ケンタッキー・フライド・チキンのオリジナルチキンセット

自粛だ 自粛だ 言われる宵は 家でチキンの お祭りだ


上司の指示により飲み歩きを禁じられ、途方に暮れて帰途に就く。

白いおじさん微笑むを見て今宵のぜいを覚悟する。


ちゃぶ台の上に箱を置き、セットのレモネードソーダを一気に飲み干す。

コールスローにフォークを刺し、ウィスキーソーダを作る。

聖剣を引き抜き、サラダを空け、ジョッキを空ける。


ウィスキーソーダをもう一つ作り、いよいよ本丸に挑む。


先鋒のポテトとビスケットを相手にする。

しっかりとした太さを持つフレンチ・フライはそれだけで酒を進める。

その間隙をシロップの甘みを友にしたビスケットが襲う。

熾烈しれつな争いはジョッキを襲い、重なる奇襲は私をたのしませる。


ここに、骨なしチキンの重騎兵突撃が襲う。

ウィスキーソーダを干す。

ウィスキーソーダを作る。

スパイスのいななきが皮に勢いを与える。

それでも、これは本隊ではない。

身構える。

待ち構える。

ウィスキーソーダをあおり、体勢を立て直す。


ここを、天下無双の槍が突く。

ケンタのチキンが腹を突く。


しゃぶる、ねぶる、食む、あおる。

小骨を噛分け、旨味の猛攻を迎え受ける。

初めは処女の如く、後は脱兎だっとのごとし。


手をき、口をぬぐい、こうべれる。

祭りの後のもの悲しさもまた、今は至福であった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る