第3話 ライバル?
今日は魔道具店で働いていた。
あれから僕一人では決められなかったので飲食店と魔道具店の店長に相談したところ、なんとその二人は兄妹だったらしく二つの店で雇われることとなった。ちなみに飲食店は兄のダリヤさん、魔道具店は妹のイリヤさんだ。
そして今日は、魔道具店での仕事の日。
「テトちゃ〜ん、これの片付け頼めるかしらぁ〜」
「あ、はいお任せください」
店長に箱に入った魔道具やら魔石やらの片づけを頼まれる。
この店は人は滅多に来ないが一部の冒険者には有名なところで、月に一度の頻度で冒険者が来ているためそれなりに収入はあるらしい。
「そういえば〜、テトちゃんは〜、リリスさんとウレナさん、どっちが好きなの〜?」
「ぶっ」
突然の質問に片付けていた魔道具や魔石を落としそうになる。
「あら、気をつけてね〜。それ一個でテトちゃんの半年分の給料と同じだから〜」
「え」
「でもテトちゃんなら体で払っても、いいわよ〜」
店長が舌舐めずりをする。
店長は長い黒髪にリリスさんを遥かに上回る大きな胸、妖艶な人だ。
人間らしいがサキュバスなのではないかと思えてくる。
「サキュバスじゃないわよ〜。それでどちらが好きなのかしら〜」
心を読まれていた。
「リリスさんはレストランのお客さんですし、ウレナさんはいつも僕をからかってくるだけなので、そんなふうに考えたことはないです」
「じゃあ〜、付き合うとするならば、どっちかしら〜?」
「付き合うならですか? うーん……どちらも素敵な方ですし、悩ましいですね」
「ふふ、そうなのね〜。ところで私まだ彼氏がいないのよ〜。そこでねテトちゃん、私の彼氏にならないかしら〜」
「えっ!?」
ガラガラガッシャン!
魔道具と魔石を落としてしまう。
「す、すみませんっ、すみませんっ」
「いいわよ〜、そこにはガラクタしか入っていなかったし、言ってしまえばゴミだったのよ〜」
「え、でもさっき……」
「冗談よ〜」
「やめてくださいよ、本当に」
心臓が止まったかと思った。
「それでお返事は〜?」
「ご、ごめんなさい」
「そう、まぁいいわ〜」
店長も時々いじってくるのだ。
◇◇◇
とある魔道具店を覗いていた悪魔がいた。
ウレナだ。
「あの女要注意だな。ボクのテトを誘惑するなんて。それにしても、えへへ、素敵な人だって〜」
彼女はテトに素敵な方と言われデレていた。
「ふふっ、今日の夜にテトの初めて、貰っちゃおうかなぁ」
「何を、もらうのですか?」
「……」
「……」
リリスがいつのまにか現れ、ウレナに聞く。
二人は無言で睨み合ったままだ。
しかし目線で火花が出ていそうな雰囲気で、近くを通る人からすれば美女が笑顔で怒っているように見えたのだろう。
二人はよくテトを巡って喧嘩をする。
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