第8話 戦闘

 餓鬼界に戻った貴史だが、穴の周りにサチがいない。 

 サチどころか餓鬼も一匹たりともいない。

 貴史は不思議に思いながら、辺りを見回しながら歩いた。

 ドスンッと背後に巨大な音と共に現れたのは餓鬼大将。

 そして岩影から、餓鬼たちが次々と現れるではないか。 

 貴史はサチが心配で仕方なかった。 

 餓鬼共がいるという事はサチは食われてしまったのか?

 ガーーと言う雄叫びと共に餓鬼大将と餓鬼達が貴史目掛け、一斉に襲いかかってきた。 

 貴史は剣を抜き構えた。 

 するとさっきまでとは違い、餓鬼の数秒先の動きが見える。 

 数秒の内に、餓鬼を全て切り捨た。餓鬼大将が向かってくるが、数秒先の見える貴史には避けるのは安易な事。

 スッと交わし、空中に舞い、剣を振り下ろした。

「消えろー‼︎」

 餓鬼大将は真っ二つになり、泡となり消えていった。

「サチ…… 仇、取れたかな」

 貴史は再び宙に舞い、次の階層、畜生界へ。ここは前に大きい黄鬼を倒してるので雑魚しかいない。

「全て叩っ切ってやる」

 貴史は性格も変わり始めていた。 

 それこそ鬼神へと。

 現れる畜生界の黄鬼をバッサバッサと切り捨てて、あっという間に全滅させた。

「この上が修羅界、サチが亡くなった事を知ったら阿修羅王は怒るだろうか、それとリノの情報も何か得たのだろうか、黒鬼王は修羅界に行けと言ってたな。どういう事なんだろうか」

 いろんな不安や想いを抱えながら、ゆっくりと宙に舞い、修羅界に昇る穴を目指した。

 

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