第207章 心ないやさしさ

[2020年2月3日月曜日]心ないやさしさ


 心ないやさしさ。

 それは、『敗北の味』です。

 その味を味わったことがありますか?






テツガクちゃん

 心ないやさしさ。

 それは、敗北なのですか?


 ↑THE HIGH-LOWS↓の『青春』という歌にありますが。



肯定

 それはもう、敗北ですよ。

 今もさ……ガクちゃん、ちょっと暖かすぎ。



テツガクちゃん

 あっ、すみません。苦しかったですか? 

 私にとって肯定さんは、抱き枕のような安心感がありまして。


 少し離れます。



肯定

 それなんだよ。

 それが心ないやさしさでさ。



テツガクちゃん

 私が離れることがやさしさですか?



肯定

 いえいえ、その前の僕との距離感だよ。

 きっと、そこに心はなかったと思うんだよ。


 悪戯心とか出来心に遊び心、下心などの心ね。

 そういうのがなく、ただガクちゃんがそうしたいから、そうする。 

 

 もうそれは、敗北的なんですよ。



テツガクちゃん

 たしかに、私が側にいたかったから、そうしていましたが……。


 ところで、肯定さんは誰に負けたんですか!?

 そして、誰が勝者なのですか?


 

肯定

 勝者は誰だろう?

 強いて言えば、ガクちゃんかもしれないけど。

 ただ、心ないやさしさに勝者って響きは、似合わない気がするな。


 もし、ガクちゃんが心あるやさしさを操れば。

 僕は負けないんだけど。

 常に心ないやさしさだからさ。 

 

 だから、僕は常に敗北者だよ。

 そう負け続ける僕、敗僕者。

 誰に負けているのかもわからない。

 もしかしたら、自分自身に負けているのかも。


 でも、正直悪くないよ、敗僕者。

 柔らかくて暖かいし、いい香り。

 それを感じられるから。

 

 そんな柔らかくて暖かい勝南者のガクちゃん。

 気持ちまで温かくしてしまうのは、そこに心がないからかもしれないね。



テツガクちゃん

 あの、すみません……。

 少し寒くなったので、側に寄ってもいいですか?

 ダメと言われても行きますが……。


 『青春』の心ないやさしさ。

 その敗北を私も味わいました。


 北からの寒さに私も負けました。

 そんな私も同じ敗北者ですよね?



肯定

 ごめんごめん、僕でよければどうぞ。

 そうだね、きっとそうだよ。同じ敗北者。


 心ないやさしさ。

 好奇心という欲望には従っても。

 やさしさの中に心はない。

 当たり前にそれをしてしまう、そんなやさしさ。

 

 もうそれは、敗北的ですよね?

 あなたはどうですか?

 そんな敗北の味を味わったことがありますか?



 

 

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それでは、また次の機会にお会いしましょう。


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