第4話崩壊4

 久しぶりに6階のベンチャー部門の部屋を覗く。ここには20人ほどがパソコンを前にしている。元々は覆面調査が柱だが、今は5つの柱事業の一つだ。1年前にここから東京支社に5名が転勤している。昔の専務を半年前に降格して顧問にしている。ここは昔ボランティァだった男が専務として束ねている。私は手に持っていた図面を専務の前に広げる。

「上場が決まったらここに引越しするが配置を決めてくれ」

「どちらに?」

「梅田のメイン銀行のビルだよ」

「副社長には?」

「そちらから伝えてくれ」

「それは困るのです」

「どうして困るんだ?専務は生え抜きのここの責任者じゃないか?」

「いえ、もう窓際です」

 ぼそっと言う。

「そこにいた彼女は?」

「もう無断欠勤で1週間になります。副社長が退職扱いにしました」

「古いメンバーだろ?面倒見てやらないと」

 カコ、27歳。まだ創設期の頃今の顧問の紹介で会社に来た。経理から外されて3軒のレストランの経理全般を見ている。この会社ではマドンナとして人気だが、女性陣には嫌われているようで7階から下ろされた。

「顧問は?」

「今副社長との打ち合わせで外に出ています」

「ボス!」

 古いメンバーは私をこう呼ぶ。彼女は生え抜きのメンバーで19歳でマイと言って覆面調査のリーダーをしている。私の耳元で囁く。

「顧問のパワハラなんですよ」

「まさか?」

「何度も夜にカコの部屋にやって来るそうです」








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