第7話崩壊7
天王寺の駅を降りると私の会社の長方形のビルが見える。商店街の坂道を3年間は私は潰さない!潰さない!と念じて歩いてきた。今日はすっきりとした青空だがどこか落ち着かない青さだ。今日は副社長を呼んで膝を交えて話そうと思っている。
ビルの玄関に入ると、開発部次長と事業部次長が両腕を抑えるように、
「7階に上がってください」
と言う。声が強張っている。
エレベータで上ると、部屋は長椅子が並べられ正面に顧問公認会計士が座っている。
「先生どうしたのですか?」
「臨時株主総会です」
新会社の総会なのか?両側に副社長、顧問、経理部長、開発部長と並んでいる。
「専務とマイは?」
「東京支社長と専務は白紙委任をもらっています。マイは欠席です。本日の議題は本木社長の解任動議です」
「なぜだ!」
解任理由は挙げられず、もう多数決に入った。副社長の瓦屋の顔が笑っている。
「参加役員白紙委任を入れて6対1で解任を決議しました。当然社長は認められますね?」
「決して認められない。説明をしてもらおうか?首謀者は瓦屋かね?」
「全員の意志ですよ」
「私がいないと資金繰りは出来ない」
「上場すれば資金繰りは必要ないわ。出資者の支援も取り付けている」
「認めん」
と言ったまま私は黙る。これほど長い気の重い沈黙は初めてだ。
「社長が認めないなら全員この会社から退任します」
「いや待って!」
公認会計士が慌てて口を挟むが瓦屋はもう立ち上がっている。
独り長い間部屋の中で腕を組んでいる。これで終わりか?
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