第3話・僕の名前は……
「この、米ちょっと硬いです。」
「文句言うな!他人の家やぞ!」
あれから結局、武蔵坊弁慶の自宅に行き、話を続けることにした。
「取り敢えずアレだ……坊主の呼び方考えたんだけどよぉ。」
「おかずは漬物だけですか?」
「人の話を聞け!てか、失礼過ぎるし、俺の怒号でビビらなくなったな。」
「臆病ですけど、弁慶さんならいちいちビビらなくていいかもって。」
「俺を舐めてるのか?!」
「舐めてるのかなぁ?で、名前って?」
急に少年は話を戻した。
「”武蔵坊少弁慶”でどうだ。」「なんで似たような名前なんですか?あと、食事中に”しょうべん”はいけませんよ。」
「本当だ!”武蔵坊しょうべん慶”って入ってる~!……じゃなくて!!」
少年はいつの間にか茶碗一杯を食べ切った。
「食べ終わったところで、ちゃんと名前を言う。」
「冗談好きですね。」
「いや、武蔵坊弁慶は本名だよ!!」弁慶は少し深呼吸をした。
「今日から坊主の名前は”歴坊”だ!!」
少年改めて歴坊は少し間を置いて「じゃあそれで。なんで”歴坊”なんですか?」
「もっとなんかリアクションしろよ!可愛くないな!」
「理由は?」
「急かすな!歴史辞書だっけ?なんか……その……色んな歴史の話とか好きそうだし、歴史辞書をめくった時の顔がよぉ……その嬉しそうだったからさぁ……」
また歴坊は間を空いて喋った。「名前をくれてありがとうございます。これからもよろしくお願いします。弁慶さん。」
「お……おう。(なんやかんやでお前良い奴だな。)」
「ところで、この部屋臭いですね。」
「……。(もう分かんねぇ歴坊のこと……)」
もう暗いということで、その夜、歴坊は弁慶の自宅で寝ることになり、続きは翌日、弁慶の職場先にて話すことになった。
「ここだぞ、職場。」
「はい……。」
「なに?緊張してんのか?」「やっぱり初めての場所は慣れなくて……」
歴坊の顔は下を向いたままだった。
「顔上げろ。俺たちの仲間が集まる”機密組織”さ。」
歴坊が見上げるとそこはデカいビル。……ではなく、その横の小さな隙間だった。
「ふざけてます?今日も?」
「安心しろ。”機密組織”って言ったろ!隠し扉あるんだよ。」
小さな隙間をしばらく通ると、少し広いスペースがあり、公園でよくみかげるトンネルがあった。「この中だ。」
「大丈夫かな……」
少し歴坊は心配しながら中に入ると、扉があり、
「こ……これは?!」
「これが本当の”機密組織”の姿だ!!」
そこには機械仕掛けで近未来を匂わせる建物が何個も連なってた。「今日からお前もここで働くんだ!!」
「ここで?!えっ……働く?!」
歴坊はこの時嫌な予感がしていた。それは的中していたことは後の話……
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