第2話崩壊2

「あれはどうなった?」

 社長室に入ってくるのはこの副社長だけになっている。瓦屋という40歳の女性は起業塾の塾長から上場の経験者として1年半前に役員として迎え入れ先月副社長にした。だが彼女の詳しい履歴を見たことはない。

「ベンチャー大賞は2度目の受賞が10日後に決まりましたよ」

「上場の方は?」

「先生の方から指示が出ています。現在の不動産やレストランや税務のの事業を本体から切り離してほしいとのことです」

「でも上場直前なのに大丈夫か?」

「逆に離さないとダメです」

「分かった任せる」

「今日は社長は?」

「1時から起業塾の講演で、7時にメイン銀行の部長に会う」

 副社長が来てから社員と会社の中で月に1度打ち上げをしていたのもなくなった。時々社員を呼び出して飲むのも副社長に禁じられた。上場の情報が流れると言うのだ。

 1階の展示室に降りる。ここは3年前に妻の父が人形の展示室を開いた。これは義理父の夢でよく2人で飲んでいたのでかなえたいと思って助成金と融資の申請を行って開いたのだ。今は時間つぶしにここでお茶を入れてもらうのがほっとする。

「いつも忙しいなあ」

「いえもう慣れっこです」

 妻が心配そうに言う。 

「あの副社長が最近幹部の人達と喫茶店に行ってるよ。気になる」

「上場の話だろう。今度会社を2つに分けるんだ」

「でもにやにや笑て出ていくのよ」








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