オムニバスの時間ですよ

mico

数学的異能バトルの時間ですよ

「"写像"」

乾いた声が森に響く。刹那、身体が元居た場所を線が貫いて行く。

「なるほど。流石にこの程度ならば読み切れるようになったか。」

男の声は、どこか笑っていた。『この程度でやられてくれるなよ』と、心の奥底にささやいてくる。


「ならこれはどうだい?"全射"」

男の手から何本もの線が放射状に伸び‪—‬‪—‬‪—‬突如、向きをこちらに変えて飛んできた。

これを避けることは不可能。幅を持った線の集まりは

「"線型変換"」

右に逸れた。いや、俺が右に逸らした。

「今度はこちらから行かせてもらうぞ、"全射"!」

何も写像が使えるのはアイツだけじゃない。俺でもこの程度のスキルなら使える!

「へぇ、やるじゃん。だが無意味だ。"{ }"」

と、男が無を喋った途端。

俺の写像達は全てその間に吸い込まれた。


「……何をした?」

「簡単なことさ。お前の"全射"を"空写像"に変換して俺の"{ }"に吸収させた。楽しませてもらうぞ、"位相空間"!」

‪—‬‪—‬マズイ、それだけは!

「クソッ!"R^3"!」

こちらも空間を展開するしかない!が、出遅れたっ……!


徐々に位相空間がユークリッド空間を蝕んでいく……!

「言ってなかったか?俺の専門は微分位相幾何学だ。お前のユークリッド空間じゃあ、太刀打ちできない。」

なら、こっちも専門で戦うしかない!

「………"原始根"」

空間を根で固定する。それだけの、守りの一手。

「俺の専門分野は数論だ。行くぞ、"クリティカル・ライン"!」

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