第3話学校生活
藤二郎、都華咲、千紗は3人とも私立
ちなみに、優弥は私立朝倉学園の大学部におり、刹那は都立高校に通っている。
「じゃあ、またお昼に」
「はい。都華咲、頼みましたよ」
「坊ちゃんのことならお任せあれ」
朝倉学園は一応共学ではあるが、女子棟と男子棟に分かれている。
女子である千紗と、男子である藤二郎と都華咲は、学園の門をくぐったらそこでひとまずお別れだ。
しかし、予定が合えば昼食は3人、時には優弥も入り4人で食べる。
場所は男子棟と女子棟のちょうど真ん中、生徒全員の憩いの場である中庭だ。
「さて、行こうか都華咲」
「了解です」
千紗が女子棟へ入るのを見届けてから、藤二郎と都華咲も男子棟へと向かう。
しかし、藤二郎は微笑を浮かべ、都華咲は先ほどまでの、おちゃらけた柔らかな空気を消し去っている。
理由は単純。
「やれやれ。人混みというのは慣れないものだ」
「藤二郎様は聡明な方ですからね。自ずと人が集まるのですよ」
早乙女家の者として、早乙女家に仕える者として、舐められてはならない。
若いから。経験が足りないから。
そんなこと、彼らにとって言い訳でしかないのだから。
___◆◇◆___
遠藤刹那は普通の都立高校に通う学生である。
周りと少し違うのは、メイドとして既に働いていることだろうか。
彼女は唯一、自身が働く屋敷の中で同じ学校に通っていない。理由としては、金銭的な事情と、学力的な問題だ。
本当は、刹那が仕え、尊敬している主人こと藤二郎と、先輩である千紗や都華咲と同じ学校に行きたかった。
だが、先にも言ったように金銭的な事情があった。
彼女、遠藤刹那には両親がいない。
父親は元からおらず、母親は彼女が6歳の頃に事故で亡くなった。
それからは叔父夫婦の元で育てられたが、流石に私立の、しかも超名門校である朝倉学園の学費を払ってもらうわけにはいかない。
と言うことで、自身の学力のことも考え、普通の都立高校を選んだわけだ。
部活や委員会などには入っていないが、それなりに充実した毎日だと刹那は思う。
購買の物は大体美味しいし(たまに宇宙味という意味不明なものがあるが)、教員たちも皆優しい(たまにサンバを踊ってる人がいるが)。
自分にはもったいないくらい、平穏な日々だと感じるのだ。
そう。断じてこの学校を選んだことは後悔していない。
たまに…そう、たまに
「…………」
「アンキロサウルス!アンキロサウルス!」
「校長の頭にアンキロサウルスがいるぞ!」
1年ほど前の、この学校の願書を提出した自分の頭の中が気になるが。
___☆♢☆___
ちなみに、今日の購買には
【驚異のサバンナ味!これで君も百獣の王に!】
という謎なサンドウィッチが売ってあった。
サバンナ味とは…新メニューだ…
一体誰が買うのだろうか、と刹那は密かに呆れていた。
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