幼馴染みは俺に夢中みたいだ。
羽宮羽斗
第1話 登校にて。
高校入学して一週間。
四月中旬。
まだ寒い日が続いている。
「はぁ〜、今日も寒いね」
隣には、幼馴染みである
時折りチラリとこちらを見てくる。
かまってほしそうだ。
「ん〜寒いぃ〜」
寒そうにしながら、やはりチラッとこっちを見てくる。
俺も同意する。
「確かに寒いな」
俺は両手を制服のポケットに突っ込む。
「こうすると、あったかいぞ?」
「むーっ……!」
何やら不満げな顔をしている。
「隣でこんなにも可愛らしい幼馴染みが困っているのに、君は何もしてくれないの?だからモテないんだよ?」
「それとこれとは関係ない気がするんだが……」
俺はほのかを見据えた。
「手袋買えばいいだろ?」
「もう知らない。藍斗のバーカ!鈍感!おたんこなす!ガリガリ!陰キャ!」
ひどい言われようだな。俺。
「カイロでもしてくればよかったろ」
「聞こえませーん」
そっぽを向いてしまった。
こうなったら、てこでも動かなくなる。
「手袋買ってやろうか?」
「ふん…!」
「コンビニ寄るか?」
「いーだ!」
「なら、手でも握ってやろうか?」
「知ら……今なんて言ったの?」
ほのかは驚いた顔をしている。
「だから、手でも握ろうか?」
俺はあっけらかんに言ってのけると、ほのかは頬を若干赤くし、視線を彷徨わせた。
「ふ、ふーん。別にぃ?藍斗がそこまでって言うなら…握ってやらなくもないけどぉ?」
「あっそ。俺は別に」
「わ!ごめん。ごめんなさい!手を繋いで欲しいです!繋いでください!」
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