第228章 平和ボケという謳う、その瞳には
『平和ボケ』と謳う鳥がいる。
きっと、高い空から砂の銀河を見ているから。
地上にある平和という星も見えるのだろう。
平和を知っているのは、あの鳥だけ。
肯定
事あるごとに『平和ボケ』と謳う。
そんな鳥がいる。
きっと、あの鳥達は高い空から、砂の銀河を見ているのだろう。
だから、地上の星星が見えるのだろう。
平和という星も。
だけど、僕の窓にその星は映らないよ。
ワガママ・クイーンにはどう映るのかな?
テツガクちゃん
そうですね……。
私にもそんな星は映りません。
我がままですからね。
平和なんて幻想。
それは、見えないのかもしれません。
肯定
同じ似た者同士、『Mr.ジョーンズ』だね。
戦争をしていなければ、平和だと言うのなら。
たしかに、そうなのかもしれない。
だけど、それが、本当に平和なのか。
そう訊かれたら疑問符にとり憑かれる。
平和という幻想をはかる重さ。
それが、戦争だけなんて……本当だろうか?
テツガクちゃん
本当でしょうか?
人にとって戦争は身近な問題でもあり。
ほん少しだけ遠い問題です。
それよりも、もっと奥の方。
心の奥の方にある、心底の深淵。
その問題の重さ。
それも平和を知るには、必要な重さのような気がします。
事あるごとに何も知ろうとせず、何も見ようとせず。
知らねぇー、意味ねぇー、興味ねぇー。
ガンバレル型のSIKを抱えながら、『平和ボケ』と謳いながら飛ぶ鳥。
その姿は、伝説の爆撃機でしょう。
きっと、この町もそろそろ危ないのかもしれません。
もちろん、戦争ではありませんが。
肯定
そうだよね。
戦争だけが平和を壊していくとは限らない。
特別な意味なんかないだろうし。
悪意もないのだろう。
SIK、SIK、SIKと謳うのは流行だから。
その流行が音もたてずに。
だけど、確実に何かを壊していく。
一体、何を壊したのかもわからない。
だけど、どこかで気づく。
何かが壊れていた。
でも、それが何なのかわからない。
『Mr.ジョーンズ』。
テツガクちゃん
ステキな『Mr.ジョーンズ』ですね。
目の前で何かが起きたこと。
それはわかっているのに、何が起きたのか。
それはわからない。
私も肯定さんも。
今、この瞬間という窓に、平和という幻想は見えません。
もちろん、戦争という非常事態もまだ見えません。
ですが、戦争が起きていないから。
緊急事態、異常事態の中にいないから。
平和とは限りません。
平和という幻想。
それは、平和記念像のように目に見えて、触れられるものでしょうか?
それとも、その像を覗く誰か。
その心底の深淵にある、目に見えず、触れない何かが感じるものでしょうか?
その答えは、高い空から。
砂の銀河にあるらしい、平和という星。
そこに向かって、『平和ボケ』と謳う鳥だけが見ている幻。
あなたはその幻を知っていますか?
平和という幻想、洞窟の壁に映った影の主を。
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それでは、また次の機会にお会いしましょう。
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