短パンと青春


*登場人物

委員長・・JK。清濁を併せ呑みすぎ。

男子・・DK。体格・才能に恵まれつつも万事にやる気がない。


*場・・とある高校。クラス対抗戦中の誰もいない教室(他の生徒は屋外の熱戦に夢中)


*以下本文 


SE:教室に響いてくる歓声、ボールなどの音。ばんと教室の机を叩く音。


委員長「あんたね、いい加減にしてよ? その図体は飾りなの? あんたのせいでうちのクラス敗けかかってるのよ?! ここ一番ってとこをあんたに任せたのに!」


男子「うるせーなあ。俺そーゆーの頼んでないしぃ。やる気満々のやつってほんとダッセーって感じぃ。俺応援要員でいいですぅ」


委員長「あんたもクラスの一員でしょ? ふざけんじゃないよ!」


男子 「(あくびしながら)だって勝たなきゃっていう目的自体、俺には無意味だしぃ」


委員長「最低!」


男子「おまえにどう思われよーと、ほんっとどーでもいい」


委員長「だったら……これを見てもそんなこと言っていられるかしら?」


男子「あ、女子の短パン? そういう布きれに興味はねーよ」


委員長「そう言っていられるのも今のうちよ。この『布きれ』はね、ついさっきまでマユコが穿いてたの。まだ温かいわ」


男子「な……何ぃっ!」


委員長「知ってるわよぉ? あんたマユコ好きなんでしょ」


SE:ゴムの伸縮するミョ~ンミョ~ンという音をランダムなテンポでしばらく続ける


委員長「……マユコ、さっき気分悪いって言って早退したけどさ……実はマユコって今日二日目なのよねー(ちょっと嗅いで見せて)すっごく芳醇なアロマ……マユコソムリエの私も興奮しちゃう」


男子「(徐々にはぁはぁする)」


委員長「まあ、せっかくのクラスマッチだし? あんたの出方によっては、この短パン貸してあげてもいいかなー」


男子「(なけなしの理性で)お、おまえ……マユコちゃんの親友だろ? 親友を売ろうってーのかよ!」


委員長「(ふざけた感じの棒読みで)そうだね、こういうのよくないよね。じゃあ売るのやめようかな」


男子「(即座に)いえ、売ってください、お願いします」


委員長「(柄悪く凄んで)だったら余計なこと言ってんじゃねーよ」


男子「はい……」


委員長「(冷たく)わかればいいのよ」


男子「(気弱そうに)あのー、委員長さん……貸してくださるっていうと、どのような使用目的をご想定でしょうか?」


委員長「被ったり嗅ぐくらいならアリかなって」


男子「……委員長さん……あの、舐めるっていうのは……ありでしょうか?」


委員長「ふん、とんだ変態ね。まあ、舐めようがちゅーちゅー吸おうが、あんたの思いのままよ。私が目をつぶってさえいればね」


男子「おお……」


委員長「さあどうするの?」


男子「……これから、3点入れます」


委員長「何ですって? もっと大きな声で!」


男子「3点、いえ、5点入れます! この俺が!」


委員長「(ぱん、と手を叩いて)はい、取引成立」


男子「(縋るように)5点入れたら、マユコちゃんの短パンは、ちゃんと貸してくださるんですよね? 約束してくださるんですよね?」


委員長「くどい! 委員長に二言はないわ。さあ、匂いの抜けきらないうちに、やることやってよね。早くしないと(ちょっとスーハ―してみせて)マユコの甘い蜜の香り、消えちゃうわよ」


男子「本気出します!! あんな幼稚園児のお遊戯みたいな試合、五分でカタをつけます!」


委員長「(戦闘ロボアニメの司令官風に)よしっ! 行けっ!!」


男子「はいっ!」


SE:バサッと上に羽織っていたジャージを脱ぎ捨てる音、勇士を迎える歓声


      ――終劇

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