我 求 発を】」
「・・【イグニッション】・・」
それが初めての魔力、キッカケ魔法。
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