植物の選び方

 手間てまをかけたくなければ、最初から、手入ていれの楽な植物を選ぶ必要があります。


 一年草いちねんそうはおすすめしません。

 一年草とは、ざっと言ってしまえば、花屋の店先で一番、目立めだつ花です。

 季節の花々、冬ならパンジーやビオラ、夏ならペチュニア(最近は、サフィニアその他、メーカー別のおしゃれな名前を持っています)といった、可愛かわいくて華やかで、えなんかにちょうどいい、女の子の好きそうな花たちです。

 パッと咲いてパッと散る、長くて半年、短くて一~二か月が勝負なんですが、小さな一つ一つの花の寿命じゅみょうが短いので、枯れたのを、しょっちゅう、んでやらないといけないんです(花殻摘はながらつみといいます)。

 別に放っておいてもいいんですが、みっともなくなることはけられませんし、段々だんだん、花が咲かなくなってしまいます。

 これらは、手入れをしてやって、なんぼの、手間てまのかかる花たちなんです。

 まるで女の子みたいですね。(だから女の子に人気があるのかな?)

 少量では見栄みばえがしないし、季節ごとに植え替えが必要なので、知らず知らず、お金がかかってしまう恐れがあります。

 そもそも、パンジーだのペチュニアだのの美しさは、作出さくしゅつした企業の努力の賜物たまもので、『育てる』という言葉にふさわしいかどうか疑問があります。

園芸えんげい』というより、長持ながもちする『ばな』と、ったほうがいいのではないでしょうか。

 一年草で、園芸といえるのは、朝顔あさがおだの向日葵ひまわりだの、いちからタネをまいて育てる植物のことではないかと、私は思っています。


 お庭のあるかたにお勧めなのは、宿根草しゅくこんそうです。

 大抵たいてい球根きゅうこん植物です。土を掘るとタマネギみたいなのが出てくる、アレです。ほんとに、なんにも手間てまがかかりません。

 春はチューリップやダッチアイリス、夏は百合ゆり、秋はきくといった面々めんめんです。

 チューリップは、大きく美しく咲かせたければ、花の咲いた後、球根を掘り出して保存しておいたほうがいいです。でも放っておいても、野良ノラチューリップとして、やや見劣みおとりはするものの、次の春も健気けなげに咲きます。

 ダッチアイリスは、花後はなご御礼肥おれいごえ(花の咲いた御礼にやる肥料)を与えればOkです。

 百合は元々もともと、野草だったせいか、毎年、元気に咲きます。

 ただ、アブラムシには注意してやってください。滅多めったに付きませんが、一端いったん、取り付かれると厄介やっかいです。ウイルスを持っていて、うちの大事だいじなカサブランカが全滅ぜんめつしてしまいました。

 菊もいいですね。

 秋も深まり、庭に咲く花が無くなって、忘れた頃に、ひっそり咲いています。

 このへんが基本的な宿根草です。

 他のおすすめのものは又、個々に取り上げたいと思います。


「うちには庭も無い!」

おっしゃる方も多いと思います。

 そういう方には、鉢に木を植えたものが、お勧めです。

 毎年、大きくなっていくのが悩みのタネではありますが、ある一定いっていの年月が立つと、鉢に馴染なじんで、成長がおだやかになっていきます。二~三年の辛抱しんぼうです。

 大抵たいていの木は、一年に一度しか花が咲かないので、葉っぱしかない時期が長いですが、そのぶん手入ていれがラクです。季節ごとに咲くものを取りそろえれば、一年中、花を楽しむことが出来できます。

 もう一つ、草には無い楽しみもあります。

 それは、実の成るものがあるということです。

 最近は、技術改良が進んで、コンパクトでも楽しめる木が沢山たくさんあります。


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