第2話

アレから6年くらいは経っただろうか。何もしてないのに歩けるようになった。


「アレンは成長するのが早いわね。私達が寝ている間に練習してたのかしら。」


俺は異世界での名前はアレンと名付けられた。今は勉強をさぼりにサボってスキルで覚えたピアノを披露している。どうやら俺の生まれた家庭は貴族ではなく王族だったらしく逃げ出すのも厳重な警備の元に勉強をさせられそうになるため俺の逃げのスキルはもはやトップクラスの人間だろう。今では近衛騎士、王族が雇っているであろう裏の部隊の人間の気配に気づき逃げられるようになった。


ちなみに俺は第9王子にあたるらしく母である彼女は第三妃で隣国からの政略結婚だそうだ。なんでも辺境伯の娘だそうだ。父とはそこまで歳が離れておらず。どちらも30代といった感じだった。


二人はよく逃げ出す俺にため息をつきながらも無事に帰ってくるためもう怒ることすら諦められた。それでも母の方は溺愛に近いものを感じるため、ヒモになれそうな予感がした。


「もう少し経ったら、儀式を終えた後にでも王太子の長男の誕生パーティーでお披露目するつもりだ。君との初めてできた子供だしな。」

「そうねえ、こんなにサボっているのに覚えるのは早いし今までできなかったのにできたの自体が不思議だけど。私たちの子供ですものね。」

「そうだが私自身、心配なところでもある。アレンは何でもできるがそれはアレン自身の意志ではない。それが他の子どもたちが良く思わないのではないかとな。」

「私はアレンはやらされるということがとても嫌いなようにみえるし、アレン自身のんびり過ごしたいんだと思う。」

「ふむ、そう考えるとアレンは最も国王に近しいものになるのかな。」

「あらどうして?」


国王は顔に笑みを浮かべるといたずらっ子のように母に言った。


「私が国王になりたくもなかったのに仕事ができるという理由で国王にさせられたからだ。」

「あら、現国王陛下は後悔しておいでで?」

「そんなわけないだろう。」


俺はピアノの演奏を終えた。と同時に惚気ていた二人を横目にため息をついた。


「ねえ、もうめんどくさいから外に行っていい?」

「はあ、こんなに弾けるのにみんなに披露したくないの?」

「めんどくさい。それより遊びたい。」


こんな感じでマイペースに生きていた。


「もう、それじゃあ何ならお披露目してくれるの?」

「何にもやりたくない。お披露目なんてめんどうなだけ。美味しいものは食べたいけど。」

「しかし、アレンは何でもできるのに自慢しようとしないな。今日も俺が個人で来るから来ただけだしな。みんながいるって聞くとすぐ逃げる。」

「めんどくさいじゃん。それにのんびりしたいし難しいことはあんまり考えたくない。」

「それでも人の役に立てたりすることがるかもしれないじゃない。」

「そうだねアレン、試しに舞踏会に出てみないかい。」

「やだ。」

「どうして?」


そんなもん仕事が増えるからである。できることが増えるイコール仕事が増えるブラックになっていく。この王のような考え方の人間は社会に結構いるが俺の考え方は違う仕事増えるとは喜ばしいことではないのだ。


「だってめんどくさいもん。じゃあもう行くから。」

「アレン待ちなさい。」

「やだ、習い事なんてしたくない。」


仕事は増やしたくない、資本主義の考え方は俺には合っていない。サボると同時にやっていたあることをしに城を出ていった。


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