剪定

 植物があまり好きでなかった私が、その良さがわかるになったのが、うちの庭に生えてきた一本のコナラの木でした。

 元々もともとは、公園で拾ってきたドングリでした。

 フィルムの容器にめておいて、一冬ひとふゆたつと、ギャーッ、中には白い芋虫いもむしが、無数むすうまっていて、びっくりして庭にバラまきました。

 で、しばらくたつと、庭のなかに、木が一本、生えてきたのです。

 これが又、手のかかるヤツで……。

 ほんとは家の二階くらいまで届く木だそうで、夏になると伸びたがって、四方八方しほうはっぽうに枝を伸ばし、その頃は剪定せんてい仕方しかたも何も知らなかった私がバッサリ切ると、反発はんぱつしてさらに枝を伸ばし、葉には山ほど虫が付いてギザギザになり、いやもう、夏はコイツとの戦いの連続でした。

 頭にきて、冬は棒一本の状態にしてしまうのですが、春になると又、何事なにごとかったかのように、元気によみがえってくるのです。

 そのうち、なんだかコイツを見直みなおすようになってきました。

 だって、人間が、頭も手も無い状態で、春になったら蘇るワケがないでしょう?

(え、ゾンビ?そういえば私、ゾンビ映画もきらいではありませんが……)

 段々だんだん年取としとってくると、人間の存在のはかなさが身にみてきます。植物は植えられた場所から動くことはできないけれど、そのぶん我慢ガマンづよく、なのです。


 植物を育てるのに手間てまをかけたくないかたが、植物を大きくするのは、おすすめ出来ません。

 なるべく、買った時のままの大きさをたもったほうが、世話せわラクです。

 根っこをけずって、成長を止める方法もありますが、素人しろうとが根をいじるのは、植物を痛めてダメにしてしまうことも多いです。

 そこでおすすめなのが、剪定せんていです。

 花が終わったり、実を収穫しゅうかくした後、元々の高さの枝に付いている芽、又は葉の、少しうえあたりを、よく切れるはさみで切ります。

 そこから又、枝が伸びてきます。

 これで毎年、ほとんど大きさは変わりません。

 真夏、葉や枝が沢山たくさん生えてきたからといって、私のようにムキになってジャキジャキ切るのは考え物です。反発はんぱつして生えてきて、収拾しゅうしゅうがつかなくなります。

 樹勢じゅせいが落ち着いたのを見計みはからって、少しずつ切るのがコツです。

 枝が、いくつかの方向にかれて伸びている場合は、横に向かって伸びている枝を優先ゆうせんして残してください。上向うわむきにえている枝を残すのは、樹形じゅけいを乱すもととなります。枝は、上に向かって伸びる習性しゅうせいがあるからです。

 物足ものたりない、大きくしたり、形を美しく育てたいとお思いのかたは、どうぞ専門書をごらんください。


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