第2章 『洞窟の比喩』

肯定

 テツガクちゃん、哲学者プラトンさんの『洞窟の比喩』という考えを知ってる?



テツガクちゃん

 いえ、知りませんね。

 どういう考えなんですか?



肯定

 僕が聞いた『洞窟の比喩』は、洞窟にいる囚われた人の話なんだ。


 彼は鎖で縛られ、洞窟の壁だけを見ている。

 その壁には外の様子が影として映り、外の音も彼へ届く。

 それらの情報から彼は『洞窟の外には誰かがいる』と思う。

 

 しかし、実際は彼以外に誰もいないかもしれない。

 なぜなら、彼が人だと思った影は木の枝だったり、声のよう感じたのは風の音かもしれない。

 そして、私達が見ているものも彼と同じ何かの影なのかもしれない……。

 

 という話でね。



 ※詳しいことは是非調べてください。

 きっと面白い出会いがあると思います!



テツガクちゃん

 私達が普段見ているものも、洞窟の影のようなものかもしれない、ということですか?

 衝撃的な考えですね!


 あれ、でもこれ何かに似てますね。

 この衝撃的な展開、何かの映画で……。


 あっ、『猿の惑星』ですよ!


 宇宙飛行士の主人公達が辿り着いた惑星。

 そこは荒廃した惑星で、猿が支配する世界。

 きっと、ここは宇宙のどこかにある別の惑星、と思っていましたが、ここが地球という結末。


 ここでの影は『荒廃した惑星』と『惑星を支配する猿』という情報で、そこから『ここは地球ではない』と思い地球へ帰ろうとしますが、ここが地球だった。

 

 洞窟の外に誰かいると思い、外に出た囚われの人と映画の主人公の気持ちはきっと同じですよね!

 「嘘だ、嘘だ、そんなの嘘だ。そんなことあるもんか! 嘘だあああ!」と叫んだ『スター・ウォーズ』のルークの様に。



肯定

 テツガクちゃん鋭い!

 『洞窟の比喩』の話から『猿の惑星』を繋げるなんて!

 

 たしかに同じ気持ちかも。

 洞窟(惑星)の外に出れば、違う世界(地球)があるはず! と思い、出てみたら何もなかった。

 

 もし、『猿の惑星』が『洞窟の比喩』の話を応用していたとすれば、凄く上手い応用だよね。

 あの結末の衝撃は凄かったから。



テツガクちゃん

 そうですね。とてもよく応用できていますよね!

 

 肯定さん、この『洞窟の比喩』の話を『肯定テツガク』的に捉えると、どうなりますか?

 もしかして、さっきのルーク同様に「嘘だあああ!」という衝撃的な結末ですか?

 『私達が信じていた真実は真実の影に過ぎない』という。



肯定

 そう考えてもいいよね。

 

 だけど、そうだね。僕なら『この世界は知らないことが常に増え続けている』と考えるかな。

 

 仮にこの世界が『仮想現実』だとしても、その世界について知っていることは何もない。

 そのことを理解できてくれば、今度は全く別の世界が見えてくるでしょう。

 そんな感じで、『常に果てがなく続く旅』という感じですかね。


 仮に『洞窟の比喩』のように、真実の影しか見えていなかったとしても、それに気づけば影の主を突き止められる。

 そうすれば、見える別の世界がきっとあるでしょう。


 どんな時でも、『存在と同時に存在しない』と考えれば、対応できるはずです。





それでは、また次の機会にお会いしましょう。


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