やはりおはようから日常は始まる。4
「おはよ」
はやりおはようから日常は始まる。日常とはどこまでを指すかは分からないけど。
とりあえずおはようと言ってみたはいいものの、景色は変らず無垢な木材であしらわれた勉強机の上。ただの独り言として無機質な空気から消え失せていく。
珍しく開け放たれたカーテンを潜り抜けた陽光は、放射状からどんどんと広がっていき全体を包む。そして窓からのぞき込むと雲一つない青空。秋晴れを象徴しているキャンパスには台風なんて感じなかった。
自分で動き出す……っといったならばそれ相応のことをやってのけなければいけない気がする。
だから余計俺の脳内を疲弊させて思考中止。さっきの千歳先輩可愛かったな~とかいう思考に脳内ジャックされてしまっている。まぁいいけど(実際そうだったし……)
日付は変らず午後1時丁度。手元には羽豆と伊良湖の字で赤く染め上げられた推薦演説の原稿が乗せられていた。
その字は羽豆の書道家張りの達筆と伊良湖のかわうまの字が俺の文字、通称MSゴシックという俺愛用であるフォントが散りばめられている。
文面にはほぼ全てに添削が加えられてあり、「これだ!」っと思いつくには好材料だったのだけど……ね?
「元の俺の分がゴミ過ぎる!」
っということ。まず初めから誤字ってるし。
まずゴミポイント1 あまりにも校長の文面に似すぎている。
あなたたちに票を入れていただくと幸いです……ってホント俺も敬語&ため語をすっと使えるようになったよな。マジ校長リスペクト。俺ももうすぐ磯貝君の如く禿げるのも知れない。
ゴミポイント2 めちゃくちゃ煽り&皮肉が込められている。
ここは佐久先生を見習ったのだが……ダメだったよう。伊良湖に「世間は許してくれやせんよ」っと乱雑に訂正されてしまっている。
ゴミポイント3……………っと。もうきりがなくなってきたのでここまで。
確かに伊良湖&羽豆が呆れた理由が分かる。はぁ。
総じて言えることは先生ウケを気にしすぎてしまったまでに生徒、そして伊良湖にも不快感を与えてしまっている文章だったということ。っということは逆説的に生徒ウケしそうな文面を考えればいいわけだけど…………。
………………まぁ、
とりあえず今からがんばります。
× × ×
俺の脳内を悩ませるのは伊良湖をどう、尊く見せるのか。そしてどう、全校生徒をうまく生徒のウケをとることができるのか?っというところだ。
キーボードを打つ手の平、指先は凍っていて冷たくもひんやりもしていないのに稼働はしなかった。金縛りにでもあったのだろうか?
苦渋の念になることが予想される全校生徒ウケは後にして……まずは伊良湖をどう尊く見せるかについて考えることにしよう。
簡単に考えるのだが可愛い戦法で押して行ってはいいか………っと俺は思うのだが女子目線から見てみると違うのであろう。あんな感じのあざとい感じは票数どころか伊良湖のこの語の学校生活にも関わってくるだろうし。健気戦法は……。
だがやっぱり違うのだろう。推薦演説なんて中学時代偽りばかりで本人を脚色したらいいのだと思っていた。実際、そのように脚色しまくって1、2年生狙いしたやつが多かったのも事実だし。でもそういうやつらは結局何もやらず、最後まで内申をむさぼりつくす。結局何も変わっていなのにも関わらず。得意げな顔して。
だが俺は正直に書いて、読んで、そろばんではなくて伝えたいと思った。誠心誠意伝えたいと思った。
だって脚色しなくても「伊良湖」は「伊良湖」だから!(謎理論)
だからとしてもそれを知っているのは俺と後のメンバーのみ。伊良湖の他の友達とやらは知っていたとしてもそんなの票数で見てみたら僅か。
どうしたらいいのか………。
「……………………………」
………………………。
………………………。
………………………!
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