サクラ砂漠で逢いましょう
雨矢れいや
序
人の命は短い。
生まれて、生きて、死んでいく。
まるで桜の花のように。
桜の花は儚い。
芽吹いて、咲いて、散ってゆく。
まるで人の命のように。
それでも懸命に、美しく生きて、咲いている。
私にできるのは、そんな『花』たちを見守ること。見守り続けること。
ううん、正確には「私たち」だね。
人に魅せられ、行ってしまった私の片割れ。あの中で楽しく過ごしている、私の血族(きょうだい)。
花びらが舞い上がる。白いワンピースをたなびかせるサクラの後ろを。
見渡す限りの一面に広がる桜色の枯れない花弁と見上げるほどに大きな樹の周りを、くるくる踊り歌うサクラの後ろを。
そして、その樹でひときわ小さな花が一輪、散り始めた。
「ごめんね、ソウタくん。もう、時間だよ」
サクラ砂漠で逢いましょう 雨矢れいや @RainArr0w
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