霧の中

第8話崩壊8

　長い時間が経って6階に降りた。6階には上場事業から外れたメンバーが集まっている。

「上に上がってくれ」

　上に上がったのは本社にいる16名だ。

「どうなるのですか？」

　大半は聞かされていないようだ。なぜこのような行動に出たのか？まだ分からないでいる。マイの横に専務が居心地悪そうに座っている。だが専務を追い出すと纏まりに欠ける。

「私としては残ったメンバーで会社を守りたいと考えている」

「どう言う決議がされたのですか？」

「私を残してみんな退任した」

「私はボスと頑張るわ！」

　マイが一番に手を上げた。

「ではいつもの裏のすし屋に行こう」

　こういう時は飲んで団結を図るしかない。確かにもう頭は破裂しそうだ。残った人間は生え抜きだが地味だった社員ばかりだ。社員を見る目がなかったのだろう。

　だがしばらく持ちこたえたらメインバンクの10億が入る。上場は焦ることもない。閉店まで飲んでフラフラで家に帰った。

「乗っ取りだ」

　妻に言ったまま寝てしまった。だがこの日から地獄の日々が始まった。