第2話 お昼休みにて。

 「藍斗。一緒にご飯食べない?」


 授業終わりのお昼休み。

 隣の席のほのかが突然言ってきた。

 いつもは、中学からの仲である霧香きりかと食べてるではないか。どういう風の吹き回しだ?

 ちなみに俺も、中学からの仲である祐司ゆうじと昼ご飯を食べている。


 「別にいいけど?どうした、急に?」


 俺の返答に、ほのかは耳を赤くし目を逸らした。

 どう答えればいいのか、困ってるようだ。


 「そ、その…今日たまたま早く目が覚めて、弁当作ったんだけど、材料が余ったから、藍斗のた……暇だったからもう一個弁当作ったの」


 俺のためって言おうとした?今?

 

 「ほら、藍斗はいつも購買のパンばかり食べてるから、栄養が偏るんじゃない?だからせっかくだから、私の弁当食べたら?」


 頬を紅くしてそんなことを言ってきた。

 まったく素直じゃないな。


 「別にいい……」


 「おやおや藍斗くぅ〜ん。君は購買のパンが好きなんじゃぁなかったかい?」


 承諾しようとしたら、横合いから祐司が出てきた。


 「別にそんなこと……」


 「言ってたよ。言った言った。それにほのかくんや。君は材料が余りすぎたから。または、栄養が偏るから…そう言ったね?僕もパンばかりなんだ。それなら条件を満たしてるし、僕にくれてもいいよねぇ?」


 「そ、それは……」


 祐司のやつ、完全におちょくりモードに入ってんな。普段こんな口調じゃないし、一人称は『俺』のはず。

 構われてるほのかは、下唇を噛んで、どう返すか脳をフル回転させている。


 「確かにそうね〜。私も最近は購買のお惣菜ばかりだわ〜。なら私も条件を満たしてるからもらえるわね〜」


 次は霧香が現れた。

 こいつもおちょくりモードだ。

  

 「う…うぅ…そ、それはぁ…」


 ほのかは涙目だ。


 「ほぉれ。僕にくれや」


 「いやいや、私に、ねぇ〜」


 祐司と霧香がいやらしく、手の指先をくねらせてる。

 耐えかねたほのかは、


 「藍斗のために作ってきたのよ!バカぁー!」

 

 涙目で屋上へ駆け出した。

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