第2話 何でも屋 ジャック
「それで、今回はどんな依頼だ?
名は
「ちょっと待て、今メールを確認する。」
翔とよばれた青年。フルネームは藤堂翔。赤茶色の髪を後ろで括っておりメガネをかけている。こちらはいかにも優しそうな好青年といった柔らかい顔つきをしている。
蓮の仕事仲間であり、パートナーである。
2人はこの要塞都市「ヤマト」を拠点に活動する、いわゆる「何でも屋 」だ。屋号はジャックという名称だ。今の時代、人間はそのほとんどの生活圏を憎魔に支配されている。人が住めるのは強固な守りが施されている要塞都市の中だけである。1歩でも外に踏み出せばそこは憎魔が闊歩している。蓮達は憎魔の殲滅や捕獲、旧時代の遺品の回収や調査の護衛など様々な仕事をしており、蓮が実際に行動を起こし、翔は情報集めや後処理などのサポートに回っている。
「確認した、軍からだ。100年前”旧東京・渋谷”にあった憎魔研究所に当時の資料が未だに残っているらしい、それの回収をしてほしいそうだ。」
「…了解、俺の端末に場所のデータを送ってくれ。」
「今送る。」
蓮は端末を確認しながら、距離を目算した。
「なんだ、ここから結構近いな、およそ10km圏内だ。これなら今日中に片付きそうだ。」
「一応気を付けろ。情報だと”Lv2”の憎魔が付近で目撃されたと書いてある。」
「Lv2くらいならまぁさして問題もないか。」
「それをさらっと言えるのはお前くらいだよ」
【憎魔】にはその危険度に応じて位がある。一番数が多く弱いのが”Lv1”、次いで”Lv2”、さらに上が”Lv3”、最上位が”Lv4”である。Lv1は小型の憎魔で人間より小柄な者もいる。一番数が多く、カルマであれば1人で討伐可能だ。Lv2は大型の憎魔で、訓練したカルマ部隊が5〜10人くらいいれば討伐できるくらいの強さである。Lv3はその絶対数が少ないが驚異的な生命力と力を持つ。討伐にはおよそ最低でも50人は必要とされている。Lv4に至っては100年前に存在が確認されて以降、消息を絶っている。しかしその時の被害は1体で数万人が住む都市がほぼ壊滅まで追い込まれたほどの怪物であるとされる。
「まぁいつもの事だ。このコーヒーでも飲んだら行くか。」
蓮のお気に入りは甘いホイップクリームを乗せたウィンナーコーヒーだ。
「ちょっと待て、もう一通メールが来た。…
「あいつめんどくさいから、あまり顔を出したくないんだがな。」
「どうするんだ?」
「行かないと催促がしつこいからな。仕事前に寄ると返信しておいてくれ。」
蓮はコーヒーを飲み干し椅子から立ち上がり、少し憂鬱な気分になりながら部屋を出た。
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