七夕の織姫さま

織姫「新婚当初、あたくしたちはいつでもどこでも身も心も結ばれていましたの。

 本当にTPOなんてオールスルーでお盛んでしたわ。もう乾く暇もないくらい。


 とうとうあたくしたちに嫉妬した連中から言いがかりをつけられて天の川のこちらとあちらに引き裂かれてしまったのですけど、あんなに性欲の塊だった夫が一年間もあたくしがいないところで耐えられるとは思えませんわ。


 絶対に夫は浮気しているはず……間違いありませんことよ。


 でも一年に一度、目を血走らせて会いに来て腰を振りまくっている夫にそのことを糺しても

『浮気なんかしていない。第一、天の川の向こうに女なんかいない』

の一点張りですの。


 そして、やっとあたくし、真相に思い至ってしまいましたのよ。


 そうなんですの、夫は牛飼い……あたくしピンときましてよ!


 夫の服にはいつも牛の毛がついていて……おお、なんて汚らわしい……きっとあのケダモノと、ケダモノのような行為をしているに決まっていますわ!


 だって夫は穴なしでは生きていけないどスケベですもの!


 だけど、このあたくしは……そんな夫を拒めない……そんなさがの女。

 ああ、我が身が呪わしい……。


 こんなあたくしを、夫は今夜めちゃくちゃにするのですわ……考えただけでもう、あたくし……あたくしは…… 」



牽牛「性欲強いのは認めるけどさ、なんかひどくないかいマイハニー?」



    ――終劇。

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