減農薬栽培

 ひとむかし前の栽培書さいばいしょには、必ずといっていいほど、いつ頃、どのくらい農薬をいたらいいか、書かれていました。

 害虫がいちゅう対策がほどこされた植物も増えたようですが、虫が全く居なくなったわけではありません。

 私は、よっぽどのことがなければ、農薬を使いません。

 エコロジーを推進すいしんしているからではありません。

 農薬に弱いからです。

 害虫がいちゅうより先に、こっちが退治たいじされてしまいます。

 店にある農薬コーナーの前を通りかかっただけで、気分が悪くなります。重症じゅうしょうです。

 春、さきに現れるのが、アブラムシです。

 葉の表面に油がにじんでいるな、と思ったら、必ず、柔らかいむらがって居ます。

 私は、アブラムシの付いている植物を、流しに持っていって、水道の水をジャバジャバけて、洗ってしまいます。

 芽が取れたら取れたでかまいません。アブラムシが付いているような芽は、又、すぐ出てくるからです。

 勿論もちろん、又、付きますが、どんどん洗えばいいのです。そのうち葉が大きくなると、アブラムシたちも何処どこかに行ってしまいます。

 全部、自分で手をくだす必要はありません。

 暖かくなると、テントウムシたちがやってきて、どんどん食べてくれます。

 蜘蛛くもも来ます。

 蜘蛛が気味悪きみわるいからといって、殺してしまうのは園芸家ガーデナーではありませんよ。

『生きている殺虫剤さっちゅうざい』と思えば、ヘンな姿も我慢ガマン出来できます。

 だって、私たちの目に見えないほどの小さなダニや微生物びせいぶつ退治たいじしてくれるんですからね。

 天敵てんてきの蜘蛛が居なくなったら、その、小さなダニや何かが繁殖はんしょくしてしまって、私たちには見えないから、どうしようもないんですよ。

 そう思ったら、こわいでしょ?

 カメムシは、ビニール袋にそっと入れて口をしっかりしばって捨てましょう。すごいにおいがするので、けっしてつぶさないよう、気を付けて。

 ちょうの幼虫たちを殺すのは気が引けますが、農薬を控えていると、いいことがあります。

 カマキリが何処どこからともなくやってきて、よごれ仕事を引き受けてくれるからです。

 おしゃれな殺し屋さんです。

 大切にしましょう。

 一番の困りものは、なんといってもコガネムシです。

 成虫はキラキラ虹色にじいろに輝いて綺麗きれいですが、心をオニにして、容赦ようしゃなく踏みつぶします。

 ここで仏心ほとけごころを出しては、絶対ダメです。

 コイツのせいで、どンだけ植物がラレたか……。

 幼虫は……ああ、どうしようもありません。

 大事な鉢が、なんか元気無いな……と思った時には、もう手遅れです。鉢の中には根が全くありません。キッチリ仕事されてます。

 私は、特に大事な植物には鉢カバーをしています。百均ひゃっキンで売っている洗濯物せんたくもの入れの、一番大きいサイズのを使っています。でも、牡丹ぼたんとコニファーだけは、毎年、やられます。何処どこからともなく侵入されてしまいます。

 もっとも、二種とも丈夫で、枯れません。

 だから、鉢から出して、幼虫を取り除いて、土を全部替えるのが、年中行事になっています。

 コガネムシの幼虫対策だけは、農薬を使うことを検討けんとうしてもいいかもしれません。

 土の中に居る、目に見えない害虫に、線虫センチュウが居ます。

 根っこに巣くって、黄色いサクランボ大のかたまりを多数作ります。

 これは、マリーゴールドを栽培さいばいすることで退治たいじ出来できます。一年たつと、綺麗きれいさっぱり居なくなりました。おすすめです。

 あと、ミミズについて。

 用土の中にひそんでいて、気が付いたら大きくなっています。

 土を食べて肥料にする、益虫えきちゅうということになっていますが、どういうわけか、大きなミミズが出てきた鉢は、植物が枯れてしまうのです。

 害虫が原因で植物が枯れてしまうのか、それとも、元々もともと弱っていたから虫が食べて片付かたづけているのか。

 ニワトリが先か卵が先か、いつも悩んでしまいます。


 農薬を使えば、作業はらくになるでしょう。でも私は、皆さんに、可能な限り、薬を使わないでいただきたいのです。

 全く使うなと言うつもりはありません。私自身じしん仕方しかたなく使うときがあります。そのときは、なるべく他の虫たちに被害が及ばないよう、場所や時期に気をつけて使います。

 農薬を使わなければ、害虫や病気に負けて枯れてしまう植物も当然、出ますが、益虫えきちゅうや良い微生物びせいぶつも残っているので、まわりの植物にまで被害が及ぶことはありません。

 商売で作物さくもつを作っているかたが使用するのは、ある程度、仕方しかたないことでしょうが、趣味で植物を育てていらっしゃる方は、立ち止まって考えていただきたいのです。

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