第225章 秘密結社は脆くも崩れ、一方で当たり前は当たり前のままに

 混乱の中、脆くも崩れる秘密結社の秩序があり。

 その一方で、変わらずに在り続ける当たり前もあり。

 私達はその中間と狭間の間、その間柄にある深い縁。

 その深縁を覗けば、ドン・キホーテが見た景色が見えるのかもしれません。






肯定

 目に見えない何か。

 それが、秘密結社『syakai』を混乱させていくよ。


 今まで、世界の全てのように振舞ってきた。

 あの『syakai』が説いた、現実という幻想。


 その幻想の物語。

 それを信じる僕達は、ドン・キホーテを笑う、ドン・キホーテの影。


 そのまま、この混乱の中。

 世界の全てだったはずの『syakai』は脆くも崩れていく。


 だけど、その一方で。

 変わらないものもあるね。



テツガクちゃん

 ありますね。

 この状況下でも変わらない。

 そんな当たり前が、当たり前のままに在り続ける。

 

 普段は気づかず、忘れがちで、あまり重要ではない気がした当たり前。


 『syakai』がどうなろうとSIK

 知らねぇー、意味ねぇー、興味ねぇー。


 そう謳いながら、やっぱり私達は。

 お腹がすき、喉は渇き、眠くもなります。

 それから、何かしたくなり、不安だけど、どうにかなる気もします。


 変わっていく目の前の状況。

 その景色の中で脆く崩れていくもの。

 その中でも変わらずに在り続けるもの。


 私達はそういう様々な間にいますね。

 


肯定

 そうだね、間に挟まれているね。


 現実っぽく見える偽りと幻想のように思える事実の間だったり。

 それから、今、この瞬間。

 過去と未来、その中間と狭間の間にいる、現在だったり。


 本当にその形は様々で『唯一無二』だよ。

 一つのように見えて、一つとは限らない。


 そんな中間色の道の上では。

 現実のふりをした偽り、幻想のような事実。

 そのどちらも大切だけど。

 それを忘れて、気づけなくなっていく。

 

 それも当たり前で。



テツガクちゃん

 当たり前ですね。

 そのまま、当たり前のまま、我がままに。

 

 これまでの秩序を崩す、この混乱の中から。

 その混乱をも壊す、新たな秩序が生まれて。


 それが立派に成長すれば。

 きっと、また秘密結社『syakai』が世界の全てになるのでしょう。

 天動説から地動説に変わった時のように。


 どんな場所でも。

 変わらずに在り続ける、当たり前を忘れて。

 限られた場所にしかない、誰かが作った秩序の虜になる。

 

 それは、唐よりも昔から変わりません。

 聖徳太子だった誰かが残した大罪かもしれません。


 あなたはどうですか?

 秩序を壊す混乱の中に。

 その混乱をも壊そうとする、新たな秩序。


 そんなメビウスの輪のようでロックンロールのような間。

 そういう間が見えますか?

 表と裏を繋ぐ、特異点のような間の間柄。

 深い縁とも呼ばれる当たり前です。


 その当たり前を忘れずに覗き続けられたら……。

 深い縁の底にいる、ドン・キホーテと同じ景色を共に覗けるのかもしれません。




 

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それでは、また次の機会にお会いしましょう。



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