第2話 ゴミ袋
「いやぁマジでえ、この学校の人間大したことなくね?もっとレベル高いと思ったわマジウケ~」
自分と同じ声がひばりの脳みそをくすぐる。なまじひばりと同意見なのがさらにむず痒い。
「......あなたは」
上擦った声が辛うじて出た。ひばりはその白い雲から目線を外せない。当然であった。風の強い日とかにたまに飛んでいるビニール袋みたいなやつから自分の声がするのである。目が離せる訳がない。
「あ~うち?うちは、、、なんだと思う?」
「ゴミ袋」
「アホ!バカ!間抜け!もうひばり嫌い!」
なんで名前知ってるの。目を丸くするひばりをよそに、ゴミ袋は続けた。
「うちは『煩悩』。ひばりさっきもうちょっとましな学校だったら良かったっていったでしょ?その気持ちが形になった、っていう感じぃ?」
「ぼんのう」
空いた口が塞がらなかった。自称煩悩のゴミ袋の相手をするために私はこの学校に入ったのか。高い学費を払ってくれる親にどの面下げればいいのか教えろゴミ袋。
せめて水色とかピンクとか可愛い色だったらいくらか良かったのになんでまたゴミ袋色なn
「今私がもっと鮮やかだったらいいのにって思ったでしょ?」
ひばりの目が飛び出そうなほど大きくなった。一寸先までそいつは迫っていた。クレヨンで殴り描いたようなまっくろの目玉がぎょろりとひばりを見つめている。
「いやいつの間に目玉付いたの」
さっきまでゴミ袋だったのに。
「んふふ気づいちゃった?ひばりの煩悩が増えるとねぇ、」
『煩悩』は急に声を落としてささやいた。
「どんどん成長してくから、よろしくねっ」
『煩悩』の口が悪魔のような笑みを作った。
煩悩ちゃん! 野宮ゆかり @1_yoshino
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