第24話
「.........アレン、アレン」
暗闇の中叫ぶ声がする。
「うぅぅ」
かすかな光を求めて目を開けると
「アレン、大丈夫か!」
眼前に現在の父である国王陛下の顔があった。
「うわぁ!!」
思わずびっくりして声を上げた。何故なら顔面に大量の髭を生やした親父がいるのだから普段見慣れていない人間は思わず驚く。
「おいおいアレンそれは傷つくぞ。けれどもやっと子供らしい一面を見せたな。」
国王陛下はしてやったりという感じでアレンに向かいニカッと笑う。
そして国王ともう一人の人物を見るとその姿形が世紀末に出てくる主人公を救う的な立場っぽい感じの人だった。
彼はこちらがそちらに注意を向けたのを感じると俺に向かった話し出した。
「ふむ、状態はよさそうだね。」
「貴方は……まさかこの雰囲気、それにその声は…」
つい2日目前に会った象の念話と独特の長老感な雰囲気から彼の正体を察する。
「ご察しの通り私は彼女の夫だよ。妻が私が来るまで何とか引きとどめてくれたおかげで間に合って本当に良かった。」
「やはりあれは夢じゃなかったのか。」
俺が垣間見たあの夢のような時間は本物の会話だった。
「本当に良かった……」
国王は涙を流していた。表情こそ変えていないが顔を砕けそうになるのを心底我慢しているのがよくわかる。それほどまでに俺が倒れたことがとても心配だったんだろう。一昔前で語られるような父としての威厳も感じられた。
「父さん、そこで思いっきり泣かないと国民に申し訳ないよ。今も仕事を返上してきてくれたんでしょう。だったら思いっきり家族にならきゃ。」
「う、うわ゛~ん!」
公私分別という言葉は国王には存在しない。基本は公私混同の国民の見本だ。
しかし、野心を持ち国の発展ばかり考えて家族のコミュニケーションにまで響く国王と家族のコミュニケーションの暖かさが仕事に現れる国王、どちらが国民にとっていいだろうか。
それは永久不滅の命題かもしれない。
だが国民の見本、家族の在り方で見れば後者の方がいい気がする。
俺は子どもとして親父を慰める。
一通り慰め終えると今度は国王としての顔で話し始めた。
「お主が倒れてから第一王子、お前の兄は文字通り国家転覆罪で投獄した。私もあれからいろいろ調べたがどうやらある貴族の野心に利用されていたことが分かった。何とか第3王子も洗脳されていることが分かったので二人とも再教育を行う予定だ。今回の一軒、アレンが一番かかわっている、お前に決めてもらいたい。」
人を裁く、俺が最も苦手としながらやってきた行為。異世界で初めて裁くのが兄弟とは、皮肉なもんだ。
「そうですね、二人とも拷問官を使って教育するくらいの威勢で行わなければできないでしょう。第一王子の兄上としか会ったことはありませんがアレは相当なショックを与えないと治らないでしょう。それは陛下に一任します。それと私の家庭教師は大丈夫でしたが少し話を聞かせてあげてください。もしかしたら兄上たちの良い材料になるかもしれません。」
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