第22話

「随分と修羅場を潜ってきた人相になりましたね。」


「私も使うのは久しぶりだがこの漲るような氣を感じるのは変わらないようだね。」


人型になった霊象は自分がこの姿でどのようなことができるのかを手を握り足で土を掴み感触を確かめていきながらスーーーっと息を吸いゆっくりと吐き出していく。


「ふむ、この状態でも彼を救う分には問題なさそうだ。それでは彼の住む人里に向かおうか。」


「はい、私が案内致しますのでくれぐれも離れぬように。」


そう言いすぐそこの王都の南門に歩き出る。


「すみませんがここを通してもらってもよろしいでしょうか。」


「あんたら身分証は?」


「すみませんがこれを渡すようにと預かっているものです。」


そういいアルティマはハンカチを差し出す。

門番の兵士はそれを見るや否や


「コイツは王家の紋章、アンタこれをどこで。」


「第9王子からいただいたものです。私達は彼に恩があります。治せる方法も知っています、どうか王城にお通しお願いいただけないでしょうか?」


「私も彼、アレンにはとても世話になった。故に彼を救いたい。」


アルティマは懇願するように言い、霊象もそれに続く。霊象の鬼気迫るような気迫と事の重大さを知っていた兵士はすぐに対応した。


「わかったすぐに王城に連絡する。アンタはもう一人兵士を出すからそれについてってくれ。」


そして王城に向かう。

そこには公爵令嬢とアレンの母、第3王妃のサンタナ妃がおりアレンのことを心配そうに見つめていた。


「あのアナタ達は…」


アレンの輸血の繋がったままなんとか医者と水魔法使いと風魔法使いが延命措置を行うように無い腕から血流を無理矢理循環させ二酸化炭素と酸素を交換していた。


「一刻を争います。医師の皆様私達は召喚者の医療術を会得して要るものです。霊象さん。」


医師達はその言葉とともに彼らの言うことが正しいと何故か理解させられた。最もこれはアルティマが使った平行線操作によるものだが


「うん、彼の片腕は。」


「ここに凍結してあります。」


「それなら十分間に合う。」


アレンの腕の延命魔法を全て外し元の腕を擦り合わせる。

霊象はそれを見届けると心臓マッサージと全く同じ型をとり


「喝ッツーーーーーーーーーーーーーーー!!」


「ゴホッゴホッ。」


一振りで息を吹き替えさせたかと思えば瞬時に中指を突き出すとあらゆるツボを押し始め筋肉が躍動していき腕が繋がった。


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